蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 第17回 劇団本公演「星のない町 ぼくの町」

NPO法人劇空間夢幻工房 第17回 劇団本公演
タイトル 『星のない町 ぼくの町 ~ゴミ人間プペル奇譚~』
脚本・演出 青木由里
原案 『えんとつ町のプペル』西野亮廣 著
出演 青木賢治/栗生みな/坂本真由美/青木淳/井田亜彩実/鈴木一衣/導星ゆな 他

日時 2022年3月5日(土)18:00~    2022年3月6日(日)11:00~/16:00~
会場 須坂市 メセナホール 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/mugen_puperu

上記公演は好評のうちに幕を閉じました。
ご来場を賜りました皆様、ご尽力を賜りました皆様に、心より御礼を申し上げます!

震災から5年を経て―

2016年03月11日 23時20分13秒 | 日記
5年前の今日、恐るべき東日本大震災が発生―

マグニチュード9.0の大地震と巨大津波―
大津波の恐ろしい映像は未だ脳裏にはっきりと浮かぶ。

亡くなられた方々のご冥福を心から祈ります―

2016年(平成28年)3月10日時点で
震災による死者・行方不明者は18,455人
建築物の全壊・半壊は合わせて400,326戸
震災発生直後のピーク時においては避難者は40万人以上
停電世帯は800万戸以上
断水世帯は180万戸以上
復興庁によると、2016年2月12日時点の避難者等の数は
174,471人となっており、避難が長期化している。
 (Wikiより)

この地震によって福島第一原子力発電所でメルトダウンが起こり
放射能が漏れ出すという最悪な事故が発生した。

人間が生み出したエネルギーが
人間を蝕み、生命体を蝕み、地球を蝕んでいく。

なんと恐ろしいモノを人間は生み出したのか―

放射能に汚染された地域は拡大し
被災者や原発従事者の中には
既に白血病を発病している方もいる。

それでも原発がなくなることはなく
一時停止されていた発電所も
安全確認がされたということで再稼働を開始。

何を持って安全と判断するのか―

現代人は、電気のない生活ができそうになく
今の生活を維持するならば
原発に頼らざるを得ない状況であるが
本当にこのままで良いのだろうか―

人類は環境適応能力が高かった。

どんな環境でも、生き抜いた祖先がいたから
今の私たちがこの世に生存しているのだ。

今となっては電気のない生活に耐えられるか否か
定かではないが、例えそうなっても
人類は必ず生き残るのではないかと・・・


5年前の大震災の時、私は劇団本公演の台本執筆の真っ只中だった。

あの震災の時は、自粛ムードが高まり
至るところで公演やイベントが中止になった。

私自身も、劇団本公演を中止にすべきか否かで
非常に悩み、考え抜いた。

そして出した結論は―

生きる力の強い人間を育てるのが舞台芸術だ!

という結論に達し、5月に劇団本公演を上演。
ロビーには募金箱を設置し、終演後、寄付をして…

それ以前から考えていたことだが
明確にこの震災の日から

 “生きる力”を育むための演劇

を意識し始め、今に至る。

なぜ演劇には、その力があるのか―

生きる力の源は何か―

どんなことがあっても生き抜く強い意思と
どんなことがあっても生き抜ける身体

これだけなら、演劇じゃなくても
培う事は出来る。

身体を鍛えずに上演できる演劇もあるしね。

だから全ての演劇がそうであるとは言えないが
私が舞台に立つ上で必要だと思う訓練の中には
“生きる力”を育むプログラムが全て入っている。

柳のようにしなやかに順応性出来る心と身体―
しかしその根っこには強い意思を持っている―

これが、どんな状況でも生き抜ける人の条件かな?と。

ただ強いだけでは、ポキっと折れる可能性もあるかと。

大震災の年の本公演作品は、そんな人間を
思い描きながら舞台を創作した。

それが『ペルソナ』―

とても深い作品なはずなのだが
台本執筆の遅れから稽古が不足し、アクシデントも重なって
玄人の方の目には発表会程度にしか映らなかったようだ。

おとぎ話のような世界だからこそ
表現できる世界もある。

今年の合同公演作品は、逆に実際にあった出来事を舞台化する。

おとぎ話とは真逆の世界。

けど、両方ともフィクションであることは変わりなく
要は何を伝えたいか、何を表現したいか、だろう。

私は、ある一人の女性の生きざまを表現する任務がある。
どこまで彼女に近づけることができるか―

あと一ヶ月、日々彼女と対峙しながら本番を迎えたいと思う。