クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

モーツァルト ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」 内田光子(Pf)・テイト/イギリス室内管

2005年07月06日 02時51分42秒 | 協奏曲
梅雨らしい天気が続いております。ようやく。
しとしと雨が、降ったりやんだり。
水不足も殆ど解消。ホッとしました。

ただ、部屋の中も梅雨らしくジトジトしております。
こんな日はカラッとした音楽を聴きたいもの。
モーツァルトのコンチェルトを爽やかに聴いてみようか・・・。

モーツァルトのピアノ協奏曲、20番以降はどれも甲乙つけがたい名曲だと思う。
今日は第26番ニ長調K537「戴冠式」。
演奏は内田光子のピアノ、ジェフリー・テイト指揮イギリス室内管。
1987年6月、ロンドンのセント・ジョンズ教会での録音。

内田光子がモーツァルトのピアノソナタを録音して成功、それを受けてピアノ協奏曲の全曲を録音し始めた、その第3作だったと思う。

「戴冠式」は、モーツァルトにしては、「外面的で、あまりよく書けていない」という評価を読んだこともあるが、ボクにとっては大切な名曲、大好きなのであります。

全曲を通じて、内田光子のピアノが素晴らしい。
優雅でデリカシーに富んでいる。
ピアニシモの繊細さ、ニュアンスの多彩さは、ちょっと他のピアニストではなかなか聴けないのではないか?
残響豊かな教会での録音なので、ピアノはとても柔らかく聞こえる。
音色は綿毛で包むような雰囲気豊かなもの。

透きとおるとか、硬質でコツンとしたとかいうピアノではない。
クリーミーで甘い味わいの音色。我が家ではそう聞こえる。
これこそ、モーツァルトの音色にふさわしいのだと思う。

第1楽章冒頭の管弦楽、まずこの音が良い。フィリップスらしく残響豊かで弦セクションを美しく捉えた録音。テイトも力まず緩まず、イギリス室内管をきちんとまとめている感じ。
ピアノが登場すると、サァッと光が差し込んだようにステレオ空間が明るくなる。
一聴、内田のピアノは自然で、奔放に聞こえるのだが、計算ずくかもしれない。
カデンツァは内田自身の、センスに満ちたもの。川面にゆらめく光のような、ニュアンス豊かなカデンツァ。
第2楽章は装飾音をふんだんに取り入れて楽しい。その装飾音が、バックと見事に調和しているのは、テイトの功績だろうなぁ。音色は、瞬間瞬間に移り変わり、コロコロと弾むように進んでゆく。名演やなぁ。
終楽章のアレグレット。いつもながら、モーツァルトの協奏曲の終楽章は閃きが沢山。それを、内田とテイトが全部すくい取って、聴き手に教えてくれる。「ね?モーツァルトってスゴイでしょ?」とでも言っているかのように・・・。


「戴冠式」、気分によってピアニストを変えます。バレンボイム、ペライア、ブレンデル、アシュケナージ、アンネローゼ・シュミット、そしてグルダ・・・・。それぞれが美しい演奏を聴かせてくれます。それを楽しむ時間の、何と贅沢なこと!
ボクは果報者であります。部屋の湿気も取り除かれたかのようであります。



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