薬屋のおやじのボヤキ

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ヒトはなぜ塩っ辛い物を食べてしまうのでしょうか。それは人類進化の傷跡なのです。

2011年11月08日 | ミネラルが最重要

ヒトはなぜ塩っ辛い物を食べてしまうのでしょうか。それは人類進化の傷跡なのです。

 ご迷惑をおかけしますが、ただいま塩分調節機能が故障中です。
 ヒトの生体反応は、残念ながら、このような状態になっていまして、塩分を摂り過ぎてしまうことが往々にしてあります。となると、減塩に心掛けなければならないということになりますが、ヒトの体は、まあまあうまくできていまして、何とかしてくれるものです。もっとも、程度を超えて塩分を摂り過ぎれば障害が生ずるのは当然のことですが。

 さて、ヒトはどうして塩分を摂り過ぎてしまう傾向にあるのでしょうか。
 陸生哺乳動物で、こんな障害を持つものは
ヒトだけです。ここで、陸生に限定したのは、海生のものにあっては、ヒゲクジラ類のように、プランクトンを食べるときに、どれだけか海水も一緒に飲まざるを得ない種がいるからで、彼らは、当然に塩分の摂り過ぎになってますが、それに順応し、また、排泄力も有しているからです。

 ヒトの塩分過剰摂取の原因として、まずは、文明によって食塩を作る技術を覚え、食塩を味付けに多用するようになったことが挙げられます。そして、今日の食生活においては、手抜き料理が多くなって、また、廉価な外食を食べる機会が増え、濃い目の塩味に慣らされていることです。まずい食材であっても、塩を濃くすれば、いとも簡単に美味しくすることができますからね。

 しかし、これは本質的な原因ではないでしょう。塩分は、陸生哺乳動物も必要とします。彼らは、どちらかと言えば塩分が摂取不足ぎみでして、塩分が濃縮された地層が露出していたり、そこから染み出してくる湧き水があったりすると、それを好んで食べたり飲んだりすることがあります。類人猿のオランウータンにあっては、そうした場所から遠く離れている地域には住もうとしないと言われているくらいです。
 でも、彼らは、そうした場所に頻繁に現れるものでもなく、少々舐める程度で済ませていますから、体に必要な量が摂取できれば、そこでストップできる能力を持ち備えているとしか考えられません。つまり、塩分調節機能を舌に持っていることでしょう。

 では、なぜにヒトは、その機能が働かないのでしょうか。これは、人類進化の歴史の中に原因していると思われます。ヒトは、チンパンジーから進化するにあたり、一時、半水生生活をしていて、それが海あるいは塩水湖であったとの説があります。これについては、小生の別立て「永築當果のブログ」の中の人類水生進化説」で詳細に説明していますので、ご覧いただけると幸いです。
 ヒトが長く塩水に親しんでおれば、ヒゲクジラ類のように塩分調節機能が壊れてしまっても大丈夫な体になったでしょうが、一時であったがために、きっとこの塩分調節機能が故障中の状態にあるのでしょうね。これは個人差が有って、かなり回復しているヒトもおられるようですが、何ともならない人が多いような気がします。皆が皆、回復するには、まだ何十万年、何百万年もかかることでしょうし、もはや不可能かもしれません。

 いずれにしても、ヒトという動物は、生物界における欠陥商品の見本のような存在でして、様々な内臓疾患を抱えていますし、身体障害者でもあるのです。
 そもそも内臓は背骨で吊り下げられ、背骨が地面と水平な状態、つまり四足で生活すると都合が良いようにできているのですが、ヒトは直立したがために、内臓同士が押し合い、挙句の果てに重力で下に引っ張られても腹で受けられず、垂れ下がるばかりになって、胃下垂、脱腸などヒトにしか生じない疾患が多く発生するのです。膝、腰、足首の亜脱臼や関節炎の多発も、直立二足歩行という、おかしな格好で歩くことによります。
 それ以外にも、我々が気が付かない重大な疾患がいくつかありますが、それは、先に紹介しました小生の別立てブログをご覧いただくとして、ここでは省略します。

 脱線してしまいましたが、本題の塩分の話に戻しましょう。
 塩分を摂り過ぎると、血圧が上がる方が3~5割おみえです。生体反応としては、これが正常でしょうが、これがために脳出血などの循環器系の疾患が心配されます。もっとも、一昔前までは、高血圧は160以上となっていまして、これくらいであれば全く問題ないです。(このブログ記事「 おいしい高血圧患者(その1~3)」で詳細を書いています。)

 でも、塩分を摂りすぎても血圧が上がらず、塩っ辛い物が好きな方となると、少々問題になってきます。一面、塩分過多に順応し、ヒゲクジラ類に近い機能を有していて、そういう方は何も問題にならないと言えるのですが、はたして皆が皆そうであるのかどうか。
 やはり、生体に無理がかかり、循環器系の疾患はじめ様々な生活習慣病の原因になっている恐れがありますし、免疫系にも障害を起こしかねないでしょう。

 ミネラルはバランスが肝腎です。カルシウムとマグネシウムの関係と同様に、ナトリウム(食塩:ナトリウムと塩素の化合物で水に溶ければ両者がイオン化してバラバラになります)とカリウムはバランスが重要になります。
 ともに電子を1個放出してプラスイオンになり、極めて水に溶けやすいです。真水を電解質にして電気を流れやすくし、神経や筋肉を動かす電気信号を伝わりやすくします。
 そして、ナトリウムイオンとカリウムイオンが神経細胞から出たり入ったりして、神経細胞を興奮させたり鎮静させたりします。これによって、電気信号が伝わるのです。
 よって、ナトリウムイオンとカリウムイオンのバランスが整わないと、神経細胞の正常な働きができにくくなるのです。特に、ナトリウム不足になると、精神不安に陥りやすいです。
 (ここで、お断りをしておきますが、この電気信号に関する記述は、正確ではなく、大雑把に捉えれば、だいたいこんなものと考えてください。)

 こうしたことから、塩分を過剰に摂取してしまう方は、カリウムを積極的に補給する必要があるのです。カリウムは野菜や果物に多いです。促成栽培された野菜は総じてミネラルが少ないですが、カリウムだけは十分に含まれています。なぜならば、化成肥料が大量に使われ、その3成分の一つがカリウムだからです。
 大いに野菜を食べたいものです。そうすれば、ナトリウムの害をかなり防ぐことができましょう。厚生労働省も米国(高血圧合同委員会)の後追いをして、カリウムの摂取基準を2005年に大幅に改定しました。もっとも、その数値は余りにも大き過ぎて、2010年には可能な程度に下げました。
 参考までに、最新のその数値を挙げておきましょう。

 カリウム摂取 高血圧予防目標量[2010年版] (カッコ内は充足率)
  20~29歳 男 2800mg(74%) 女 2700mg(69%)

  30~39歳 男 2900mg(75%) 女 2800mg(68%)
  40~49歳 男 2900mg(74%) 女 2800mg(74%)
  50~59歳 男 3000mg(82%) 女 3000mg(81%)
  60~69歳 男 3000mg(93%) 女 3000mg(87%)
  70歳~   男  3000mg(86%) 女 2900mg(81%)

 なお、充足率は、2008年11月の「国民健康・栄養等調査」における栄養等摂取量の値を用いて算出しました。
 これだけでは、正しくありませんから、もうひとつの摂取基準を示します。

 カリウム摂取 目安量
  男 2500mg 女 2000mg

 これは血圧が正常な方の摂取基準と考えて良く、これは、2005年版より大幅に上げられました。なお、厚生労働省の摂取基準は、米国の後追いをしながら、くるくる変わりますので、あまり数値に囚われる必要はなく、参考程度にすればよいと思います。
 この目安量からすると、50歳未満の男性に摂取不足の傾向にあるということになりますが、重要なのはナトリウムとカリウムのバランスですから、塩っ辛い物を食べるときには、野菜をたっぷり取れば、基本的には問題ないです。

 体に必要な塩分(ナトリウム)ですし、冬には「腎」(腎臓や膀胱そして生殖器)が塩分を求めていると解するのは、3000年にわたり経験を積んできている中医学(漢方)からして正しいでしょうから、冬には塩味をほど良く楽しめば良いでしょう。これについての詳細は、このブログの一つ上の記事「 立冬から冬、何を食べますか 」をご参照ください。
 いずれにしましても、冒頭で述べましたように、ヒトの体は、たいていの方が“ご迷惑をおかけしますが、ただいま塩分調節機能が故障中です。”の状態にありますから、過剰摂取かもしれないナトリウムの害を消すために、カリウムたっぷりの食材である野菜(どんな野菜でも可)を毎日たくさん食べることが、他の面からも望まれることになります。

(追記)
 減塩に気を使いつつ、高血圧予防にカリウムを十分に摂ろうと、生野菜に塩を振らずに食べられる方がみえますが、こうした方はナトリウム不足になる危険性があります。
 体の生理機構が正常に働かなくなり、特に体に冷えを起こします。
 カリウムの多い食品は体を冷やし過ぎますから、塩(ナトリウム=体を温める)でもって打ち消す必要がありますし、ナトリウム・カリウムのバランスを取ることが大事です。
 「塩っ辛すぎない、美味しい」と感ずる塩加減にして召し上がってください。

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