90歳過ぎた母、近くの施設に入所してから4~5年に成る。時々洗濯物取りに行ったついでに顔を合わせ健康状態や家族の話をして来る。パーキンソン病等の高齢者特有の病気が重なり足は丸張り歩行は困難で車椅子で移動をしている。
歳相応の物忘れはしているが酷いボケにはなってない。手の指は効くので食事は自分でまだ大丈夫だが難聴で耳元で大きい声で話をするとどうにか会話は出来る。難聴なので自分の話する事は自分に聞えないので段々言葉が忘れて行くようだ。
加齢から来るいろんな障害でこの頃弱って来るのが分かる。施設内だけでは頭、体には良くないと思い季節の変わり目や仕事の合い間をみては家内と一緒に連れ出して外食をする。
前は好物の餅を持参した料理鋏で細かく刻んで喉に詰まるのを防いで食べさせていた。好物の納豆餅、アンコ餅等パクパクと美味しく食べていた。近年飲み込む力が弱くなったので近くの食堂の麺類を食べさせる。洗濯物を取りに行った時に施設の職員に外食届けを出して許可を貰っていた。外食出るにも食後の薬等の準備があるので許可が必要。
台風11号の影響で小雨の中仕上げ摘果を途中から止めて昼食時間に合わせて施設に迎えに行く。入居者は食堂に集まりテーブルを囲んで椅子に座って昼食を運んで来るのを待っていた。
会話の出来ない入居者ばかりで黙って顔の変化もなく座っている。食堂一同を見廻して母を探すと施設の職員から外食の知らせで覚えているか俺と顔を合わすと微かにニコッとした。頭ごとに体は丸め目だけはこちらに向けている。
喜ぶ顔の変化を見て一安心して車椅子毎玄関口に移動して車に乗せる。骨と皮だけで体重は軽く大分体は硬直して車椅子から車に載せる。。最初は大変だったがこの頃何回載せているのでズボン毎後から持ち上げ楽に出来る。店内には夏休みに入る子供連れのお客さんがいたが混雑はしていない。
何回も外食で来ているそば屋さんで母の要望で今回は麺類でも蕎麦を注文する。家内は店主に料理鋏でソバを短く刻んでくれとお願いをしていた。高齢で入れ歯も使わなくなり刻み食の施設内の食事で歯茎が硬くなって来たが出された蕎麦を食べるには難義している。
小鉢に分けた熱い蕎麦、スプ-ンの先はホークになっていて左手でやっと口までは持って食べる。口に入れても歯がないので短い蕎麦は飲み込む力は弱まりボロボロを口からこぼれ落ちる。リハビリのつもりで一緒に座って黙って側に座って見ている。
休み無しで指、手を使い難義して食べていたが後で家内はドンブリについて来た小さいしゃくしに汁毎短い蕎麦を母に食べさせていた。美味しいそうに一心腐乱わき目もふらず食べている母。