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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

集団的自衛権行使を否定した「政府見解」は変えてもよい

2012-12-10 | 日記
中日新聞」の「【社説】憲法改正のマジック 週のはじめに考える」( 2012年12月9日 )

 憲法で禁じた集団的自衛権の行使を法律によって可能にする、こんなからくりが国会で進みつつあります。実現すれば平和憲法はなし崩しになります。

 十六日投開票の衆院選挙で集団的自衛権の行使容認を訴えているのは自民党、日本維新の会、国民新党など複数あります。

 公約には掲げていないものの、野田佳彦首相が「見直す議論を詰めていきたい」と述べるなど民主党の中にも容認派はいるようです。尖閣諸島などの問題や国内の行き詰まった状況がナショナリズムを高めているのでしょうか。

◆集団的自衛権行使へ

 集団的自衛権とは何なのか。あらためておさらいします。一九八一年、政府は答弁書で、集団的自衛権について「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利」と定義したうえで、「わが国が主権国家である以上、集団的自衛権を有しているが、憲法九条で許容される必要最小限の範囲を超え、行使は許されない」としています。

 政府見解は定着しており、憲法改正を経なければ、集団的自衛権行使は認められないはずですが、「国家安全保障基本法」の制定によって行使が可能になるとの見方が政党間で急浮上しています。

 例えば、自民党は七月の総務会で国家安全保障基本法の制定を決めました。まだ法案の概要しかありませんが、次に政務調査会が詳細な中身を定めていきます。

 法案の概要をみると、第一○条「国連憲章に定められた自衛権の行使」は、国連憲章五一条の規定を根拠に集団的自衛権の行使を認めています。第一一条「国連憲章上の安全保障措置への参加」は、国連安保理決議があれば、海外における武力行使を認める内容となっています。

◆憲法解釈変える法律

 どちらも憲法九条の解釈に明らかに反します。憲法違反の法案は国会提出さえできないのでは、そんな疑問が浮かびます。

 一面はその通りです。行政府の中央省庁が法案をつくる内閣立法なら、憲法との関係を審査する内閣法制局の段階でストップがかかり、国会提出には至りません。

 国会議員が法案をつくる議員立法となれば話は別です。衆院、参院それぞれの法制局が審査して意見を述べますが、提出を決めるのは立法権のある国会議員。国会で法案を説明するのは提出議員のため、答弁に窮するような問題のある法案が提出に至ることはまずないのですが、前例があります。

 二〇一〇年五月、中谷元・元防衛庁長官ら五人の議員が「国際平和協力法案」を衆院に提出しました。先月の衆院解散により審議未了で廃案となりましたが、海外での武力行使が不可避な自衛隊の活動が三項目含まれ、憲法違反が疑われる内容でした。

 国家安全保障基本法案も、議員立法の手続きが予定されています。自民党はこの法律とともに集団自衛事態法、前出の国際平和協力法を制定し、自衛隊法を改定するとしています。

 これらの法律が成立すれば、集団的自衛権行使や海外の武力行使が解禁されることになります。法律が憲法違反か審査する憲法裁判所のような規定がわが国にはないため、法律によって憲法解釈が変更され、「国のかたち」を変えるのです。やがて憲法が自衛隊活動の実態に合わないとの批判が起こり新たな憲法が制定に至ると見込んでいるのではないでしょうか。まるでマジックです。

 国会で過半数を占めさえすれば、国家安全保障基本法は成立します。三分の二の国会議員の賛成や国民投票が必要な憲法改正と比べ、なんとお手軽なことか。与党であっても党内で反対され、この裏ワザはとらなかったのですが…。

 ○七年、自民党の安倍晋三総裁は首相だった当時、自衛艦と並走する米軍艦艇の防御、米国を狙った弾道ミサイルの迎撃など四類型を示し、集団的自衛権行使の容認を目指しました。いったいどの国が世界一の軍事力を誇る米国に対して正規戦を挑むというのでしょうか。

◆海外の武力行使が可能に

 起こりそうなのは、米国による海外の戦争に参加して武力行使することではないでしょうか。第二次世界大戦後、各地で起きた戦争や紛争の多くは、米国や旧ソ連が介入して始まりました。「大量破壊兵器を隠し持っている」と言いがかりをつけて米国が始めたイラク戦争に英国は集団的自衛権を行使して参戦しました。イラクへは陸上自衛隊も派遣されましたが、憲法の規定から人道復興支援にとどまりました。

 日本の平和を守り、国民の安全を守ってきた憲法を法律でひっくり返す「法の下克上」は断じて認めるわけにはいかないのです。


 この社説、なかなか説得力があります。

 しかし、最後の一文で、この社説は「完全に台無し」です。

 なぜなら、「日本の平和を守り、国民の安全を守ってきた憲法」という表現は、「完全に間違っている」からです。



 社説は「平和憲法があれば日本の平和は守られる」と考えているようですが、

 日本の「憲法」は日本の行動をしばるのみで、他国の行動をしばるものではありません。日本に「平和憲法」があっても、他の国には「日本の平和憲法なんか関係ない」わけです。

 実際には、平和憲法があるから平和が守られているのではなく、自衛隊や、在日米軍がいるから平和が保たれているのです。こちら(日本)が攻撃しなくても、相手が日本を攻撃すれば、平和は保たれません。



 かつてチャーチルは、「平和主義者が戦争を起こす」と言ったそうです。

 上記社説のような主張こそが、じつは「戦争をひき起こす」のです。このことを忘れてはなりません。



 新聞の社説とは、その新聞社における最高の知性を表現したものであるはずです。「新聞は社説しか読まない」という人もいるくらいです。

 そうであるにもかかわらず、新聞社がこのような「一見正論に見えるが実は間違っている」主張を社説で展開するのは、いかがなものかと思う次第です。



 私が言いたいことは以上ですが、一応、細かい点についても私見を述べておきます。



★政府見解 (解釈) は変えてもよい



 集団的自衛権行使を「憲法は認めていない」というのは、たんに「政府の解釈」にすぎません。当然、「別の解釈」があってもよいわけです。条文の「解釈」というのはそういうものです。

 条文解釈の「権限」を有しているのは裁判所ですが、裁判所における「解釈」も時代とともに変わります。だからこそ、裁判所による「判例変更」というものがあるわけです。(「判例変更」とは裁判所が過去に下した条文の「解釈」を裁判所が変更することです ) 。

 つまり、憲法・法律の「政府による解釈」は唯一絶対のものではなく、「裁判所による解釈」が優先するし、「裁判所による解釈」ですら、時代とともに変わるのです。そうであれば、「政府の解釈」とは異なる内容の法律案が国会に提出され、可決されてもよいわけです。国会で可決された時点で、「解釈」は変わったと考えればよいだけのことです。

 もっとも、上記は「解釈」とは変えられる、変えてもよい、ということを言っているだけで、私も、憲法自体を変えるほうが好ましいとは思います。



★米国に正規戦を挑む国は「ある」



 社説は、「いったいどの国が世界一の軍事力を誇る米国に対して正規戦を挑むというのでしょうか」と問うています。

 おそらくこの社説を書いた論説委員は、「問い」ではなく「反語」のつもりで、「いや、米国に正規戦を挑む国があるはずはない」と読者が心の中で思うことを期待しているのでしょうが、どちらであっても以下の反論は成り立ちます。

 中国の人民解放軍内部には「アメリカに勝てる」という意見があると言われています。したがって、社説の問いかけに対しては、「中国です!」と答えれば十分です。

地球温暖化と北極海航路

2012-12-09 | 日記
産経ニュース」の「北極海航路でLNG輸送 ロシア企業が世界初、日本到着 地球温暖化で海氷減少」( 2012.12.6 10:44 )

 ロシア政府系天然ガス独占企業ガスプロムは5日、北極海航路を利用した液化天然ガス(LNG)の輸送に世界で初めて成功したと発表した。同社がチャーターした輸送タンカーが同日、北九州市戸畑区の受け入れターミナルに到着した。地球温暖化による海氷減少に伴う同航路の活用に向けて弾みがつきそうだ。

 タンカーは約13万4500立方メートルのガスを積載し、11月7日にノルウェー北部ハンメルフェストを出発。原子力砕氷船も伴走しながら、バレンツ海、カラ海、ベーリング海峡などを経由し日本に到着した。

 ロシアの北極圏ではヤマル半島などで大規模なガス田開発計画があり、同社は「今回の成功は、北極海航路を利用したアジア太平洋地域や欧州市場へのロシアのLNG供給を可能にするものだ」と成果を強調した。(共同)


 真夏ではなく、この時期に北極海を通れた、というところが驚異的です。

 今後、北極海航路の本格活用へ向けた動きが活発化するでしょう。。。



 ところで、今回の成功はもちろん、地球が温暖化しているからです。

 以前からずっと思っていたのですが、温暖化は、本当に「困ること」なのでしょうか???



 地球が温暖化すれば、北極海を船で通れるようになるので、日本-欧州間はスエズ運河を通るルートに比べ、格段に近くなります。貿易上、北極海ルートはあきらかに有利です。

 そしてまた、地球が温暖化すれば、コメや小麦も育ちやすくなるはずですから、食糧の増産が可能になります。食糧不足による飢餓は発生しづらくなるでしょう。

 地球が温暖化して、何が困るというのでしょうか?



 もちろん、海面が上昇するといった問題があることは承知しています。しかし、それもわずか数センチ程度ですし、海に面した都市が水没することはないでしょう。

 また、シベリアなどのツンドラ地帯では、永久凍土が溶けてしまうことによる不利益はあると思いますが、ツンドラ地帯にはもともと、ほとんど人が住んでいません。人口の多い寒冷地(日本の北海道や東北など)では、冬は暖かいほうがよいのではないでしょうか?



 地球温暖化とは、たんに「現状が変わる」というだけの話で、それが「悪い方向に変わる」とは限らないわけです。

 私は、総合的に判断すれば「よい方向に変わる」のではないかと思いますが、私は間違っているのでしょうか?

公共事業についての考えかた

2012-12-08 | 日記
産経ニュース」の「公共事業のあり方めぐり火花 トンネル事故受け論争」( 2012.12.6 22:50 )

 山梨県の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故を受けて、公共事業の在り方が衆院選の主要課題に浮上した。争点化をもくろむのは、前回選挙で「コンクリートから人へ」を掲げた民主党だ。10年間で200兆円規模のインフラ投資を実施する自民党の国土強(きょう)靱(じん)化計画を「バラマキ」と批判。自民党は「古い自民党とのレッテル貼り」と反論し、各党が公共投資をめぐり火花を散らしている。

 劣勢にある民主党の野田佳彦首相(党代表)にとり、公共事業は自民党への格好の攻撃材料だ。

 「自民党はまた公共事業をばらまくそうだ。崩落事故があり、メンテナンスは大事だが、公共事業の大盤振る舞いで日本はデフレから脱却したのか」

 首相は6日、愛知県内の街頭演説で自民党をこう強く批判した。

 民主党は今回のマニフェスト(政権公約)で、政権交代した平成21年度から24年度までに公共事業関係予算を32%カットしたとし、「公共事業をばらまき、借金を重ねる先に明るい経済の見通しは開けない」と強調している。

 自公両党との3党合意路線で政権を運営してきた首相にとって、社会保障や震災復興は違いを際立たせにくいテーマ。応援演説では再生可能エネルギーなど成長分野の需要創出を重視するとし「バラマキではなく種まき」との訴えを中心に据えている。

 これに対し、自民党は政権公約で、国土強靱化基本法の制定を通じ、事前防災を目的とした公共投資を実施する、と主張しており、民主党による「印象操作」(党幹部)を強く警戒している。

 「政府が公共投資をし、民間の投資を引き出すのは当たり前でまっとうな経済政策だ。『無駄な公共事業』『古い自民党』というレッテルは間違っている」

 自民党の安倍晋三総裁は6日、和歌山市での街頭演説でこう訴えた。安倍氏は国土強靱化を金融緩和と並ぶデフレ脱却策として重視している。

 和歌山は党国土強靱化総合調査会長である二階俊博元経済産業相の地元。安倍氏は笹子トンネル事故を挙げ、「命に直結するものをしっかり補強することが国を強くする。二階先生が引っ張った、これこそが国土強靱化だ」と主張した。

 公明党も、10年間で100兆円規模の「防災・減災ニューディール」を掲げ、自民党と歩調を合わせる。6日には笹子トンネル事故に関する会議を開き、山口那津男代表が「今回の事故で防災・減災の取り組みの重要性を認識し直した」と述べた。

 もっとも、自公両党を批判する民主党も他党のことは言えない。前回のマニフェストで無駄な公共事業として明示した八ツ場ダム(群馬県)の建設再開を決め、整備新幹線の着工も認めたからだ。

 「自民、公明両党は公共工事拡大路線。これでは経済成長は見込めず、衰退するのみだ。景気を上げる方策は既得権を壊すことだ」

 日本維新の会の橋下徹代表代行は6日、埼玉県熊谷市でこう「既成政党」を批判した。(加納宏幸)


 笹子トンネルの天井板崩落事故をきっかけに、公共事業が選挙の争点になりつつあるようです。



 民主党は「コンクリートから人へ」のキャッチコピーを打ちだし、いったんは公共事業に否定的な態度をとったものの、最終的には公共事業推進へと舵を切りつつあるように感じられますし、

 自民党もかつて与党だったとき、みずから公共事業を減らしつつあったところに、東日本大震災が襲い、結局は公共事業推進へと舵を切りつつあるように感じられます。

 全体として、世の中は再び、公共事業を推進する方向に向かい始めているのではないかと思います。

 そこで今回は、私の公共事業に対する考えかたを記します。



 公共事業に対しては、基本的に2つの観点(または目的)が存在するように思います。

 1つは、経済成長のためのインフラ整備という観点。そして他の1つは、雇用の確保という観点です。

 この、どちらを重視するかによって、公共事業に対するスタンスは大きく変わってくるのではないでしょうか?



 私は、どちらも大切ではあるけれども、基本的には「雇用の確保」という観点を重視すべきだと思います。

 なぜなら私は、「経済成長のためのインフラ整備も大切だが、もっとも大切なのは人である」と思っているからです。

 したがって「公共事業における 「ムダ」」を考える場合においても、かけた費用に見合った利益(または経済成長)が見込めるか、という観点を重視するのではなく、かけた費用のうち労働者に分配されるのはどの程度か、という視点を私は重視します。



 この、私の考えかたを前提にした場合には、「新規に公共事業をするなら、先に既存の公共施設等の更新を優先すべき」だという結論が、必然的に導かれます。なぜなら、新規に公共事業をする場合、それが道路であれ、なんとかセンターというハコモノであれ、「新たな用地取得」が必要になってくるからです。「新たな用地取得」を行う場合には当然、地権者に対する補償金が必要になります。したがって、事業費のかなりの部分が用地取得費に消えてしまい、労働者に分配される金額は、ごくわずかになってしまいます。

 それでは、景気は回復するわけがない。なぜなら、地権者、つまり資産があり、もともと金持ちだった人々に大量のお金が配られてしまい、労働者、つまり資産がなく、食うために働かざるを得ない人々に分配されるお金は、ごくわずかになってしまうからです。

 そしてまた、道路であれ、なんとかセンターであれ、すべてのものは次第に劣化していきますから、更新をしなければならない時期が近づいているにもかかわらず、次々に新しいものを造っていては、どんどん、将来必要になる費用、つまり「更新費用」がふくらんでしまいます。「国債の 60 年償還ルール」のところに、公共インフラが何年程度使えるか、つまり何年経過すれば造り直さなければならないかを記したリストがありますので、見てください。日本はそろそろ、過去に造ったインフラを、大量に更新しなければならない時期にさしかかりつつあります。

 「新しいもの」を次々に造っている場合ではありません。過去に造ったインフラを更新する(再整備する)ことこそが、限られた予算のなかで効果的に「雇用の確保」を行い、「景気の回復」につなげる道だと思います。そしてまた、これは「事故によって人命を失わない」ために、もっとも優先すべきことであると思うのです。



 さて。「既存施設の更新を優先しろ」という主張は、事故の直後だということもあり、大部分の人々に受け入れられるものと思います。

 次に、多くの人々には受け入れられないかもしれない主張を展開します。



 私の考えかた、つまり「経済成長のためのインフラ整備も大切だが、もっとも大切なのは人である」から「インフラ整備」ではなく、「雇用の確保」を優先しろ、という考えかたにもとづけば、次のような結論が導かれます。

 その結論とは、「都会ではなく、田舎で公共事業をしろ」という主張です。

 この結論が導かれるのはなぜかといえば、都会であればあるほど、地価が高いために、地権者に支払わなければならない用地買収費が高くなるからです。加藤紘一さんによれば、地方の高速道路は1キロあたり高くて40億円で作れるが、東京では1キロあたり700~800億円、地下だと1キロあたり1000億円かかるそうです (「雇用対策としての道路建設」参照 ) 。

 ということは、同じ予算で公共事業を行う場合、当然、田舎のほうが労働者に分配される金額は大きくなります。田舎なら、より長い距離の道路を造れるために、その分、労働者が受け取る給与が多くなるからです。

 公共事業は、主として田舎で行ってこそ、雇用の確保につながるし、また、景気浮揚効果も大きくなると思います。



 もっとも、そうはいっても、誰も人の住んでいないような山奥で公共事業を行ってばかりでは「まずい」でしょう。何事にもバランスが大切です。

 そこで私は、都会でも公共事業を行うけれども、田舎には多めに予算を割り当てればよい、と考えます。

 なお、山奥であるからこそ、行うべき公共事業があることも付け加えておきます。それは何かといえば、「ダム」です。こんなもの、都会の真ん中には造れません。



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沖縄県知事に聞きたい、なぜ辺野古ではダメなのか

2012-12-07 | 日記
 今回は普天間基地移設問題について書きます。



G2・講談社のノンフィクション新機軸メディア」の「前原誠司 独占120分「民主党政権・失敗の本質」第2回 (田原総一朗)

普天間問題

―防衛の話に移りましょう。先日、最新の防衛白書が出たとき、僕は防衛省の課長クラスから、一時間半にわたって説明を受けました。その上で、いまの日本が抱える防衛の本当の問題は何だと聞いたんです。中国が問題だと言うけど、そんなことはわかってるんで、そこで何が重要ですかって言ったんです。彼は、ただ一点だと言った。「普天間です」と。米軍の普天間飛行場を辺野古に移転する問題が、最大の問題だと防衛省は言ってるわけです。この点はどうですか?

前原 うーん……私はそこはですね、言いにくい面もあるんです。鳩山政権になる前の二〇〇九年の総選挙で、鳩山(由紀夫)さんは「最低でも県外。できれば国外」と言って民主党は勝利しました。しかし、さまざまな経緯があり、辺野古移設に傾いていくわけです。鳩山さんを全面的に弁護するつもりはないですけども、ほかの移設先を見つけられたら良かったんですよ。

私は鳩山政権では、国土交通大臣と沖縄・北方担当大臣をやっていましたから、その過程で漏れ伝わってきたのは、アメリカの真意です。表向きは日米で合意した辺野古移設を守ってくれ、と言っているものの、本当に代替地が探せるんだったら、検討しなきゃいけないと、アメリカも考えていたのです。

辺野古に代わるものを、官房長官なり、防衛大臣なり、外務大臣やあとは沖縄担当大臣だった私が、どれだけ探せたのか。

官房長官が徳之島(鹿児島県)への移設案などを模索していましたけれど、鳩山さんご自身は、総理の仕事をやってるわけですから、具体的には探せないですよ。タイムリミットを設けたんだったら、ほんとうに職を懸けてでも、移転の代替地を見つけなければならなかったのに、そのような態勢になってなかったということが、私は大失敗だと思います。

―ただ、こうも聞いています。当時の外務大臣は、二〇〇九年の一〇月ごろには、もはや別の場所への移転は困難で、辺野古しかないと決めていた。彼は鳩山さんに辺野古しかないよと言ったそうです。しかし、鳩山さんは「俺には俺の考えがある」と言って、受け付けなかったと。彼は総理がそう言うなら、目算があるんだろうと思って、引き下がった。

前原 その感覚は私も一緒です。これは官邸でやるからというふうに言われて、私も手を放してしまった部分があります。

私のところに、沖縄県外のある自治体の首長さんから、自分のところにあるのだがあまり使われていない空港を使ってもらって結構ですという申し出があったんです。しかし、これを防衛省に投げても、つれない返事で、まともに議論されなかった。本気で探す気があったのかなという感想は持ちますね。

田原さんが外務大臣とおっしゃったんで、あえて申し上げますが、やっぱり、嘉手納統合案を表で言ってはダメですよ。本当にこの案がいいというんであれば、水面下で動かないといけない。


 この記事からは、次のことがわかります。
  1. アメリカは表向き、「日米で合意した辺野古移設を守ってくれ」と言っているが、本当に代替地があるなら検討する意思がある。
  2. 沖縄県外のある自治体の首長が代替地の提供を申し出たが、まともに相手にされなかった。


 これが意味しているのは、沖縄「県内」ならOKだが、「県外」では意味がない、ということではないでしょうか?

 オスプレイは普天間基地に配備されました。つまり、「普天間基地の移設先は中国軍の尖閣上陸を阻止しうる場所でなければならない」ので「沖縄県外に移すことは不可能である」ということだと思います。



時事ドットコム」の「普天間、辺野古移設を推進=野田首相」( 2012/11/13-10:28 )

 野田佳彦首相は13日午前の衆院予算委員会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、「辺野古への移転が唯一有効な方法だ」と述べ、日米合意に基づき、同県名護市辺野古への移設を進める考えを改めて示した。自民党の岩屋毅氏への答弁。
 また、鳩山政権時代に県外移設を模索するなどして迷走したことに関し、「沖縄の皆さんに過大な期待を与え、その期待に応えることができなかったという意味においては、深く反省しなければならない」と語った。
 下地幹郎郵政民営化担当相(衆院沖縄1区)も「内閣の一員なので、政府方針を尊重しながら職務を果たしていきたい」と述べた。下地氏はこれまで辺野古移設の断念を政府に求めていた。


 野田首相が「辺野古への移転が唯一有効な方法だ」と言っているのも、要するに「沖縄県外」では国防上の目的を達せられないからだと思います。



YOMIURI ONLINE」の「どんな政権でも県外移設を要求、普天間で沖縄知事」( 2012年12月1日 )

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡って、沖縄県の仲井真弘多(ひろかず)知事は30日の定例記者会見で、次期衆院選でどの政党が政権を担うことになっても、「県外移設」を求める考えを強調した。

 知事は会見で「街の中にある普天間飛行場の一日も早い危険性の除去、移設はしっかりやってほしいというのが基本的な考え方」と説明。その上で「(辺野古案は)時間がかかり過ぎる。日本本土を含む既に滑走路がある基地(への移設)が早い。どういう政権が生まれても、実現に向けて努力してもらいたい」と語った。


 沖縄県知事がその立場上、「県外移設」を求めることは理解できるものの、「国防問題は国家レベルで判断すべき事柄」であることを考えれば、最終的には、沖縄は「県内移設」を受け入れるか、「現状のまま」か、どちらかを選ばざるを得ないのではないでしょうか? 普天間基地が危険だと言うなら、「現状のまま」を選択せず、「県内移設=辺野古案」を受け入れたほうがよいはずです (=普天間基地は市街地内にあるが、辺野古は違う) 。

 知事は「(辺野古案は)時間がかかり過ぎる」と言っていますが、このまま「堂々巡り」の議論を重ねるくらいなら、結局は「辺野古案」が「最も早い」はずです。



 そもそも、移設予定地 (沖縄県名護市辺野古) の人々は基地が来ることに同意しています (↓) 。

 地元の人々が同意しているなら、それで問題はないと思います。地元の人々が同意している以上、県知事が「反対し続ける理由はない」はずです。

 「沖縄県名護市」の人々は「辺野古」への移設に反対しているが、「沖縄県名護市辺野古」の人々は移設に同意している、というところがポイントです。



櫻井よしこ オフィシャルサイト」の「それでも普天間を現行案で移設せよ!」( 2010.04.01 )

どうみても、成熟した大人になりきれていない鳩山由紀夫首相は、普天間飛行場の移設先について、閣議決定を前に打つ手もなく、思案投げ首の苦境に陥った。

移設先は、日本国政府、地元、米国政府の三者の合意なしには決められない。たとえ思いつきの移設先を、首相が呟いたとしても、地元と米国の合意がなければ無意味である。

(中略)

だが、地元の声に注意深く耳を傾けると、意外なことがわかってくる。普天間飛行場の移設が、辺野古沿岸部にV字型滑走路を作って行われるのであれば、つまり、現行案どおりに行われるのであれば、辺野古の人々は必ずしも反対しないということだ。

実態はどこにあるのか。「地元の中の地元」、辺野古の人々の言い分にまず耳を傾けてみよう。

ちなみに現行案による移設先は、正式には久辺(くべ)地区と呼ばれ、辺野古、久志(くし)、豊原の3区で構成される。人口は各々約2,000、600、400で計3,000人だ。辺野古区長の大城康昌氏と辺野古行政委員会副委員長の宮城安秀氏に話を聞いてみた。

大城氏は、なぜ、普天間飛行場が辺野古に移設されるようになったか、その経緯を思い出してほしいと、次のように語った。

「自民党政権のとき、政府がどうしても辺野古に飛行場をもってくるというので、われわれは苦渋の選択として受け入れたのです。受け入れに当たっては相互に協議して条件を整えました。騒音は基準値以下、安全対策も、受け入れ地域への経済振興策も住民への経済的補償も含めて話し合い、13年もかけて、話し合いから合意へ、そして実現へと事態を進めてきた。それを、政権交代だといって鳩山首相は地元になんらの説明もなしに政府約束を無視し、新案として辺野古の陸上案やホワイトビーチ案まで出してきた。とんでもない話です」

前述の「意外な」発言は、このあと大城氏の口から飛び出したのだ。

「辺野古沿岸部にV字型滑走路を作るという現行案は政府とわれわれの合意事項です。辺野古のわれわれはいまもこの現行案は生きていると考えています。政府も正式には否定していないはずです。鳩山首相が地元の意見に耳を傾けるというのなら、地元の中の地元のわれわれの声に、なぜ、耳を貸さないのでしょうか」

名護市議会議員で自民党系会派「新風21」に属する人物も、匿名で語った。

「そのとおりです。久辺3区の住民の殆どが現行案は生きているという認識で、同案を容認しています。地元の新聞もほとんどの大手メディアも報じませんが、3区の区長さんらはそのことを頻りに仰っています」

国民新党国対委員長で沖縄1区選出の下地幹郎氏も、「辺野古の地元で現行案に賛成の声が上がっているのは認識している」と語る。

★「70~80%が移設を支持」

だが、現実の政治で起きているのは、そのような「地元意見」とは正反対の現象だ。去る1月24日の名護市市長選挙では移設反対派の稲嶺進氏が1万7,950票で、移設容認派の島袋吉和前市長に1,600票弱の差をつけて当選した。沖縄の主要2紙を見ても中央紙を見ても、名護市に普天間飛行場移設を受け入れる声はないように見える。その点を大城区長が説明した。

「地図を広げて名護市をよく見て下さい。山を境にして東部と西部に大きく二分されます。海に面した辺野古は東側、名護市役所や大きな企業、人口の大半が西側に存在しています。先の選挙で辺野古への移設に反対したのは主として西側の有権者でした。たとえ辺野古に飛行場が作られても、彼らには騒音をはじめ基地を置くことの負担はないのです。被害を受けるのはわれわれの地区です。にもかかわらず、この久辺3区の住民は、各報道機関の出口調査によると70~80%が移設を支持しています」

市長選挙で地区毎の票の動向を具体的に知る唯一の手懸りは報道機関による出口調査である。それによると辺野古地区有権者の70~80%が、移設容認の島袋氏に票を投じたとされる。

大城氏が強調した。

「名護市の東海岸地帯には久辺地区3区の他に10の区があります。現行案受け入れの私たちの考えは、久辺3区だけでなく、この10区の区長さんらにも理解されていると思います。これまで、われわれは10区とも協力関係を築いてきましたから。たとえば、飛行場移設に関連して北部振興策がとられてきました。交付金を久辺3区だけが受け取るのでなく、その一部を頭割りで各区に配分するなど、相互に助け合う努力を通して、協力関係を築いてきたのです」

大城氏は訥々とした口調で、自身の考えは、久辺3区の区長らと住民の考えでもあると強調した。地元住民の考えが仮に五分五分に分かれ住民同士が対立していたら、区長としてとてもこのように容認の立場は表明出来ないと語る。先の「新風21」の市議も指摘した。

「確かに3月8日、名護市議会は陸上案への反対意見と抗議決議案を全会一致で可決しました。しかし、注意してほしいのは、昨年末から俎上に載せられていた県外・国外移設を求める意見書は全会一致どころか可決もされなかったことです」

陸上案反対決議の中に現行案を示す沿岸部案反対の言葉はない。また、県外・国外案への不同意は現行案受け入れの余地を担保するものでもある。「新風21」の市議は、『県外・国外案』に反対の3つの理由を挙げた。

①現政権も現行案を否定していない。②政府との合意があるからこそ、北部振興事業が、10年来、約789億円規模で行われてきた。③久辺3区の住民の大半が現行案は生きていると考え容認している。

同市議はこうも語る。

「地元の側から辺野古へ基地を誘致したことは一切ありません。ただ、名護市長選挙の結果をうけて、平野官房長官が『結果を斟酌しなければならない理由はない』と言った。移設反対の声に対しても、必要なら国の判断は覆らないとの認識を示唆したように、政府決定には抵抗出来なかった歴史が幾つも重なってきた。であれば、現実論として一体、どうすればよいのか。だからこそ地元は長年、政府と地道に交渉し、辿りついたのが現行案です。その現行案を地元がいまも否定しないのであれば、その声を吸い上げ市政に反映させるのが、市議会の役割です」

ここまできて、気づくはずだ。普天間の移設先を決定する重要な2つの要素、地元と米国の賛同を、辺野古の現行案は満たしているということに。

米国側は一貫して、現行案の実現にこだわってきた。ホワイトビーチ案もキャンプシュワブ陸上案も拒絶したことはすでに述べた。つまり、米国側は現行案にこだわり、地元はそれを受け入れると言っているのだ。残るは鳩山政権だけである。

★無視される住民の真の声

それにしてもなぜ、こうした地元の声を、鳩山政権は政策に反映させないのか。理由は2つ、メディアの偏向報道と鳩山首相の定見の欠如である。
先の宮城安秀氏が訴えた。

「本当の地元のわれわれの所には、政府の人たちは意見を聞きに来ません。岡田(克也)外相は名護市には来ましたが、西側だけに行って、反対派の人たちばかり集めて意見を聞きました。東側の辺野古には来ない。マスコミが取材に来て、われわれの意見を聞いたとしても、報じてはくれません。久辺3区の全世帯の住民が安心して暮らせて、しかも、国防に貢献するにはどうしたらよいか。われわれは一応、きちんとした案をまとめていて、政府に提案したいと考えています。しかし、政府はわれわれに目を向けず、提案には至っていません。メディアは移設反対派の意見ばかりを伝え、真実を伝えてくれません」

先の名護市議が訴えた。

「現行案容認派は保守派だと見做され、沖縄の新聞は取り上げないのです。われわれが地元の声を代弁しようと行動に出ても、無視される。『基地は撤去せよ』という社是の前で、住民の真の声が打ち消されるのです」

メディアの問題に加えて、鳩山首相の国防に対する無責任さが混乱を深めてきた。現行案を否定するなら、首相は、理由を説明する責任がある。だが、明確な説明がないばかりか、首相の言葉は虚構に満ちている。首相は「沖縄の皆様のお気持を大事にしたい思い」を幾度となく強調したが、「沖縄の皆様」の中の、地元の中の地元の皆さんが、政府が頼むのなら現行案でもよいと言っているのだ。その声を無視して実現不可能な県外や国外を主張し続けるのは欺瞞である。

そもそも鳩山首相は政権発足から半年もの長きにわたって、国家の基盤である安全保障問題、そのまた基盤である日米安保体制について、見苦しくも絶望的な迷走を重ねてきた。国民の生命財産を守り、日本の国土と海を守る最高責任者としての任務を全く果たしてこなかった。

空しく現行案を否定し続けて今日に至った真の理由は、単に自民党政権時代の決定には反対するということではないのか。

今回、現行案支持の声の受け止め方について、政府に質問状を送ったが、回答は得られなかった。回答がなくとも、合理的な解決策はひとつしかない。それは結局、現行案に戻ることだ。但し、単に戻ることは許されない。国政の基盤である安全保障を蔑ろにし、日本国は果たして信頼に値する国なのかという疑念を国際社会に抱かせた首相として、恥を知り辞任すべきなのはいうまでもないだろう。




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消費税増税についての考えかた

2012-12-06 | 日記
毎日.jp」の「衆院選:3党増税連合にノー…共産・志位委員長の第一声」( 2012年12月04日16時02分 )

 日本の歴史を変える衆院選がやってきた。米国言いなり、財界中心の二つの政治のゆがみをただし、本物の改革に踏み出せるために全力を挙げて戦い抜く。

 消費増税法は成立したが、国民は一度も賛成してない。民主、自民、公明の3党増税連合に厳しい「ノー」の審判を下そう。富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を実行する。国民の所得を増やし、経済改革を実行し、経済成長させ税収を増やせば、年金、医療を充実させ、財政危機打開の道が開ける。消費増税中止法案の成立に全力を挙げる。

 比例で650万票以上の得票と、現有9議席の倍増を目指して頑張る。(東京都新宿区で午前10時20分)


 今回の選挙の (隠れた) 最大の争点は、消費税増税だと思います。

 民主党の候補者は地元で、「嘘つき」と有権者から非難されているとの報道もありますが、それは「解散すると約束したのになかなか解散しなかった」ということではなく、「増税はしないと約束したのに増税した」ということを言っているはずです。

 そこで今回は、消費税増税について、私の考えかたを記します。



 財政再建のためには「政府の収入増」は必要ですが、その手段は「増税」と「経済活性化」の2通りがあります。

 増税によってモノの値段が上がれば消費は落ちると考えられますし、過去、増税のあとで消費が減少したという経験則があることからすれば、デフレ下の増税は最悪の選択だといえるでしょう。

 そもそも、増税によってかえって消費税収入が減ってしまえば、何のための増税なのかわからなくなります。

 とすれば、「経済活性化(景気回復)」を優先し、それでも税収に不足があれば「増税」する、というのが適切だと思います。



 しかし財政再建優先派は、早く財政再建しないと国債が暴落する、通貨(円)の価値が暴落する、大変なことになる、などと主張するわけです。

 国債の暴落とはすなわち、金利の急騰にほかなりませんが、現在、異常なまでに金利が低い現状で、国債の暴落(金利の急騰)を心配するのは「おかしい」のではないか、という感じがします。

 このような心配をしている人々は、おそらく、「デフレ不況の痛み」を感じていない人々なのだと思います。( 実際、財務省の役人は国家公務員ですから、倒産・失業の心配もなく、デフレだろうが不況だろうが給与が保証されています )



 したがって私は、基本的には増税に反対です。

 いま、私は「基本的には」と書きました。次に、「基本的には」の意味を説明します。



 正しいか正しくないかはともかく、財政再建優先派がいて、「増税が必要だ」と主張し続けているわけです。

 したがって、景気が回復しないかぎり、いつまでたっても、「増税の是非」が論点として浮上してきます。同じ議論が延々と続くわけです。

 しかも財政再建優先派は、財政再建のために、デフレ脱却のために必要な公共事業に反対します。

 ということはつまり、
  1. 財政再建が必要だ
  2. →デフレ脱却のために必要な公共事業に反対
  3. →デフレは終わらない
  4. →景気が回復しない
  5. →税収が増えない
  6. →財政再建が必要だ
の無限ループが続きます。状況はまったく改善しないわけです。



 そこで私は、「もうこんなことはやめよう」「そのためには何をすればよいか」を考えるべきだと思うのです。

 ではどうすればよいか?

 「条件付で増税を認める」のが最もよいのではないか、と私は思います。つまり「デフレが終わることを条件に増税する」ことを「デフレが終わる前に」決めてしまえばよいのです。

 そうすれば、増税したい人々(財政再建派)も、デフレを終わらせるにはどうすればよいか、景気を回復させるためには何をすればよいか、を真剣に考えるはずです。言いかたを変えれば、財務省の役人も「デフレ脱却のために必要な公共事業」に積極的になるだろう、ということです。

 その結果、デフレは終わり、景気も回復する。財政再建も実現する。延々と続くムダな議論も終わる。

 いいことづくめではないか、と思うわけです。



 これがさっき、私の書いた「基本的には」増税に反対である、の意味です。

 私の意見をまとめると、「基本的には」増税に反対だが、この際「条件付で」増税に賛成する。以上です。

 最後に、国会で成立した法律を引用します。



財務省」の「第180回国会における財務省関連法律

「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」

法律
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/tk20120330h.pdf

概要
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/tk20120330g.pdf

附則第18条 消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23 年度から平成32 年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
2 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。


 この法律には、私の主張する「条件」が「あいまいに」書かれています。つまり「条件」を満たさなくても増税してよい、という法律です。

 この「条件」を必ず守る、デフレが終わらなければ増税しない、と明確に主張しているのは自民党です。この観点からも、私は自民党が「最もよい」のではないかと思います。



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