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超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

欧州超心理学研究の要:クリストフ・シュレーダー

2007-10-16 | 論文ガイド
<PA2007(31)>

超心理学の隠れたパイオニアを偲ぶ④
●「欧州超心理学研究の要:クリストフ・シュレーダー」
 ピーター・ムラッツ(ウイーン)

ベルリン大学教授で昆虫学者のクリストフ・シュレーダー(1871-1952)
は、1930-41年まで「メタ心霊研究論文誌」の編集をし、自宅に研究所
を開設していた。彼は、テレプラズマ(エクトプラズマ)やテレキネシス
(念力)で有名な霊媒マリア・ルドルフ(じつは彼の義母であった)の
研究報告で有名である。またこの間、現在のPAの前身に位置づけ
られる数回の国際会議(とくに1927年のソルボンヌでの会議)に参加し、
各国の研究者と交流した。ドイツ版の「超心理学論文誌」が1934年に
姿を消したのに対し、彼はドイツの研究活動を長く存続させたといえる。


メタ心理学者:エミル・マティーセン

2007-10-15 | 論文ガイド
<PA2007(30)>

超心理学の隠れたパイオニアを偲ぶ③
●「メタ心理学者:エミル・マティーセン」
 エバーハルト・バウワー(IGPP ドイツ)

エミル・マティーセン(1875-1939)は、幼いときから音楽の
才能を見せ、作曲家としても有名な学者である。1896年に早くも
ライプチヒ大学で哲学の博士号を取得し、多様な宗教や文化を
調査しに世界中を回った。

1914年にロンドンで書いた「神秘体験のメタ心理学入門」では、
超常現象を、現象学や心理学、さらに宗教体験や神秘体験と統合
した視点から宗教心理学に新たな基盤を与えた。彼は、超常現象
をメタ心理学的事実と、今日の変性意識状態をトランスリミナル
と呼んだ。

1925年からは田舎にこもって、死後生存の証拠を議論する本を
執筆した。彼の著作は2100ページにもなるが、すべてドイツ語で
英語圏で顧みられることはあまりなかったのである。


アメリカでの心霊研究の普及:R・O・メイソン

2007-10-14 | 論文ガイド
<PA2007(29)>

超心理学の隠れたパイオニアを偲ぶ②
●「アメリカでの心霊研究の普及:R・O・メイソン」
 カルロス・アルヴァラード(超心理財団 ニューヨーク)

R・O・メイソン(1830-1903)は、1869年からニューヨーク市で開業
していた内科医で、催眠の治療効果や多重人格の研究で知られる。
心霊研究書としては「テレパシーとサブリミナル・マインド」が有名。

メイソンは心霊研究協会に、催眠中に現れたESP、自動書記、夢遊
などの事例研究を報告している。また、霊的媒体が心を結びつけて
テレパシーが起きると説明している。

彼の研究は1893年ニューヨークタイムズに心理学の最先端としてとり
あげられた。またフレドリック・マイヤース(1843-1901)のサブリミナル
・マインドの考えに注目し、潜在的な自己がテレパシーを媒介して
意識的な自己へ伝えると論じた。


超心理学の名づけ親:マックス・デソアール

2007-10-13 | 論文ガイド
<PA2007(28)>

超心理学の隠れたパイオニアを偲ぶ①
●「超心理学の名づけ親:マックス・デソアール」
 ゲルト・ヘーベルマン(マールブルグ ドイツ)

マックス・デソアール(1867-1947)は、ドイツの天才的哲学者であり
心理学者で、1889年の論文で「超心理学」という用語を初めて提案した。

彼は18歳のときにすでに心霊研究協会のメンバーになり、著名な霊媒
ヘンリー・ブレードの交霊会に会席している。19歳のときには、その
協会(SPR)の論文誌に英語で論文を発表している。21歳で早くも
催眠に関する論文集を発刊している(この本は2002年にアメリカで復刊
されている)。

24歳では「二重自我」という本を出し、フロイト(1856-1939)の精神分析
理論の先駆者として評価された。2年後には、「心理学の見取図」という
本のなかで、奇術の心理学とその心霊研究との関係を議論している。

彼は、26歳になる前にすでに、学術博士と医学博士を取得し、まもなく
ベルリン大学の哲学教授に就任する。霊媒に関する本を多く出版したが、
物理現象を引き出す霊媒の懐疑的分析も行なった。

また彼は、1920年代にラジオを使った通信教育を開拓した。執筆した本は
美学芸術学、哲学史、日常心理学、講演の技能など、多岐にわたった。

1933年にナチに職を追われ、45年にはベルリンの空爆で、自宅や資料を
焼失した。ケーニッヒシュタインに逃れて47年に逝去するが、そこでは、
超心理学にかんする見方も綴った自叙伝を書きのこしている。


超心理学の他の科学分野との接続

2007-10-10 | 論文ガイド
<PA2007(27)>

PA50周年記念シンポジウム③
●「超心理学の他の科学分野との接続」
 エドウィン・メイ(パロアルト カリフォルニア)

科学の発展は測定技術の進歩と同調している。たとえば、
レーリー=ジーンズの黒体放射の紫外崩壊は、波長の細かい
測定技術の進展によって精密に描かれ、プランクの量子論の
発想を正当化した。

超心理学分野でも同様に、実験の精密化が理論構築に大きな
インパクトを与える段階にあるだろう。統計的分析で明らか
になったことだが、効果サイズの小さな強制選択の超心理実験
よりも、効果サイズの大きい自由応答実験が行なわれるように
なった。超心理の体験をしているのに報告できない問題を
解決するために生理学的な指標を利用する技術が高まった。
さらに既存の技術を導入して、超心理実験を高度化することが
できるだろう。


超心理学の知見の普及

2007-10-09 | 論文ガイド
<PA2007(26)>

PA50周年記念シンポジウム②
●「超心理学の知見の普及」
 スタンリー・クリップナー(サンフランシスコ)

現在この分野の論文誌は、投稿論文や購読者数の減少で、発行が
遅れがちであり、かつ維持が難しくなっている。代わって、良質な
書籍の発刊や、インターネットを使った、ブログなどの情報発信が
増えている。

新しい見方や応用が示されてきているのに、依然として研究費が
十分でなく、世界に誇れる研究を行なっているのは、一握りの研究
機関である。また超心理研究を超心理学者以外が行なう傾向が
出てきており、そこからブレークスルーが起きれば、たいへん皮肉
な事態である。



超心理学は科学として発展するか

2007-10-08 | 論文ガイド
<PA2007(25)>

PA50周年記念シンポジウム①
●「超心理学は科学として発展するか」
 エバーハルト・バウワー(ドイツIGPP)

超心理学は、経験的に妥当な理論の構成、日常生活への実用的・
技術的応用、科学者社会への受容、のどの点をとってみても、
50年たってみても、なおほとんど黎明期である。

しかし近年、超心理学界の外でも超心理現象が実験的に確認されて
きたこと、統計的分析が洗練されて実証への道筋が見えてきたこと
は特筆すべきである。イギリスでは、10の大学で超心理学のコース
が設置されており、なかでもノーサンプトン大学では特異心理過程
研究所が設置され、超心理学も含めた「トランスパーソナル心理学と
意識研究」の修士課程がスタートしている。

また、臨床心理学とのかかわりで超心理学が発展する可能性があるが、
もっとも期待がもてるのは、量子からみあいの拡張によって、因果的
情報伝達ではなく相関現象として、超心理の理論的発展が見込まれる
ことである。じつは、この観点の歴史は古く、1959年のガードナー・
マーフィーの議長講演に触れられているし、1974年にはジェノヴァで
「量子物理学と超心理学」をテーマに最初の会議が行なわれている。


写真の異常検出能力者の特徴調査

2007-10-04 | 論文ガイド
<PA2007(23)>

スウェーデンより
●ヴェントラ&テルフネ 「写真の異常検出能力者の特徴調査」

人々に超常現象が起きていても、気づきやすい人と、気づきにくい人
がいるにちがいない。何らかの異常な部分が含まれている写真を見せて
それに気づくかどうか、WEBページで調査した。

異常検出が得意な人は、超心理信奉が高いか、またあいまいなことを
許容できるか(質問紙AT-20)、分析はこれから。


超心理体験の遺伝解析

2007-10-03 | 論文ガイド
<PA2007(22)>

チリより
●シリング&モラ 「超心理体験の遺伝解析」

230人(うち171人は41の家族メンバー)に質問紙調査をして
遺伝解析をした。

その結果、テレパシー・透視・予兆の体験は共通した染色体性劣性遺伝子
が寄与しているという仮説を支持するものであった。一方、宗教カルトへ
の親和性にはその傾向が見られず文化的要因によるものと考えられた。

よって、両親が超心理体験をしなくとも、子どもが体験する場合がある。
また、両親が体験をすると、子どもはほとんど必ず体験するとなる。
それは、超心理体験を抑制する遺伝子が欠けているからと説明される。


コロンビアの部族における憑依と自殺の調査

2007-10-02 | 論文ガイド
<PA2007(21)>

チリより
●セルジオ・シリング 「コロンビアの部族における憑依と自殺の調査」

コロンビアのエンベラという350人の部族では、2001年以降、
憑依事例が26、自殺事例が28あった。それらについて部族に
聞き取り調査し、加えて疫学的調査、遺伝的分析を行なった。

寄生虫などの影響は否定的であった。トレット症候群による影響も、
それが統計的に男性に多いのに対し、本調査では女性に多いこと
から否定的であった。

側頭葉てんかんの可能性は否定できないが、心因性のてんかんの
ほうが可能性が高い。統合失調症や他の病気の可能性は考えにくい。
しかし遺伝的分析によると、遺伝病の可能性はぬぐいきれない。

※この論文は超心理の色合いが低い。


遠隔視とガンツフェルトの混合実験

2007-10-01 | 論文ガイド
<PA2007(20)>

イギリスより
●ロエ&フリント 「遠隔視とガンツフェルトの混合実験」

遠隔視とガンツフェルトのよい点を混合したパイロット実験を
行なった。

受け手:ガンツフェルト実験に従って、変性意識状態に導いて
内的イメージを口頭で報告し、それを記録する。

送り手:遠隔視実験に従って、4~8箇所の候補のなかから
無作為に選ばれた地点を訪問し、印象を受け手に送るよう
努力する。

評定:遠隔視実験に従って、第三者が、候補の地点の情報と、
受け手の報告とを比べ、報告がどの地点と類似しているかを
ランキング評価して、上位半分に入ると当たり、下位半分に
入るとハズレとする。

14組の被験者に対してパイロット実験をノーサンプトン大学
構内周辺で行なった。ターゲット候補は8箇所で、14回中
12回がランキング上位に入り「当たり」であった。うち1位
になったのは4回であった。しかし、8つのターゲット候補を
14回にわたり繰り返し使っているので、当たりやすい候補が
たまたま何度も選ばれたなどの問題も指摘できる。今後は
もっと厳密な本格的実験を行なって行きたい。



夢見実験でのフィードバックの効果

2007-09-29 | 論文ガイド
<PA2007(19)>

イギリスより
●クリス・ロエら 「夢見実験でのフィードバックの効果」

大学のパソコンの画面に夜2時から6時半までに自動的に表示
される画像を、被験者は自宅にいて夢で透視する。被験者は朝
起きたら夢日記をつけ、それをもとに第3者がターゲットを含めた
画像群の類似度ランキングをつくることで、評価する。

今回の工夫点は、各被験者が、フィードバック条件と判断条件を
行なうことである。フィードバック条件では、大学に夢日記を
提出した時点で、正解を見せる。判断条件では、その時点で
ターゲットを含めた4つの画像を見せ、どれがターゲットかを
夢日記にもとづいて判断してもらう(正解は教えない)。

これまでの研究ではフィードバック条件のほうが判断条件より
高得点となると考えられる、というのは、透視には予知が加わり
将来のターゲットを見る体験が予知的に影響するからである。
フィードバック条件では、ターゲットだけを見るのでプラスに
働くが、判断条件では、ぎゃくにターゲット以外の画像を見る
ので混乱し、マイナスに働くからである。

また性格検査のスコアなどとの相関も見る。現在実験中でまだ
結果は出ていない。


潜在的抑制に影響する超心理効果実験

2007-09-28 | 論文ガイド
<PA2007(18)>

イギリスより
●ニコラ・ホルトら 「潜在的抑制に影響する超心理効果実験」

潜在的に抑制されている刺激の気づきに対して、超心理効果が
及びやすいとされる。それを次のように実験することを計画した。

画面に適当な3文字が1.5秒ずつ0.25秒間隔で80回
呈示されるのを被験者に回数を数えてもらう。そのとき各3文字
は3角形によって囲まれている。

次に、同様な3文字呈示が160回おこなわれるが、右上角に
カウンターがあり、最初50から70までカウントアップする。
じつは、160回のうち無作為の20回が3角形によって文字が
囲まれているのに対し、残りの140回は5角形によって囲まれ
ており、3角形が表示された次の画面でカウントが1ずつアップ
される仕組みになっている。被験者は、カウントがアップする
予感があったら、それを防ぐためにスペースバーを押すように
求められる。3角形が表示されたときにスペースバーを押すと
成功でカウンターはダウンする。5角形が表示されたときに
スペースバーを押すと失敗でカウンターはアップしてしまう。
5回成功すると、160回に至らずともその時点で終了する。

つまり、「3角形のあとにカウントアップ」の法則に気づくと
カウントがそれほどアップしないうちに終了できる。この間に
じつは、テレパシーの送り手がいて、3角形に気づくように
被験者に向けてその3角形の画像を念じるのである。それを
念じなかった場合と比較し効果をみる。

現在実験中でまだ結果は出てない。


ポルターガイスト実験

2007-09-27 | 論文ガイド
<PA2007(17)>

イギリスのマンチェスターより
●キャンベル&ムレイ 「ポルターガイスト実験」

6人の探求グループによって17回の実験を行なった。各セッション中
には、気温、気圧、湿度、電磁場を連続測定し、録音と録画を合わせて
行なった。また参加者は、悪寒や叩音などの異常体験を記録する。

第8と第16回の実験について、異常体験の記録があり分析したところ、
15分間に0.4度の温度下降があり、電磁場を測るEMFメーターが
大きなピークを複数呈した。このようなピークは他の測定時には見られ
なかったし、外に自動車が走るなどの事象では再現できなかった。

実験的にポルターガイスト現象が再現できたのかもしれない。