クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

アシュケナージのベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ヘ短調「悲愴」

2006年05月28日 05時15分53秒 | 器楽曲
ベートーヴェンのピアノ・ソナタを2日続きのエントリーです。
それには訳がありまして・・・・。

「ラブストーリー」という韓国映画(DVD)を子供が借りてきたので、一緒に観てました。

冒頭から、パッヘルベルのカノン。しかも、演奏はパイヤール!
「いやぁエエ映画やなぁ、これパッヘルベルのカノンや。パイヤールという名演奏やで」としたり顔で解説していたら、煙たがられました・・・・(^^ゞ。

だいたい、パッヘルベルのカノンの最初の部分で、パイヤールはピチカートで演らせるんです。それが効果バツグンだし、テンポが遅いので情感高まるんですな。
そういった曲を使うんだから、これ、ええセンスしている監督なんやろうなぁ・・・・などと観ておりました、もう、ボクが観る久しぶりの純愛映画でありまして、最高でありました。涙を絞られました。

後半からもう、泣くわ泣くわ。滂沱たる涙。
トシを取ると、涙腺がもろくなるんです。いやぁ泣けましたなぁ。
ここで筋は書きませんが、とても真剣な青春の映画でありまして、昔の日本の若者(・・・・つまり今やオジサンとなったワレワレ)を見るようでありました。

その中でヒロインの女学生が発表会でピアノを弾きます。
それがベートーヴェンの「悲愴」第2楽章。

これも良かった。いかにも女学生(だって髪が三つ編みなんだから・・・・もう、それだけでオジサンにはたまらない(^^ゞ)。

少しテンポが遅く、たどたどしいのがまた可愛らしい。一音一音、心を込めて真剣に弾いているのが分かる(映像があるのでそう見えるのかもしれないが)。

こういう聴き方をしてしまうのが、クラシック音楽好きのサガでありまして(パイヤールと気づいてしまうともう嬉しくなってしまうのもアホなサガだわなぁ)、ついでに今日はそういうわけでベートーヴェンの「悲愴」を取り出してしまうわけです。

では改めて・・・(^^ゞ。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番ヘ短調op.13「悲愴」。
ウラディーミル・アシュケナージのピアノ独奏。
1980年のDECCA録音。
アシュケナージがピアニストとして全盛期にあった頃の録音。(全盛期だった・・と書くのは寂しいが)

ピアノの音が、いつものアシュケナージ。クリスタルガラスのような燦めきと透明感、やや冷たい感触とブルー系の爽快さを併せもった、アシュケナージ独特の音色。
瑞々しい清冽な音を聴くたびに、ああ、ピアノというのはなんと美しい音を出すのかと思う。

テンポはやや速め、サラッと弾いてゆく感じ。その軽さと、曲そのものが低音を響かせるところでの重量感と・・・アンバランスなところも面白い。

今日のお楽しみ、聴きものの第2楽章は、歌に溢れて、滑らかに流れるような見事さ。ベートーヴェンの感傷が一杯詰まった素晴らしい音楽。(今日は映画を観た後の、オジサンの感傷も詰まっております)
音色良し、録音良し。
ああ、イイ音楽やなぁと、つくづく思うわけです。


この「ラブストーリー」という映画、沢山出てくる雨のシーンが素敵です。
とてもきれいな雨です。
今日のジャケット写真は、この映画のワンシーン。

ああ、こういう雨なら、そしてあの若さなら・・雨の多いこの季節も楽しめますな。




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