【俺は好きなんだよ】第1834回
『ルビー・ギルマン、ティーンエイジ・クラーケン』(2023)
原題は、『Ruby Gillman, Teenage Kraken』。
『ルビー・ギルマン、十代の巨大無脊椎海獣』。
製作国:アメリカ
上映時間:91分
日本では劇場公開されず、iTunesなどで配信されている。
スタッフ。
監督:カーク・デミッコ
脚本:パム・ブラディ、ブライアン・C・ブラウン、エリオット・ディギセッピ
製作:ケリー・クーニー・シレラ
撮影:ジョン・ガットマン
編集:ミシェル・メンデンホール
音楽:ステファニー・エコノム
製作会社:ドリームワークス・アニメーション
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
声の出演。<役名>(日本語吹替)
ラナ・コンドル <ルビー・ギルマン> (大平あひる)
トニ・コレット <アガサ・ギルマン> (小林さやか)
ブルー・チャップマン <サム・ギルマン/弟> (織田碧葉)
コールマン・ドミンゴ <アーサー・ギルマン/父> (白熊寛嗣)
ジェーン・フォンダ <グランママ/祖母> (福島桂子)
サム・リチャードソン <ブリル/叔父> (畠中祐)
アニー・マーフィー <チェルシー・ファン・デル・ジー> (浅野真澄)
ジャブーキー・ヤング=ホワイト <コナー/同級生> (綿貫竜之介)
ライザ・コシ <マーゴット/親友> (木村涼香)
エドゥアルド・フランコ <トレヴィン/親友> (バトリ勝悟)
ラモナ・ヤン <ブリス/親友> (清水理沙)
ウィル・フォーテ <ゴードン・ライトハウス船長> (辻親八)
エコー・ケラム <ダグ> (室元気)
ニコール・バイヤー <ジャニス> (漆山ゆうき)
物語。
現代カナダ。
内気で優しい15歳の少女ルビー・ギルマンは、人間のふりをしたクラーケン(海の怪物)
バレないように、必死で、人間社会に溶け込んできた。
母親の言いつけは、とにかく海には入らないこと、そのうえ、宇井には近づかないようにとさえ言われている。
でも、彼女は、大事な学校のイベントで船に乗ることになっていた。親友たちとの思い出にこれは絶対外せない。
なんとか、母親を説得したいのだが、母は頑な。
なぜなら、一家には海の世界から逃げてきた大きな理由があった。
『シュレック』のドリームワークスならではのディズニーの反転系。
今作で反転しているのは、『リトル・マーメイド』つまり小さな人魚が、『ビッグ・クラーケン』つまり巨大海の怪物の話。
人魚のチェルシーのデザインはアリエルにしてますしね。
ちなみに、日本の漫画(アニメ)『侵略!イカ娘』のアメリカ版ではないです。
クラーケン 【Kraken】は、北欧の海の怪獣。 背の周囲が一・五マイルもあり、天地創造の時に生まれ、世の終わりまで生き続けるという。 二匹おり、蛸の姿になることもあり、人間には無害で、時には大漁をもたらす温順な巨魚とされる。(wikiより)
日本ではダイオウイカの影響なのかイカだけど、西洋ではタコの姿で描かれることが多い。
今作でもタコの形をしており、実際タコのイメージで動きを参考にしているそう。
肌が青いのは、ヒョウモンダコ(猛毒を持つ)の色を採用していると思われる。
おばあちゃんクラーケンは緑だけど、タコは緑色にも擬態できる。
お母さんは、ピンク。
かなり『私ときどきレッサーパンダ』(2022)に似ている。
ほぼ同時期製作なので、シンクロニシティですな。
『崖の上のポニョ』からの影響も少々ある感じだったりします。
あと、実写版の『アクアマン』と『モアナと伝説の海』の影響もあるよね。
いろいろ設定はゆるいのだけど、設定詰込みとティーン向けのコメディが強めなので、ある程度はそのゆるさを突っ込みながら楽しむ。
動きの楽しさはタコだけになかなか新しいし、後半のある展開は、迫力あるし。
そういや、『アクアマン2』にもタコ出てきましたしね。
ひっかかるのはギルマン家のみんなが青い肌なのにそれを周りが受け入れて人間だと思ってること。
それとも、カナダには青い肌の人がいるのかしら?
タコなら肌色にも擬態で出来そうなのにな。
その点以外では、脚本がけっこう凝っていて、仕掛けがいくつもあります。
肌の色さえ何とかしたら、評価もけっこう違っていたのではないかしら。
もう少し人間寄りの青い肌か赤い肌にするとか。
とはいえ、評論家はまあまあのB評価くらいで、観客からはおおむね好評のA⁻といった感じです。
男たちが頼りなくて、主人公が数学が得意という設定も取って付けた感じですが、新しい時代に合わせていて、受け入れやすいです。
海ならではの飛ぶような動きもいいし、訓練シーンもいいんですよ。
タコ映画なら、ドキュメンタリー『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』が最高なので、ぜひ。
ネタバレ。
元ネタは『ロイヤル・セブンティーン』かもね。
実写版の『アクアマン』と『モアナと伝説の海』からの引用について。
前者は、キラキネオン系海中描写にトライデント争奪戦など、『2』にはタコキャラもいるし、王族だと知らなかった地上暮らしの王子だし。
後者は、体の模様、蟹キャラと武器を取るための戦い、姫が自分の使命のために出てはいけない外海に出ていくし。
しかも、ピクサーはその前年に地上に憧れる海の怪物少年の話『あの夏のルカ』(2021)を発表しているし、ディズニーは実写『リトル・マーメイド』を製作。
『海中部隊シールチーム』(2021)なんてのも。
2020年頃は、当時、海ものが流行った時期だったのよね。
『ファインディング・ドリー』(2016)の大ヒットが後押ししたのかも。
最後、怪獣ものになるのも、『私ときどきレッサーパンダ』っぽい。
追加クレジット。
YouTuberのプレストン(観世智顕)とブリ・アルセメントは、それぞれ住宅購入者と観光客の声を担当。
映画コメンテーターのジュジュ・グリーンは体育教師。
サウンドデザイナーのランディ・トムが紙吹雪の大砲の声。
アティカス・シャインドリンはトファー。
スザンヌ・ビュルギーはキャロル。
生徒たちの声は、シドニー・ベル、リカルド・ウルタド、カリル・イシュメール、メルク・グエン、カレブ・ピアス、ティファニー・ウーが担当。
好みのセリフ。
「私はモンスターじゃない1 クラーケンだ!!」
追加クレジット。
<メリッサ/マーメイドの女王> アニー・マーフィー (浅野真澄)
海から逃れたのに、湿気がいるから海のそばに暮らさないとならないというのも、まあまあゆるい設定よね。
本当に逃げたいなら、海につながってるけど海から離れた湖とかダメなのかなとか思っちゃった。
クラーケン王国は、太平洋のど真ん中とかにあって、カナダは遠いということなんだろうけどさ。