クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

モーツァルトのピアノ協奏曲第23番K.488 シフ(Pf) ヴェーグ/カメラータ・アカデミカ

2008年10月22日 04時58分00秒 | 協奏曲
シャンドール・ヴェーグのモーツァルトがイイです。溌剌として爽快、清冽な歌、新鮮なリズム、聴いていてワクワクするような音楽の運び。ヴェーグのモーツァルトを知ったのはこの数年のことなんですが、僕の中では最高のモーツァルト指揮者のひとりであります。今日は彼とアンドラーシュ・シフ共演で、秋に聴きたくなる名曲を。モーツァルトのピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488。アンドラーシュ・シフのピアノ独奏、シャンドール・ヴェーグ指揮モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカの演奏。1991年の録音。DECCA盤。第1楽章の冒頭から、素晴らしい演奏。一瞬にして、モーツァルトの世界に連れて行かれる。ヴェーグの伴奏はニュアンス豊かで、意味深いもの。弦楽器と管楽器のバランス、融け合いも良く、特に管楽器のフレージングが自然で心地よい。個々の楽器に存在感があって、楽しそうに演奏しているのが特に良い。モーツァルトが丹精込めて書きつづった音符に、生命が与えられているかのよう。シフのピアノも抜群。全く美しい。ピアニズムは自由闊達、音は玲瓏珠を転がすよう。澄んだ響きも絶品で、音色は純白に桜色を帯びた感じの美しさ。しっとりとした潤いを持ちながら、暖かみを含んだ音。そして、シフは、しっかりと弾いてゆく。軽く弾き飛ばすことなく、一音一音、大切に弾いてゆく感じがまたイイ。カデンツァなど見事なもので、聴いていて陶然となる。第2楽章こそ、このコンチェルトの白眉。哀愁の旋律が胸を打つ。シフのピアノも憂愁の想いが惻々と伝わってくる、美しさ。ちょうど、今の季節にピッタリの風情と思う。そして、さらに哀しいくらいに美しいのがヴェーグ&カメラータ・アカデミカの伴奏。ため息出そう。特に、木管は絶美。フィナーレも軽やかで見事な音楽運び。ただ、シフのピアノの打鍵は力強く、ここでもしっかりと弾く。管楽器との会話というか、アンサンブルがまたよろしい。伴奏は華やかで愉悦に満ちたものだが、それでいてキリッとしまっているのは、これぞヴェーグの棒と云うべきだろう。名作。録音は万全です。ピアノも見事に捉えていますし、管弦楽の響きも実に美しく、軽さを含んだモーツァルト的なものでしょう。DECCAの録音、さすがと思います。

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