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ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

予感のなかに

2015-04-11 12:23:08 | 2015年4月以降の詩

ものごとはいつも

予感のなかにあるときがいちばん美しい

 

実現したものが美しくなくていい

ということでなく

実現したものの美しさが

遡って

なおさらに

予感を美しくする

 

ときめき

とは

ものごとが成就するそのときに向けて

時が熟していく

その過程をこそ指し示すことば

 

成就した途端に

盛りはすでに過ぎてしまう

 

建築物の完成はゴールではない

有機的な組織機構が成長していく

その過程での

ひとつのエピソードでしかない

その都度の

とりあえずのゴールではあるとしても

 

ほんとうの成就は

だから

いつも先送りしなくてはならない

 

その先に

その先に

 

しかし

その先は

阿弥陀菩薩のような

何億光年ものその先

ではない

 

せいぜいが

わが子の

その子の時代まで

の見通しでなくてはならない

未来永劫への成長ではない

 

ひとは生きているあいだは

ひとに成りきれない不完全な存在

死んで初めて一個の人間になる

その間は成長する

せいぜいがそのスパンでの

成長

 

世界はひとりひとりにとっての世界

ひとそれぞれに住んでいる世界が違う

生きている全ての人間と同じ数の世界が

パラレルに重なっている

それぞれの世界のなかでの成長

ひとつのものさしでは測れない成長

世界が均一に均等に成長していくなどということはない

 

だから

世界の成長を数学的に推測するのは

いつでも近似値の予測でしかない

仮定したものさしでの仮説でしかない

現実は

常に仮説をはみ出す

予測が完全に実現することはない

 

経済学は限られた条件でのシミュレーションでしかない

 

あなたはそれを知っているだろうか?

 

未来永劫の美しさなどない

そんなものに心が動かされることはない

 

ときめく今の美しさ

むしろその予感をこそ

 


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
まるで (小熊)
2015-04-12 02:52:21
杉本博司の建築シリーズのようなものですね。それを美しいと感じるのか、それとも不気味と感じるのか、人それぞれですが。
返信する
おや (千田)
2015-06-06 21:03:14
小熊さん、いま、コメント気づきました。有難うございます。
杉本博司ですか。調べてみましょう。
返信する

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