減塩のし過ぎは考えもの。精神不安、腎の働き低下、胃の殺菌力低下など悪いことだらけ。
日本人の食塩摂取量は、平成10年「国民健康・栄養調査」によると、成人男子が約12グラム、女子が約10グラムでして、食塩は過剰摂取となっており、厚生労働省は、推奨量として、男子が9グラム未満、女子が7.5グラム未満としています。
つまり、食塩は約3割も摂り過ぎており、大幅に減らさなきゃいかんと、厚生労働省は言っているのです。
なぜに減塩しなければならないのか。これについては、高血圧になるからだと言われ、高血圧は循環器系の疾患を引き起こす元凶だと説明されています。
しかし、いくら減塩を叫べども、食塩の摂取量はどれだけも減りません。大きな原因は、外食産業やインスタント食品にあり、減塩しては飲食店から客は遠ざかるし、加工食品が売れません。家庭でもそうなります。塩味を控えるとまずくなり、家族から文句が出ますから、味見したときに、まずければ塩なり醤油を足すでしょう。
多分こうしたことから、米国では、減塩運動をあきらめて、ナトリウムの害を消してくれるカリウムの大量摂取を呼びかけることにしたのではないでしょうか。
それで、厚生労働省は、日本の官僚の特徴であるところの、一旦言い出した減塩運動の旗は降ろすことなく、これを続けながらも、米国に習って、カリウムを大量摂取するように栄養素の摂取基準を改定したと、小生は思っています。
さて、減塩し、厚生労働省が言うところの、男子が9グラム未満、女子が7.5グラム未満に持って行くのは、ヒトの健康を考えるに、これは良いことでしょうが、「未満」という言葉に引っ掛かります。
食塩の2成分(ナトリウムと塩素)は必須ミネラルですし、これが欠乏しては大変なことになります。ゼロであれば、死に至ります。
よって、極端に減塩すると、様々な障害が出てきます。
まず、ナトリウムですが、カリウムとセットになって神経細胞に働くことは、「 ヒトはなぜ塩っ辛い物を食べてしまうのでしょうか 」で書いたとおりでして、ナトリウムが欠乏すると精神不安に陥ることが分かっています。カルシウム不足で精神不安になるのと同様、ナトリウム不足でもそうなるのです。
次に、中医学(漢方)からすれば、「腎」(腎臓、膀胱そして生殖器)が弱ります。特に冬場においてはそうなります。これは「 立冬か冬、何を食べますか 」の記事で書きました。
そして、塩素不足も大きな問題になります。
塩素は塩酸を作る元になり、これが胃酸となって、胃における消化と殺菌作用を発揮する上で不可欠なもので、減塩は、消化不良と殺菌力の低下を招くのです。
そもそも胃弱な日本人ですから、胃酸の分泌が少しでも減ると、直ぐにこうした障害が起きてしまうのです。東南アジアへ旅行して同じ食事をとっても、欧米人は大丈夫でも日本人だけにコレラを発症する例が多いことからも、明らかなことです。コレラ菌は胃酸が十分出れば簡単に殺せるものですからね。
自分は十分に減塩しているから健康が保てている、と思っていらっしゃる方は、ここに挙げました「精神不安」「腎の弱り」「消化と殺菌力の低下」が起きていないか、今一度チェックなさってみてください。何事も、行き過ぎは健康を害することになりますからね。
(追記)
野菜を毎日しっかり食べておられる方は、カリウムが十分に摂取できていますから、減塩するのは問題があります。体の生理機構が崩れ、特に冷えを引き起こすからです。
こうした方は、野菜に適度な塩を振る必要があります。
塩(ナトリウム=体を温める)で、カリウムによる冷えを中和してくれます。
果物も極端にカリウムが多い食品ですから、塩を振って食べるのが原則となります。
推奨量の男子が9グラム未満、女子が7.5グラム未満とするための減塩の必要性は全くなく、「塩っ辛すぎない、美味しい」と思う塩味を楽しんでいただいてかまいません。
(追記2)
関連する次の記事もご覧ください。
「 減塩は大間違い!塩味を楽しんでイキイキ元気! 」
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