ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

ひとつの断層

2015-01-27 22:59:53 | 詩集湾Ⅱ(1993年5月20日)

愛しあってるかい?

求めあってるかい?

生活しているかい?

 

ぼくが背負うモノ

あなたが背負うモノ

ぼくたちが担うモノ

 

悪魔が笑う夜

愛するモノたちが沈黙し

愛の形式をなぞるのをやめ

ぼくがテレビを眺め

あなたは台所に立ち

ピンクの細かな花柄エプロンの背中の結び目に目をやるとそれはいつものように結んであるがあなたはこちらをふりむかず

 

小さな虫たちが跳梁する網戸

で保護された家

今夜この家にひとつの断層が生まれた

 

詩集湾Ⅱ 第Ⅳ章幻想旅行 より

 

2015年の注;若い頃は、けっこう、こういうのがつらいものだった。いや、若くなくてもつらいものはつらいが、乗り越えた回数、みたいなものは積み重なる、ということだな。


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