宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

ティーカップの中のブラックホール嵐

2015年02月16日 | ブラックホール
宇宙においては、ありふれていていてあまり面白みがないと思われてきた楕円銀河で、
実は超大質量ブラックホールによる活発な活動が起こっていることが、VLAを使った観測で分かってきたんですねー
ティーカップ銀河の疑似カラー画像。
緑:恒星の光、青:ガス、赤・黄:電波放射、明るい黄色ジェット。

銀河中心の超大質量ブラックホールから生じる、激しいジェットや高速風は、
星形成に必要な銀河内の物質を取り去ったり、破壊したりすると考えられています。

これは電波でとても明るい銀河で、
実際に、ジェットによる現象が起こっている直接的な証拠が、
得られてきたからです。

でも、こうした銀河は数が少ないんですねー

なので、宇宙全体の銀河について知るには、
活動はそれほど激しくないが数は多い楕円銀河でも、
同じようなプロセスが発生するかどうかを調べる必要がありました。

今回の研究では超大型電波干渉計“VLA”を使い、
うしかい座の方向11億光年彼方の銀河“JI430+1339”(通称「ティーカップ銀河」)を観測。

ハッブル宇宙望遠鏡の観測では、
この銀河は見た目には楕円銀河である証拠が得られているのですが、
周囲はガスで取り囲まれていて、星形成銀河から形をかえつつあると見られていました。
超大型電波干渉計“VLA”

“VLA”の観測から、
銀河には3万から4万光年の大きさの泡構造が、
中心核の両側にそれぞれ広がっていて、
長さ約2000光年のジェット構造も存在していることが分かります。

可視光で観測すると、秒速1000キロまで加速されたガスが存在していて、
これはジェットの位置と一致しているんですねー

研究では、ティーカップ銀河の中心で、
ブラックホールの活動によって、ある種の嵐が発生していることが分かることに。

強力なジェットがガスを加速し、
また、もっと大きなスケールではジェットとガスが衝突しているんですねー

このようなプロセスは電波で明るい銀河だけでなく、
宇宙にありふれた電波で暗い銀河でも起こっているということが、
“VLA”の電波観測から明らかになったということです。