ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

時節詠

2009-05-02 23:19:48 | 寓話集まで
春五月
川ばたのススキヶ原が突如
一面枯れはてたか

と目を怪しんだが
怪しむも道理
次第は逆で
枯れたススキの群落の
流れの側と
土手の側と
双方から
鮮やかな濃い緑の縁どりが発ち上がり
冬枯れの景色に溶け込みひそんでいた枯れ草色の一群れが
不意に起ち上がったのだ

ほんの里山の山あいを発し
一世代前は町場の周縁をかたどった流れの
短い中流域の終わりの
川原を覆う
一息に生気づいた枯れススキの原

見わたせば
花の時季は疾く過ぎて
一面建ち並ぶ住宅の周囲や斜面を縁取り
萌黄色の若葉から一段と生気を濃くした
初夏の一歩手前の緑


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2 コメント

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写真入れ替え ()
2009-05-27 21:33:32
 写真、最近のものに入れ替え。
 枯れた草原の、川側と土手側、両方から緑が立ち上がってくる様子、分かるかな?
 この詩を書いた年は、非常にくっきりと分かりやすかったのだと思う。
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あるがまま ()
2010-04-14 23:05:03
 これは、目に見えたままの情景。写真は、トリミングして草原のアップを見せないとよく分からないかもしれないな。目にした時、あれっと驚いたそのままを描いた詩。写生をもくろんだ詩。
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