女性が、恋人の不貞やわがままなど、ある事情をもって訣別するとき、怒りからかビンタをする。
なぜ?
だって、怒っているなら、拳で殴ったり、カバンで叩いたり、キックをするとかつねるとか小さめ暴力を示す方法はいくらでもある。
もちろん、それらが選ばれる時もあるが、多く、ビンタが選ばれるのはなぜか。
相手を懲らしめる時の攻撃方法がビンタなのは、別に日本だけではないが。
たぶん、別れに際して人は手を振る。
ビンタはこの最大級の表現なのではないだろうか。
ゆえに、暴力とされにくいのかも。もっといえば、何か悪いものを押し出し、お別れさせようとする行為として、治療のように思われるのかもしれない。
実は、別れの際に手を振るのは日本独特の仕草。
これは“魂振り(たまふり)”に由来すると言われる。魂振りは、神社でお祓いとして御幣(ごへい。あの紙の雷みたいなもの)を振ること。つまり、旅立ちに相手に神のご加護があるように祈る行為をしていたが、それが変形したものと言われている。(諸説あり。去る人の魂を袖に残そうとする“袖振り”というのもあった)
あれ?
でも、キリストって、「右の頬を打たれたら、左の頬を出せ」って言ってたよね。
あれって、びんたっぽいよね。
あれで、叩くのは手の甲ってことかな。偉い人が無礼に対してやってたような。あ、手袋で叩くときもあるけど、それも甲側だった気がする。
あと、海外の平手打ちは、興奮を冷ましたり、気絶している人を覚ます、ある意味の治療行為でもあるよう。
気絶してる人を往復ビンタで叩いて起こしてるの。
日本だと、体を揺するよね。
ちなみに、ビンタは鹿児島弁で頭部のことで叩く場所を示しているそうです。(頬の場合は本当はホッペタになるのかも)
なので、ビンタは平手打ちの一種。
で、手の甲で打つのも平手打ちになるんですって。あと、ビンタが日本中で広まったのは、明治に軍隊の懲罰としてだそう。だから鹿児島弁なんだとか。
どうやら、頬を平手打ちするのは、懲罰の型だってことだろうね。日本でも海外でも。
海外だと、もはや殴ったり、液体かけたり、物をぶつけるのがスタンダートな気もするけど。
もしかしたら、水をかけるというのも、ある意味で、聖水をかけるような清めの意味があるのかも。
相手を叩くという行為に、気づかせようとする、悪い物を追い出そうとするような調伏の意味が込められているのだろう。
強さではなく、追い出そうというか、気づかせる、バランスをとる行為として。
DVや体罰が愛の行為になるのは、こういう意識もあるのではないか。
座禅での警策で打つ行為に似てるというか。
あれ、「文殊菩薩による励まし」という意味を持ってるらしいし。
ところが、この行為を行う際に、怒りが勝って、物理攻撃となり、暴力となる。
これが問題だ。
相手側にもこれを受けることの意味、つまり行う側の意図が伝わっていれば、問題はなりにくいだろうし、実際、警策はそこまでは痛くないし、一度触ってお知らせするしね。
興奮してる時に、叩くことで冷静さを取り戻させることは緊急時は仕方ない場合もあると思われる。緊急避難的な意味合いで。
そういった特殊状況以外なら、相手の頬に触れる、胸に手をやる、抱き締める、突き放す、など、強い打撃にならないことでも行えるはずだ。
怒りを示す暴力以外の肉体的方法を見つけるってのは大事なことなのかも。
もちろん、怒りを冷ます方法も。
ぼちぼち、びんたも許されなくなって、訴訟に発展するだろうね。
もうなってるか。