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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

難易度は火星並み? 巨大小惑星“ケレス”の有人探査

2013年11月28日 | 宇宙 space
2030年を目標に、火星と木星の間にある小惑星帯最大の天体“ケレス”への有人探査が計画されています。

アメリカのオバマ大統領は2010年に、「2025年までに人類を小惑星に送る」という目標を掲げました。

これにより、久しく途絶えていた地球周回軌道から先の有人ミッションが、現実味を帯びてきたんですねー

たとえば、NASAではロボット宇宙船で捕獲した小惑星を月まで曳航して、現地に宇宙飛行士を派遣する計画“小惑星イニシアチブ”を進めていて、2021年には実現できると見込まれています。

でも、NASAの計画では小惑星のサイズに限界があり、もっと大きな小惑星に人類が降り立つ方法を考える研究者もいるんですねー

狙いは、現在準惑星に分類されている天体“ケレス”。

“ケレス”は初めて発見された小惑星で、直径はおよそ975キロもあり、自らを球形に形成する引力を持つほど大きい天体です。
映画などに出てくる小惑星が、ジャガイモのようないびつな形をしているのは、
サイズが小さいからなんですねー

下から順に、小惑星ベスタ、準惑星ケレス、月、水星、火星の大きさを比較したイメージ図


さらに“ケレス”の外郭の内側には、大量の氷が存在する可能性が指摘されています。
液体の水もあり得ない話ではなく、ことによると地球外生命体が見つかるかもしれません。


“ケレス”への旅には、電気的に推進剤を放出するイオンエンジンの採用と、
電力源として、重量が軽く電力を安定供給できる、原子力エネルギーが良いと考えられています。

旅は3つのパートに分けられ、
まず、無人の補給機が“ケレス”に先乗りし、宇宙飛行士が現地で過ごす物資や、帰還用の設備と推進剤を持ち込みます。
次に、有人用の探査機を無人の状態で、楕円軌道に乗せて加速。
最後に、小型のカプセルに乗った宇宙飛行士たちが追いかけて、探査機とランデブーして“ケレス”を目指すんですねー


ケレス・ミッションの総重量は、国際宇宙ステーションと並ぶ450トン程度になるのですが、
重量物運搬用ロケット4基で、すべて軌道に乗せることが可能なようです。
これは、現在研究が進められている、火星有人探査計画とほぼ同じ規模になります。

要は「“ケレス”も火星も難しさは、さほど変わらない」 っと言うことになります。

今後、克服すべきボトルネックは、原子力電池が12メガワットの電力を安定供給できるかという点になります。
でも、この数値はいまの技術では不可能なんですねー

ただ、推進剤を増やせば8~9メガワットで済むし、
月の重力で加速する方法や、“ケレス”の水分を電気分解して推進剤に利用する手も考えられます。

計画では、2026年10月に補給機を打ち上げて、2030年8月~2032年5月に有人ミッションを行うそうですよ。