京都新聞web版7月23日付記事からです。過去洪水被害を出した京都市西部を流れる桂川の整備の在り方について、国土交通省の近畿地方整備局淀川河川事務所は23日、京都府、京都市などとともに検討する「桂川嵐山地区河川整備検討委員会」を設置したとのことです。
最近では各地で洪水被害があった2004年(平成16年)台風23号規模の洪水に対応できる流下能力の確保とする方針で、一帯の景観や観光に配慮した改修工事を検討していくとのこと。
記事→http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20120723000135
淀川水系の桂川は、他の水系に属する宇治川と木津川の三川中、最も低いとのことです。過去50年間で計画高水位を超えた水害は11回あり、5年に一度の割で堤防決壊の危機があるとのこと。そこで「桂川は緊急的な流下能力の確保が必要」として、向う30年間に渡り段階的に河川改修を進めていくとのことです。
桂川は嵐山付近で毎秒900トンの流下能力で、これを2004年台風23号時での毎秒2300トンに引き上げ、最終的に戦後最大の出水量だった1953年台風13号の際の毎秒2900トンに供えるとの目標。そのために河底の掘削、川幅の拡幅、中洲である中ノ島公園の形状変更などがあり、どのような対策が有効か、そして嵐山という最大の景観地での影響を委員会で検証していくとのことです。
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そうですか、桂川の河川改修。ここで川の呼び方を整理。国土交通省管理の一級河川名としては、上流の源流から淀川合流まで「桂川」という名称ですが、通常の呼び方としては、
- 左京区広河原の源流から八木の辺りまで・・・桂川
- 南丹市八木から亀岡市のどこかまで・・・大井川(大堰川)
- 亀岡市から渡月橋の上約100mの辺りまで・・・保津川
- 渡月橋の上約100mから渡月橋まで・・・大堰川
- 渡月橋から淀川合流まで・・・桂川
です。川の名前が地区地区によって変わるのは珍しくないですが、桂川は呼ばれ方がクルクル変わりますね。
京都新聞記事にあった2004年(平成16年)台風23号は、広く近畿地方に大きな被害を与えた台風で、舞鶴の近くで川の氾濫で観光バスが水没し、屋根の上で夜が明けるのを待ったという、あの台風の時です。
その台風23号が去ったその日、実は私、この嵐山地区へ行きました。午前の交通情報では道路が冠水しているらしいとの報もありましたが、とにかく行きました。嵐電嵐山駅がある左岸でしたけど、明らかに水没した後。その復旧作業のところ、とても手が付けられないようすのところと、全国ニュースでは全く伝えられませんでしたが、あの台風では嵐山も大きな被害が、あったんです。
歴史的に見てもここは山峡から抜け出たところで、水は自由自在に流れ出ようとするところで水害は多く、渡月橋の下流では緩く右にカーブさせる為に、江戸時代に左岸強化の為に罧原堤(ふしはらつつみ)と呼ばれる堤防が築かれました。
そんな地嵐山は、同時に風光明媚な景勝地。小山のような堤防もなく、渡月橋自体が景観なのですが、それが却って災害には弱い構造。そのためにこの検討委員会が発足したわけですが、今後はどうなるのでしょうか。堤防のかさ上げ、中ノ島も堤防で囲まれると、今の景観が大きく変わる事になります。
平成16年の台風23号で増水した桂川。これでもかなり水量が下がりました。10月21日撮影。
同じく渡月橋上流。ここが大堰川。画面中程の流れの段差が江戸時代の堰で、手前の角倉了以が造った西高瀬川へ水を取り入れています。
普段の渡月橋。左端が中ノ島公園。
このような光景も30年後には変わってしまうのでしょうか。洪水・水害対策とのかね合いもあり、景観保存とはとても言えません。止むを得ないことです。