クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ブレンデルで聴くシューベルト 即興曲集

2006年07月01日 03時13分36秒 | 器楽曲
シューベルトの即興曲集。作品90、D.899と作品142、D.935。
ピアノ独奏はアルフレート・ブレンデル。1972年の録音フィリップス盤。

シューベルトの即興曲集は学生の頃からの愛聴盤。
特に、ロザムンデの主題を用いた作品142の第3番変ロ長調がイイ。

初めて買ったLPはブレンデルの旧盤。LPジャケットの袋はミノヤとあるので、所沢の駅前商店街で買ったものだろう(さて、今はミノヤというショップははあるのかな)。
その後エッシェンバッハやルプー、ペライア、内田光子、ブレンデルの再録音盤などを聴いたが、結局このブレンデルの旧盤に戻ってしまう。ルプーやエッシェンバッハ、内田の即興曲集もとてもよかったのだが、懐かしさ半分、ブレンデルの旧盤を聴くとホッとするところがある。

ブレンデルの演奏はいつも誠実で真摯。考え抜かれた末の演奏という感じ。ライヴ風の、まさに即興的なノリの演奏もいいのだろうが、熟考を重ねた大人の風格が漂うブレンデルの演奏、ボクは好きだなぁ。

音色はホンマに綺麗。いくらかベージュのかかった白、肌色混じりの純白というか・・・・。真っ白な中にいくらか人肌の混じる白さ・・・・そんな音色。
暖かく穏やかで、しっとりと落ち着いている音色。この音こそブレンデル。

演奏も同様、いたって穏和で、絶叫しないのがシューベルト的でイイ。
シューベルトは気の弱い青年だったいうが(そして、青年のまま死んでいった)、ブレンデルのピアノには、そういう弱さがよく表出されていると思う。
大声を出さずに、内面に向かって徐々に沈潜してゆく音楽。そして全編、歌謡的な旋律が流れて、構成感には乏しい音楽。でも限りなく美しく、デリケートな音楽。シューベルトのピアノ曲は、さり気なく美しい。

若い頃、ブレンデルのピアノでシューベルトのピアノ曲に出会ったのは幸運だったと思う。だって、シューベルトが大好きになれたから。

さて、この即興曲集、どこから聴いてもブレンデルの音楽そのものなのだが、やはり親しめるのは、初めに書いたように作品143の第3番かな。
流れるような変奏曲の中から知的な風貌のシューベルトが顔を出す。ブレンデルらしい端正な表情がとてもイイ。ピアノの音色も言うことなし。透明な響きがどこまでも美しい。やや抑えられた抒情が静かに漂ってくる。
激情的な演奏ではない、透きとおった哀しみが伝わってくる感じ。


ブレンデルのピアノで聴くシューベルト、ソナタもとても良いんですが、それはまた別の機会にでも。

蒸し暑い梅雨時、ブレンデルのピアノで気分が爽やかになりました。



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