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超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

遠隔霊視実験

2009-08-26 | 論文ガイド
<PA2008(6)>

デンマーク&スウェーデンより
●イェンセン&カルディーニャ&テルフネ
 「遠隔霊視実験」

ある女性職業霊媒に、7人の男性を電話で霊視してもらった。
霊視の手がかりは名前だけで、霊視の内容は記録し、あとで、
順不同に、7つの霊視記録を、7人に見せ、それぞれどれくらい
自分の生活に合致している霊視かを、評定してもらった。

分析の結果、自分の霊視を1位に評定した人はなく、一方で
最下位にランクした人は2人いるなど、否定的な結果になった。

補助的な分析で、超常信奉が高い人のほうが、霊視の内容を
自分の生活に合うと評定しがちの傾向が得られた。


自己超越性などの人格特性を吟味する

2009-08-24 | 論文ガイド
<PA2008(5)>

スウェーデンより
●カルディーニャ&テルフネ
 「自己超越性などの人格特性を吟味する」

超心理現象がよくおきる人格特性は、体験に対する開放性である
ことがよく知られている。しかし、自己超越性もつぎなる候補になる。
本論文では、自己超越性や、他の近隣特性の関係性を検討した。

調査1:被暗示性と熱中性の高さは、自己境界の薄さと相関があった。

調査2:被暗示性と熱中性と自己超越性は、互いによく相関している。


エミリオ・サルヴァディオ:超心理学への貢献

2009-08-22 | 論文ガイド
<PA2008(4)>

イタリアのローマより
●カラテリ&フェリチ
 「エミリオ・サルヴァディオ:超心理学への貢献」

イタリアの能力者エミリオ・サルヴァディオ(1904-1995)が、
いかに特異的な現象を多く起こしているかを報告し、それらが
超心理学の今後の進展にどのように寄与するかを論じている。


意識誘導時間対称現象

2009-08-20 | 論文ガイド
<PA2008(3)>

オランダのアムステルダム大
●ディック・ビエールマン
 「意識誘導時間対称現象」

予知現象など、現在の物理学では受け入れられない実験データが
超心理学では積み重なっている。それを説明する物理仮説を提唱する。

その仮説によると、意識によって、神経回路などに、時間反転の
小さな信号が出るとする。それが予兆になって、未来のことが分かる。

過去のデータをどの程度説明できるか、他の仮説との整合性はどうか、
どのような実験で確証できるかが、議論されている。


未来の予感 考察

2009-08-18 | 論文ガイド
<PA2008(2-4)>

コーネル大の社会心理学者
●ダリル・ベム
 「未来の予感 考察」

これらの実験は2003年以来、継続的に発表をつづけている
予感実験の一環である。どれも、心理学実験の刺激の一部を
将来に移動して、未来予知を実験する構図である。

PCだけで実験でき、簡単な統計分析で効果がわかる。被験者
は数分のリラックスの後に、すぐに行なえ、20分以内に終える
ことができる。懐疑論者でもすぐにとりかかれる。

現在は物理乱数発生器を使っているが、PCの擬似乱数でも
結果は同じであることを確認している。PKではなく、予知で
あることを示していると言える。

ほとんど全自動で行なえるので、実験者効果も問題にならない。


未来の予感 第3実験:予知的記憶

2009-08-16 | 論文ガイド
<PA2008(2-3)>

コーネル大の社会心理学者
●ダリル・ベム
 「未来の予感 第3実験:予知的記憶」

100人のコーネル大学生を被験者にして次の実験を行なった。

食べ物、動物、職業、衣服の4カテゴリーから一般的な名詞を12個
ずつ、計48個をあらかじめ決めておき、被験者に各単語3秒ずつ
呈示し、その単語が表わすものをイメージしてもらう。

そのあと、思い出せるかぎりの単語をタイプしてもらう(被験者は記憶
しろと言われてないので驚く)。そのあと、ランダムに各カテゴリーから
6個ずつ24個の単語が選ばれて画面に列挙されるので、被験者は
「食べ物」の単語をクリックし、それを6つの空欄にそれぞれ打ち込む。
単語の順番が変えられて、残りの3つのカテゴリーについても、同様な
手順を繰りかえす。

仮説は、後半の単語操作に現れた単語は、前半で記憶しやすいだろう、
とのこと。予知的記憶得点=(記憶していた単語操作に現れる単語-
記憶していた単語操作に現れない単語)×総記憶単語数、で評価する。
最大値は576、最小値は-576である。

分析結果は、新奇性追求指標が高い42人群でp値が0.03%で、高度に
有意であった。そうでない群は偶然期待値であった。対照実験として、
後半の単語操作を行なわない実験もしたが、両群とも偶然期待値だった。
予知的記憶が明瞭に実験で再現された。


未来の予感 第2実験:過去遡及的プライミング

2009-08-14 | 論文ガイド
<PA2008(2-2)>

コーネル大の社会心理学者
●ダリル・ベム
 「未来の予感 第2実験:過去遡及的プライミング」

100人のコーネル大学生を被験者にして次の実験を行なった。

通常の心理学の実験:画面に「美しい」かまたは「みにくい」
という文字をサブリミナル表示したあと、表示した画像について
「美しい」か「みにくい」か査定してもらう。「美しい」という文字が
表示されたあと、「美しい」画像が表示されると、それを判定する
のは早いが、「みにくい」画像が表示されると、それを判定する
のは遅いことが知られている。実験の結果、前者が後者にくらべ
21ms早く、有意であった。プライミングが検出された。

超心理学の予感実験:画面に「美しい」かまたは「みにくい」
という文字をサブリミナル表示する「前」に、表示画像について
「美しい」か「みにくい」か査定してもらう。「美しい」という文字が
表示される「前」に、「美しい」画像が表示されると、それを判定
するのは早いが、「みにくい」画像が表示されると、それを判定
するのは遅いと仮説する。実験の結果、前者が後者にくらべ
15ms早く、1%有意であった。過去遡及的プライミングが検出
された。


未来の予感 第1実験:予知的接近/回避

2009-08-12 | 論文ガイド
<PA2008(2-1)>

コーネル大の社会心理学者
●ダリル・ベム
 「未来の予感 第1実験:予知的接近/回避」

画面の右側と左側に適当な対称的画像を呈示し、被験者に
選んでもらう。その後乱数発生器により、どちらかが当たりで、
他方がはずれと判定される。当たりを選んでいた場合は、
画面に好感度が高い画像が、はずれを選んでいた場合は、
画面に嫌悪度が高い画像が、サブリミナル表示される。

150人の被験者に対して36試行、計5400試行を行なった。
偶然平均では、当たりが2700のところ2785回であった。
二項分布検定、t検定など4つの分析をしたところ、いずれも、
p値が1%から1.4%で有意であった。

新規性を好む人を、「私はすぐに退屈してしまう」と、
「以前に見た映画でもしばしば楽しめる」(反転スコア)
の質問で、平均を越えている48人に限って、分析すると
p値が0.1%から0.5%で、たいへん有意であった。


視線感知時の脳波分析:第4実験

2009-08-10 | 論文ガイド
<PA2008(1-4)>

エジンバラ大の超心理ユニットの修了研究者たち
●イアン・パーカー&ポール・スティーヴンス
 「視線感知時の脳波分析:第4実験」

第3実験のような有意な差異が起きる要因を調べるために、
見つめられる人に呈示している画面の前に、輝度感知器を
おいて、画面輝度の推移を測定した。すると、見つめる人の
部屋に映像を提供しないときに比べ、映像を提供するときは、
見つめられる人に呈示している画面の立ち上がりが、20ms
遅れることがわかった。

すべての実験がコンピュータ制御されているために、制御
ソフトの違いが、画面表示のタイミングの違いを起こしたと
思われる。20msは、ごくわずかに思われるが、脳波の事象
誘発電位を測定する場合には、差異を誘導するにはかなり
長い時間と言えよう。

※つまり、超常現象ではなく、実験の不備(アーチファクト)
 による差異であったということだ。


視線感知時の脳波分析:第3実験

2009-08-08 | 論文ガイド
<PA2008(1-3)>

エジンバラ大の超心理ユニットの修了研究者たち
●イアン・パーカー&ポール・スティーヴンス
 「視線感知時の脳波分析:第3実験」

実験設備や測定法は第1・2実験と同様。今度は対照実験を
見つめる人なしで行なった。つまり、見つめる人の部屋に
誰も居ないまま、その画面に見つめられる人が映るのである。

すなわち、次の2×2=4条件となる。
1)見つめる人が居る⇒その人の顔画像が見つめられる人に呈示
2)見つめる人が居る⇒その人の顔画像が見つめられる人に呈示
  ⇒見つめられる人の映像が見つめる人の部屋へ⇒それを見る
3)見つめる人が居ない⇒人の顔画像が見つめられる人に呈示
4)見つめる人が居ない⇒人の顔画像が見つめられる人に呈示
  ⇒見つめられる人の映像が見つめる人の部屋へ⇒誰も見ない

20人で実験し、今回は120msと174msにピークが現れた。各々
のピークのデータについて、分散分析を行なったところ、見つめ
られる人の映像が表示がされる・されないの条件で両ピークとも
有意な差があった。見つめる人が居る・居ないの条件では、120
msのピークのみ有意な差があった。交互作用はなかった。

総当りのt検定でも分析してみたところ、見つめられる人の映像が
表示される・されないの条件でのみ、両ピークともに有意な差が
あった。つまり、第1・2実験で有意になっていたのは、見つめる人
の視線を感知したのではなく、見つめられる人の映像が見つめる人
の部屋へ表示されているだけで起きていることになる。


視線感知時の脳波分析:第2実験

2009-08-06 | 論文ガイド
<PA2008(1-2)>

エジンバラ大の超心理ユニットの修了研究者たち
●イアン・パーカー&ポール・スティーヴンス
 「視線感知時の脳波分析:第2実験」

実験設備や測定法は第1実験と同様。今度は対照実験をブランク
写真でなく、物体(感性標準画像で顔と対照的なデータを示した
椅子の画像)で行なった。20人で実験し、今回は150msと208ms
にピークが現れた。各々のピークのデータについて、分散分析を
行なったところ、見つめられている・いないの条件で両ピークとも
有意な差があった。顔か物体かの条件では有意な差は見られ
なかった。交互作用もなかった。

しかし、そのピークの大きさは、見つめられている条件の信号が、
見つめられていない条件の信号より有意に大きく、第1実験とは
逆であった。刺激呈示が第1実験ではかなりランダムであったの
に対し、第2実験ではやや規則的になったためかもしれない。
いずれにせよ、脳波のピークの差は、視線感知の直接的影響で
はなく、脳の情報処理に伴う間接的な作用に思われる。


視線感知時の脳波分析:第1実験

2009-08-04 | 論文ガイド
<PA2008(1-1)>

エジンバラ大の超心理ユニットの修了研究者たち
●イアン・パーカー&ポール・スティーヴンス
 「視線感知時の脳波分析:第1実験」

被験者(見つめられる人)に脳波測定装置をつけ、その映像を
別室の見つめる人に中継し提示する。

被験者には見つめる人の顔写真を呈示し、その誘発脳波電位を
GFP(全野信号の全対の差の2乗和)で分析する。20人で実験し、
134msと222msにピークが現れた。そのピークの大きさは、見つめ
られている条件の信号が、見つめられていない条件の信号より、
有意に小さかった。

対照実験で、ブランクの写真を呈示したところ、ピークは現れず、
同様の分析で、見つめられ条件と見つめられてない条件とで、
有意な差はなかった。


イアン・スティーヴンソン追悼シンポジウム

2007-10-22 | 論文ガイド
<PA2007(34)>

イアン・スティーヴンソン追悼シンポジウム

本年2月8日に逝去されたイアン・スティーヴンソン博士を偲ぶ
http://www.healthsystem.virginia.edu/internet/personalitystudies/

以下の4名のパネルがあった。
N・ジングローン(超心理財団 ニューヨーク)
E・ハラルドソン(アイスランド大学 レイキャビック)
C・S・アルヴァラード(超心理財団 ニューヨーク)
J・パーマー(ライン研究センター ダーラム)

イアン・スティーヴンソンは生まれ変わり研究で有名:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/7-3.htm


実験超心理学への寄与:チャールズ・エドワード・ステュアート

2007-10-19 | 論文ガイド
<PA2007(33)>

超心理学の隠れたパイオニアを偲ぶ⑥
●「実験超心理学への寄与:チャールズ・エドワード・ステュアート」
 ナンシー・ジングローン(超心理財団 ニューヨーク)

C・E・ステュアート(1907-1947)は、デューク大学の超心理学研究室の
有能なアシスタントだった。彼は学部時代に、強制選択ESP実験に参加し
ラインの本で「スター被験者」とされるほどの結果と、顕著な下降効果を
残した。学部は数学専攻であったが、博士課程で心理学に進み、カード
テストのスコアの偏りの分析で博士号を取得した(1941)。統計に詳しく
分析面での学界への寄与は大なるものがあった。また、ラインの「60年後
のESP」の刊行に際しての貢献も大きい。さらに、ワルコリエの描画実験
を改良して、自由応答実験の動機づけを向上させる工夫や、批判に対応
した実験の厳密化の工夫などを行なった。

彼は第4代のトマス・ウォルトン・スタンフォード心霊研究ファンド研究員
として、2年間(1942-1944)スタンフォード大学に滞在してもいる。
(参考)
初代ジョン・クーヴァー(1912-1937)
2代ジョン・ケネディ(1937-1939)
3代ダグラス・エルソン(1939-1942)


アルゼンチン超心理学の開祖:オランドー・カナヴェシオ

2007-10-18 | 論文ガイド
<PA2007(32)>

超心理学の隠れたパイオニアを偲ぶ⑤
●「アルゼンチン超心理学の開祖:オランドー・カナヴェシオ」
 アレジャンドロ・パラ(アルゼンチン)

ブエノスアイレスで生まれた神経外科医のクリストフ・シュレーダー
(1915-1957)は、心霊研究の医学・生物学的側面に注目し、超能力者
研究の協会を設立した。

彼は能力者と呼ばれる人々の、発揮状態の脳波測定を行ない、それは
深い睡眠状態から意識集中の覚醒状態まで多岐におよんだ。こうした
成果で彼は、コルドバ大学の医学博士号をとっている。

彼は精神病理研究所長になって、霊性運動が精神衛生に与える影響を
研究した。また南米の超心理学の普及につとめた。1950-55年には
霊媒師によるPK実験にかかわった。

38歳で事故でなくなってしまうが、「超能力研究のない生物学は
翼のない鳥のようなものだ」という言葉を遺した。