夕刻
高台の家の庭に立つ
西の山なみから落ちた
見えない夕陽の残影が
稜線のかたちをくっきりと暗く象る
川向かいの家々の北向きの窓と壁面が
夕映えを反映してほの暗く浮かびあがる
午睡から目覚めて
映画のCGの背景のように
芝居の書割のように
実在の街が虚構のミニチュアに
化す
天然の光が光とも見えず
壁面をかすかに照らし
名残の光が
まるで
ほの暗い白熱電球の照明のように
ふと
京都の金閣寺の
向こうの山蔭からゴジラが現れる
と思った記憶がよみがえる
金閣寺は映画(と小説)のために仮設されたもの
に違いない
※改訂前
夕刻の光(2010/11/15)
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