少子高齢化社会の中で施設の維持管理及び更新コストが自治体の財政を大きく圧迫する見通しの中で、宮代町がこの分野で先進的な研究を行っている東洋大学PPP研究センターに依頼していた「宮代町公共施設・インフラの更新のあり方の研究」の報告書がまとまり、25日、宮代町議会全員協議会の席上その内容が公開された。
これによると「歳入が短期的にも中期的にも減少こそすれ伸びる見込みが薄く、福祉等他の分野の予算を減らすことが難しい現状では、『従来どおりの公共投資を行いながらさらに更新投資も実施する』ということは不可能である」とし、
●新規の公共施設は建設しない。必要な場合は多機能化した中核コミュニティ施設や民間施設に入居する。
●既存の公共施設は、量的圧縮を図り、学校に学校以外の周辺機能を集約して多機能の中核コミュニティとする。
●社会的に意味があり、物理的に長寿命化が可能な施設は長寿命化改装を行う
●インフラについても聖域とせず大胆な見直しを行う
ことをルール化する必要があるとしている。
この考え方を基に、
維持 統廃合を行わずに現状を維持したケース
A案 中核コミュニティへの一定の集約を行うケース
B案 大胆に集約して更新費用を大幅に削減するケース
の3つの考え方とその詳細統廃合プランを提示している。
例えば、
A案の場合、中核コミュニティ施設を須賀小中学校、東小学校、百間小学校、旧笠原小学校(小学校としては廃止)の4箇所に設置し、周辺公共施設の機能を吸収する。この場合施設更新費用を23.3%程度削減できる
B案の場合、東小学校を廃止、中学校を1校に統合し、東小のあとに統合中学校を新設。中核コミュニティ施設を須賀小、統合中、百間小、笠原小の4箇所に設置し、周辺公共施設の機能を集約する。この場合施設更新費用は39.1%程度削減できる。
としている。
これらは、いずれも東洋大学PPP研究センターの案であり、A案とB案を相互に入れ替えた案などさまざまな考え方も可能である。同報告書でも「この案を推奨しているわけではなく、その優先順位を判断できるのは町及び町民でしかない」とし「ともすれば部分的、主観的に陥りがちな公共施設の在り方の議論にあたって総合的、客観的な議論ができるような材料の提供を目指した」としている。
いずれにしても、今回の報告書は、これまでの右肩上がりの中で建設された施設を中心とした施策のあり方を考えなおし、少子高齢化社会に対応したコミュニティのあり方など、まちづくりの方向性を大幅に軌道修正するよう求めているともいえる。
宮代町ではこの報告書を受けて、現在検討作業を行っている第4次総合計画にも、報告書の考え方や提言を盛り込む作業を行う一方、来年度から、町や議会、町民等の十分な検討と論議を活発化させていく考え。