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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

「日本=財政危機」説は嘘!?

2012-12-14 | 日記
 次に引用する見解は、私の意見に極めて近いです。

 ただ一点、私は疑問なしとしない部分があるので、それについて、引用部のあとに書き記します。



REUTERS」の「総選挙こうみる:財政危機説は嘘、アベノミクスで株価急騰=カブドットコム山田氏」( 2012年 12月 10日 16:25 JST )

[東京 7日 ロイター] カブドットコム証券・マーケットアナリストの山田勉氏は、今月16日投開票の衆院選に関し、世間一般で言われている財政危機説は嘘だと指摘。自民党の安倍晋三総裁が掲げるアベノミクス政策は2年でデフレ脱却を果たした高橋蔵相の政策と類似しており、株価急騰のきっかけになるとの見方を示した。7日午後、ロイターの取材に応じた。

主なやりとりは以下のとおり。

――アベノミクス政策に対する期待が高まっている。どのように評価しているのか。

「インフレ目標2%を打ち出したことが最も評価できる。あらゆる政策を打ち出して目標を達成するという覚悟の表れであり、この覚悟がない限り、市場でのインフレ期待は高まらない。実際、安倍氏は無制限緩和を実施すると言い続けている。日本も欧米と同様に無制限緩和をしない限り、いつまでも円高が続き、国内輸出企業の競争力が落ちてしまう」

──金融政策だけでは需要が増えず、物価上昇も難しいのではないか。

「もちろん金融政策だけでは難しく、需要を喚起することが必要だ。そのためには積極財政を行い、公共投資を増やすしかない。日本は1996年の橋本内閣以降、財政改革を目指した緊縮財政を推進しており、足元では公共投資は97年から約半分に落ち込んでいる。今こそ赤字国債や建設国債の発行により財源を確保し、積極財政への政策転換が求められている」

「60─70年代の高度成長期に建てられたインフラ設備のほとんどが補修工事が必要な段階であり、国債発行で得た財源はこれらに向けられるべき。このほか、最先端技術や防衛関連事業などに投資すれば内需拡大につながる」

──国債を大量発行すれば財政が悪化するとの懸念も多い。

「世間一般で言われている財政危機説は嘘だ。国債を発行しても財政は必ずしも悪化しない。例えば政府債務残1000兆円、GDP500兆円の場合、政府債務残高のGDP比率は200%だが、国債を10兆円発行(債務残高1010兆円)し、全て公共投資などに用いればGDPは510兆円に増加、債務残GDP比率は198%に低下する。GDPが増加することで税収も増えるため、債務残高GDP比率の低下はさらに加速する」

──今までも金融緩和や財政政策を実施したが、景気回復は一時的だった。

「一度踏んだアクセルは踏み続けなければならない。過去にも2度、デフレ脱却の機会があったが、日銀が政府側の意向を聞かずに、ゼロ金利政策の解除(00年8月)、量的緩和政策の解除(06年3月)をしたために、いずれも失敗に終わった。政府・日銀が両輪となって最低でも向こう5年間のタームで景気が回復するまで続けることが重要だ」

──安倍氏による日銀関与強化が批判されている。

「橋本内閣による改革の一環として98年に日銀法が改正され、日銀の独立性が過度に高まった。その後の15年間において、日銀はインフレ政策を採ると言いながら、結果的にはコアコアCPIがマイナス1%からプラスマイナス1%にとどまっており、デフレターゲットと揶揄(やゆ)されかねない状況となっている。日銀が用いる手段は独立性を残さなければならないが、デフレ脱却という目標は政府と一つにするべきだろう」

「その意味で来春の日銀総裁人事は注目度が高い。政府が主導する政策を推進する総裁が求められる」

──自民党が第1党となっても衆参のねじれは解消されない。

「自民党の単独過半数は最低限達成すべき水準。単独で300議席確保する勢いがあれば安倍氏が提言する超金融緩和策、積極財政に大きな追い風となり、政局の変化とともに景気回復への道筋が開ける。来年7月の参院選でも勝利すれば長期安定政権となる可能性もある」

──自民党が大勝しアベノミクス政策が推進された場合、株式市場への影響は。

「株価は急騰するだろう。アベノミクス政策は1932─36年に高橋蔵相が実施した金本位制離脱、円安による輸出復興、積極財政、日銀の国債引き受けなどと類似点が多い。当時はたった2年でデフレ脱却を果たした。今回も同様の道筋をたどるならば株式市場にも好影響を与えるだろう」


 冒頭に書いたように、私はこの見解にほぼ同意します。

 一点、私が疑問を感じるのは、「世間一般で言われている財政危機説は嘘だ」という主張です。

 カブドットコム証券・マーケットアナリストの山田勉氏は、続けて、

 「国債を発行しても財政は必ずしも悪化しない。例えば政府債務残1000兆円、GDP500兆円の場合、政府債務残高のGDP比率は200%だが、国債を10兆円発行(債務残高1010兆円)し、全て公共投資などに用いればGDPは510兆円に増加、債務残GDP比率は198%に低下する。GDPが増加することで税収も増えるため、債務残高GDP比率の低下はさらに加速する」

と述べています。この部分には、論理的な誤りはないと思います。私も以前、同様のことをブログに書いています。

 しかし問題は、「だから財政危機ではないと言えるのか」です。私が疑問を感じるのは「ここ」です。



 そもそも、借金を増やせば「財政は健全化する」という論理がおかしいですよね。

 たしかに計算上は、「財政が健全化した」ように見えます。

 しかし、このことはたんに「政府債務残高のGDP比率」が必ずしも「絶対的な指標」ではないということを示すにすぎず、「政府債務残高のGDP比率」の数値にばかり気を取られてはいけませんよ、ということを示していると考えるのが適切であるように思います。

 なぜなら常識的に考えて、「借金を増やせば財政は健全化する」というのは「おかしい」からです。



 もっとも私は、金利が低いことを根拠に「積極的に」財政政策を行うべきである (そうしなければデフレは終わらない) と思っているので、実際に行うべき政策は何か、という結論部分では、氏の意見に同意します。

尖閣防衛についてのアメリカの姿勢

2012-12-14 | 日記
 日本が尖閣諸島を防衛するためには、日本は防衛力 (すなわち軍事力) を強化すべきだと思います。

 日米安全保障条約は存在しているものの、米軍は「自動的に」参戦するわけではありません。

 これについては、すでに当ブログの過去記事「米上院、全会一致で「尖閣に安保適用」」で述べていますが、

 米国・米軍の姿勢を考える際に参考になる情報を引用(紹介)します。

 一つは「米上院が全会一致で可決した国防権限法の詳細・解説」、そして他の一つは「元アメリカ陸軍大尉の考える作戦」です。

 どちらも、「日本の軍隊そして国民が中国軍の攻撃に対して果敢に抵抗しているものの、苦戦を強いられ、アメリカ軍の援助を求めている」という状況でなければ米軍は動かない、と言っていることに注目してください。

 また、「元アメリカ陸軍大尉の考える作戦」からは、米軍は直接的には出動せず「間接的に」尖閣を守ろうとする可能性も読み取れます。



 自民党は「自衛隊」を「国防軍」に変えることを主張していますが、自民党の主張は当然のものだと思います。

 すくなくとも、「自衛隊」を「国防軍」に「名前を変えるだけ」でも問題だ、許さない、といった主張は、いかがなものかと思います。



 今回の選挙では、「日本の防衛」「自衛隊の位置づけ」「憲法改正」なども重要な争点になっています。

 以下に引用する情報を、みなさんが投票する際の参考にしてください。



Japan Business Press」の「「米軍が尖閣防衛に駆けつける」は早合点、ウェッブ議員の“置き土産”の本当の中身とは」( 2012.12.10 )

アメリカ連邦議会で審議中の「2013年度 国防権限法」に、ウェッブ上院議員(注)が中心となってマケイン上院議員、インホッフ上院議員、リーバーマン上院議員らと提議した「尖閣諸島を巡る状況に関する補足 第1246条」が、11月29日に全会一致で可決された。

 この条項を一言で言うならば、これまでしばしばアメリカ政府高官(例えばクリントン国務長官やパネッタ国防長官)が公言している「尖閣諸島の領有権に関しては中立的立場を維持するが、尖閣諸島が日本の施政下にあることは認めている」というアメリカ政府の立場を、アメリカ連邦議会でも明確に宣言するという趣旨である。

 (注)ウェッブ上院議員は海軍兵学校を卒業し、アメリカ海兵隊に入隊。海兵隊将校としてベトナム戦争に参加し、数々の勲功を挙げ、「Navy Cross」を含む6個の勲章を授与された。ベトナム戦争後、法律家に転身して連邦議会や連邦政府の仕事に就き、1987年にはレーガン政権下で海軍長官(アメリカ海軍とアメリカ海兵隊を統括する海軍省のトップでシビリアンのポスト)を務めた。上院では、軍事委員会(人事小委員会委員長)や外交委員会(東アジア・太平洋地域小委員会委員長)などを兼任してきた。今期で上院議員を引退する。

◆「尖閣諸島は日本の施政下」「日米安保条約第5条の規定を再確認」と記述

 条項は下記のような内容であり、7項目から構成されている。

【第1246条:尖閣諸島情勢に対するアメリカ合衆国上院の意見】

 アメリカ合衆国上院の意見は下記の通り:

(1)東シナ海は、アジア太平洋地域の全ての諸国家に利益をもたらす重要な海上航路帯・通商路を有するアジアの“共有の海”の一部である。

(2)東シナ海における領有権ならびに管轄権に関する紛争の平和的解決は、紛争を複雑にする、あるいは増長したり地域を不安定にする様々な行動に関与する全ての当事国の自制に基づいた行動が要求されている。そして相違点は、普遍的に認められている慣習国際法の原則に従った建設的方法で処理されるべきである。

(3)アメリカ合衆国は、尖閣諸島の究極的領有権に関しては立場を明確にはしないが、尖閣諸島が日本の施政下にあることは認めている。

(4)第三国による一方的な行動は、尖閣諸島が日本の施政下にあるというアメリカ合衆国の認識になんらの影響も与えない。

(5)アメリカ合衆国は、航行の自由、平和と安定の維持、国際法の遵守、そして合法的通商の自由に対して国益に関わる利害関係を持っている。

(6)アメリカ合衆国は、脅迫なしで領有権紛争を解決しようとする当事者間の協調的外交プロセスを支援し、東シナ海における主権や領域を巡っての諸問題を解決するために当事国が脅迫しようとしたり、軍事的恫喝をしたり、軍事力を使用することに反対する。

(7)アメリカ合衆国は「締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動する」という日米安保条約第5条における日本政府に対する責務を再確認する。

◆歓迎すべきだが単純に受け取るのは誤り

 アメリカ上院がこの第1246条すなわち“ウェッブ修正条項”を採択したことは、「日中間尖閣論争」が「日中間軍事衝突」に発展した場合にはアメリカの同盟国である日本をなんらかの形で支援することを、アメリカ政府同様アメリカ議会も明言したわけであり、日本にとってはもちろん歓迎すべき条文である。

 ただし、日本の多くのメディアは、「国防権限法」とはどのような法律であるのか、また“ウェッブ修正条項”は“Sense of Senate”という追加条文であることを説明していない。

 そして、あたかも「尖閣問題で中国が日本に武力攻撃を仕掛けたらアメリカは日本防衛のために中国と戦うよう『国防権限法』で定められた」、あるいは「尖閣諸島をアメリカ軍が防衛する義務が『国防権限法』で定められた」といったニュアンスを与えかねない論調で報道している。

 これでは、日本の国防をアメリカに頼り切ることに疑問を感じない人々が、「尖閣問題が引きがねとなって中国が日本に武力攻撃を加えたら、アメリカが日本を守ってくれるから『とりあえずひと安心』だ」、そして「『日米同盟の危機』などと言っているが、日米同盟は見事に機能しているじゃないか」などと思い込んでしまいかねない。

 しかしながら、そのような具合に単純に受け取るのは大きな誤りと言わねばなるまい。

 “ウェッブ修正条項”は、今期をもって上院から引退するウェッブ上院議員の日本に対する“置き土産”のようなものである。ただし後述するように、日本が自主防衛努力を真剣に進めるならば置き土産となり、そうでなかった場合は“鍵が開かない箱”となってしまう。

◆ウェッブ修正条項は意見表明であって法的拘束力はない

 そもそも「国防権限法」と和訳されている“National Defense Authorization Act”(通称「NDAA」)は、アメリカ連邦議会が毎年国防総省(陸軍・海軍ならびに海兵隊・空軍を含む)の予算の大枠を決定し、認可する法律である。したがって、NDAAは「国防歳出認可法」と和訳した方が実体を表象するものと筆者は考える。

 「予算の大枠」を規定するといっても、かなり具体的な内容まで盛り込まれているため、国防権限法は極めて厖大な文書となっている。ちなみに現在審議中の「2013年度 国防権限法」は、第1246条が加えられる以前でも本文596ページ、表70ページであり、これにいくつかの修正条項が加えられるためにさらに厚手の法律となる。

 「2013年度 国防権限法」は間もなく上院を通過した後、下院との協議(両院協議会)を経てオバマ大統領が署名して法律となる。つまり、この法律に基づいた国防予算の執行にゴーサインが出るわけである。

 この中に含まれる“ウェッブ修正条項”は、その表題に「上院の意見表明(SENSE OF THE SENATE)」という文言が付せられている条文であって、法的拘束力がある項目は含んでいない。

 アメリカ連邦議会では、上院、下院、議会全体の意見表明としての「意見表明決議(“SENSE OF”resolution)」がなされることがある。また、独立した「意見表明決議」ではなく、法案の中に上院、下院、議会全体の意見表明としての「意見表明条項(“SENSE OF”section)」を盛り込む場合も少なくない。

 とりわけ、法的拘束力を持たせるのが難しい外交問題で、アメリカ政府や関係諸国に対して連邦議会によるメッセージを公にしておきたい場合に、“SENSE OF”が用いられる場合が多い(もちろん、内政に関するものも少なくない)。

 まさに“ウェッブ修正条項”は、この種の外交問題に関する意見表明条項の典型例である。

◆あくまでもホワイトハウス・国務省・ペンタゴンが状況を判断する

 意見表明としての“ウェッブ修正条項”そのものはなんら法的拘束力は持たないが、安保条約第5条は条約上の拘束力があるため、間接的に法的拘束力を生ぜしめている意見表明ということになる。その結果として、「“ウェッブ修正条項”によって、アメリカは尖閣防衛義務が生じた」といった類いの単純な理解が生じてしまっているわけである。

 “ウェッブ修正条項”にせよ、クリントン国務長官やパネッタ国防長官の表明にせよ、中国が尖閣問題を口実に日本に対して武力攻撃を実施した場合には、安保条約第5条が適用される趣旨を確認しているのであり、アメリカ軍による中国軍に対する反撃が自動的に実施されることを保証しているわけではない。

 なぜならば、日米安保条約第5条(前段)によれば、「アメリカ合衆国憲法ならびに法令の規定と手続きに従って、中国軍による対日武力攻撃に対処する」ということになるのであって、場合によっては米中戦争を前提にした核攻撃が実施されるかもしれないし、場合によっては全くアメリカ軍が動かないかもしれない。あくまでもホワイトハウス・国務省・ペンタゴンの状況判断によりけりということになる。

 これは、日米安保条約第5条前段と一見似通っているが大きく異なっているNATO条約第5条前段と比べてみると、よく理解できるところである。

 すなわち、NATO条約第5条前段には、条約締約国に対して武力攻撃がなされた場合には「武力の行使を含む必要と認める行動を、個別的ならびに他の締約国との共同で直ちに実施して、攻撃を受けた締約国を援助する」と、条約加盟国による軍事的反撃義務が明確に規定されている。しかしながら、日米安保条約にはこのような規定は存在しない。

◆日本の自主防衛努力が大前提

 それでは、中国軍が尖閣諸島領有権紛争解決を口実に日本に武力攻撃を仕掛けた場合に、アメリカ軍が日本防衛のために送り込まれることになる条件はいかなるものであろうか?

 結論を一言で言うと、「日本救援のためにアメリカ軍が出動し、少なからぬアメリカ軍将兵が死傷し、アメリカ軍装備が損耗し、アメリカ国民の税金が投入されるという状況をアメリカ国民が是認するであろう」と、ホワイトハウスや連邦議会が確信するような状況が必要である。

 NATO条約と違って、日米安保条約には攻撃国に対して自動的に反撃する義務が課せられていない。そのため、あくまでアメリカ軍による戦闘を伴う反撃という形での日本保護、すなわち“参戦”はホワイトハウスと連邦議会の決断が必要である。そうである以上、アメリカ国民の意向を尊重せざるを得ないのである。

 そして、アメリカ国民が支持する大前提は、同盟国日本の軍隊そして国民が中国軍の攻撃に対して果敢に抵抗しているものの、苦戦を強いられ、アメリカ軍の援助を求めている、という構図が見て取れる状況なのである。

 しかしながら「アメリカ軍は『槍』、自衛隊は『盾』」と公言して外敵に対する反撃能力を極小に抑え込み、自主防衛能力構築を蔑(ないがし)ろにしているのが日本の現状である。その結果、国際常識から判断すると異常に低い国防費しか支出せずに、当初よりアメリカ軍による直接軍事介入を前提としており、自主防衛という意識すら希薄な状況が日本社会に定着してしまっている。

 このように自主防衛能力が弱体である現在の日本の国防状況が続いている限り、ウェッブ上院議員による“置き土産”であるべき第1246条は“鍵の開かない箱”となってしまい、アメリカによる直接的軍事介入は現実のものとはならないことは必至である。


週プレNEWS」の「日中有事にアメリカは動くか? 元アメリカ陸軍大尉・飯柴智亮インタビュー」( 2012年11月19日 )

「まさか武力衝突まではないだろう」というのと同じくらい、日本人がなんとなく思っているのが「いざとなったら米国が助けてくれるだろう」ということ。でも、それは本当なのだろうか? 元アメリカ陸軍大尉・飯柴智亮氏に緊急取材した。

■中国軍は民間人を装ってやってくる?

―本日はお忙しいなか、ありがとうございます。早速ですが、尖閣有事における状況として、
(1)中国軍が尖閣諸島に攻めてきて占領されそうだが、自衛隊ががんばって阻止している。
(2)しかしながら奮戦及ばず、いったん中国軍に占領される。
(3)その占領された尖閣諸島を日米合同で再び奪還する。
といった段階が考えられます。大尉どの、日本が困っていたら、もちろん米国は助けてくれるでありますよね?

飯柴(以下、I) ちょっと待ってください。いくらクリントン国務長官が「尖閣は日米安保条約の適用範囲内」と明言したとはいえ、何かあれば米軍がすぐ駆けつけてくれると思ったら大間違いです。

―そ、そんな~!

I まずは日本が独自の防衛行動をとった後で、ようやく米軍に最小限の出動を要請できるわけです。それに、もし米軍が支援に駆けつけたとしても、米国の国益を最優先に動くので、必ずしも日本の国益と一致するとは限りません。

―では、米軍は自衛隊を見殺しにするでありますか?

I “見殺し”は人聞きが悪いですが、米軍が動くのは日米安保条約第5条、つまり軍事力による侵攻があった場合のみです。

―中国軍が尖閣諸島を奪ったら、まさに軍事侵攻であります。

I 確かにそうなると米軍も動かなくてはなりません。ただ、中国もそれを理解していますから、現時点で中国海軍が直接出てくる可能性はほとんどないでしょう。

―じゃあ、ひと安心ですね。

I いや、待ってください。可能性のひとつとして、私服で民間船に乗ってきた中国人らしき集団が魚釣島に上陸し、ドサクサまぎれに島を要塞化してしまうケースも考えられます。一見、民間活動家のようですが、実は武装した人民解放軍の特殊任務部隊でしょう。

―そんなときは、どうすればいいでありますか?

I 大変だとは思いますが、海保、警察、海自の皆さんでがんばって撃退してください。

―えーっ、まだ米軍は助けてくれないのでありますか?

I そこは微妙です。米国がその状況を「中国による日本国領土への武力侵攻」だと判断すれば、事態は変わってくるでしょう。

■局地戦をするより海峡封鎖が効果的

―すると、いよいよ米軍出動ですね。ありがとうございます。お疲れさまです。さあ、すぐ侵略者を追い払ってください!

I 待ってください。この場合、中国側の作戦は「島の死守(HoldStrong Point)」「接近阻止(AntiAccess)」「領域拒否(Area Denial)」となります。これに対して島を奪還しようと無理に接近しても、ムダな被害が出るだけです。

―じゃあ、指をくわえて見ているだけでありますか?

I まあ、待ってください。われわれの狙いは、中国の本当の目的をかわすことにあります。

米軍は対中関係を長期的に有利にもっていくため中国の海上補給ルートを断ちます。日本、韓国、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、オーストラリアなどの友好国に協力要請して、マラッカ海峡をはじめ、中国にエネルギー資源を運ぶ海峡を封鎖します。これで中国を兵糧攻めにするのです。

―なるほど。油がこなくなれば、「こりゃたまらん」と中国も諦めるわけでありますね。

I 通常なら、これで尖閣から離れていくでしょう。ただし、まだ油断は禁物です。「せっかく占領したから」と、“活動家”たちが魚釣島に居座るかもしれません。

―居座るやつらにはミサイルをガンガンぶち込み、沖縄駐留の米海兵隊をすべて投入する強襲上陸作戦で蹴散らしましょう!

I いやいや、待ってください。もっと静かにやりましょう。相手は“民間活動家”なのですから。

仮に作戦名を「オペレーション・レッドクリフ」、担当する部隊を「タスクフォース・ウー(呉)」、魚釣島への上陸部隊を「チーム・ファンガイ(黄蓋)」とします。上陸部隊は2個小隊(48名)。メンバーは第7艦隊傘下・極東地域担当の海軍特殊部隊SEALチーム5から選抜します。全員がアジア系で、DLPT(Defense Language Proficiency Test)レベルII+以上の中国語を話せることが絶対条件です。上陸部隊長(海軍大尉)のコールサインはファンガイ6。
ちなみに、6というのはその部隊の司令官のことで、82空挺師団だったら師団長のコールサインはオールアメリカン6です。

―カッコいいであります!

I 魚釣島は謎の中国人活動家に占領されていると仮定。私服だが武装しており明らかに軍人。

まともに揚陸艇で攻めると激しい交戦になるし、地形的に空からの降下は困難。よって、五星紅旗を掲げた偽装中国漁船に乗り込み、仲間が来たと油断させて島の西側に上陸します。まずカツオブシ工場跡付近の敵をナイフ、消音銃で片づけ、PL(フェイズ・ライン)1まで確保するのです。

―さすがに仕事が早いです。

I ただし、米軍はやみくもに特攻するようなマネはしません。特殊部隊員の養成には莫大な資金と時間がかかっており、そう簡単に死なせるわけにはいかないんです。
上陸前には上空から偵察機が情報支援し、万が一に備えてAC130ガンシップが待機しています。そしてEW(電子情報戦)サポートも専用航空機が上空から行ない、それらをAWACS(早期警戒管制機)が統制します。

―島の東側にいる敵はどうするでありますか?

I PL1を越えて、標高151高地、標高258高地、屏風岳(びょうぶだけ)東側の3チームに分かれて散開し、消音スナイパーライフルで射殺します。
屏風岳チームは東岬(あがりさき)付近を掃討し、遺体を海に投棄。151高地と258高地のチームは、それぞれ島の南北の海岸沿いに残敵を掃討しながら上陸地点に戻ります。

―帰りは泳ぐでありますか?

I 泳ぎません。船に隠してあったSDV(SEALs専用の小型潜水艇)に乗り込み、沖合で待機中のバージニア級原潜にピックアップしてもらいます。
おそらく公式発表では、「魚釣島を不法占拠していた中国人活動家らしき者たちは、海岸で高波にさらわれて全員溺死」といった内容になるのでしょう。めでたく尖閣は日本の実効支配に戻ります。

―米軍はホントに、これくらい働いてほしいであります!


中国は本当に「日中友好」を望んでいるのだろうか?

2012-12-13 | 日記
産経ニュース」の「「おまえは日本人か」 中国人が共同通信記者に暴行 南京大虐殺式典取材中に」( 2012.12.13 13:28 )

 中国江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」で13日、虐殺から75年の追悼式典を取材していた共同通信記者が、式典に参加していた中国人に蹴られるなどの暴行を受けた。痛みがあるが、外傷はない。

 記者が携行していたパソコンで記事を執筆していた際、突然、背後から20代とみられる男に腰を蹴られた。さらに、そばにいた中年の男が「おまえは日本人か」と叫び、記者が身に着けていたマフラーを引っ張り、一時、首を圧迫した。

 周辺にいた私服警官が男らを取り押さえたが、連行はしなかったとみられる。当時、式典の正式行事は終わり、敷地内で参加者が「平和の鐘」をつくなどしていた。


 中国の警官は暴行現場を目撃し、犯人を「取り押さえたが、連行はしなかった」と報じられています。

 つまり警官は「暴行を止めただけ」です。

 犯罪行為を現場で目撃し、犯人を取り押さえたにもかかわらず、「逮捕しなかった」わけです。

 おかしいですよね。



産経ニュース」の「南京大虐殺記念館と追悼式典、国家レベルに格上げか 尖閣国有化に対抗?」( 2012.12.13 11:57 )

 【南京=河崎真澄】日中戦争で旧日本軍による南京占領で起きたとされる「南京事件」から75年となった13日、江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」で防空警報が鳴る中、事件当時の住民や家族、地元小学生ら合わせて約9000人が集められて追悼式典が行われた。

 南京市と姉妹都市である名古屋市の河村たかし市長による今年2月の「南京事件否定発言」で両市の当局間交流は中断したまま。日本政府の9月の尖閣諸島国有化への反発で中国で頻発した反日デモ以後、対日感情が一層悪化する中で初めての追悼式典となった。

 同館の朱成山館長は同日の記者会見で、今回まで江蘇省当局など地方レベルで管理、主催している同館の位置づけと式典を、「今後はいずれも国家レベルに格上げするよう共産党中央と調整中」と述べた。尖閣国有化への“対抗措置”とも受け取れる。国家レベルへの格上げ理由について朱館長は、「国際的な慣例に従うべきだ」とだけ答えた。

 党中央が要請を認めれば同館は国立記念館などに昇格、追悼式典は国家的な祭事となる可能性がある。

 一方、200人弱という事件の生存者を名乗る高齢者が最近、家族を通じて中国版ツイッター「微博」で相次ぎ発言しており、程福保氏(79)は、「日本は公然と釣魚島(尖閣諸島)を奪い取り軍拡を続けている。われわれは最後まで徹底的に日本と戦う」などと、激しい口調で投稿している。


 私は、私なりに考察した結果、「南京大虐殺はなかった」という主張を支持しています。

 これはあくまでも、私なりに考察した結果であって、「日本に都合がよいから」南京大虐殺はなかったという主張を支持しているのではありません。

 私がどのように考え、どのような理由で「南京大虐殺はなかった」と考えているかについては、末尾に記載している「関連記事」をご覧ください。



 さて、 中国の習近平は、日本政府による尖閣諸島「国有化」を「茶番」だと非難しています (「対中関係を改善し得るのは自民党である」参照 ) 。

 しかし、南京にある「南京大虐殺記念館」の存在自体が茶番であり、したがって「追悼式典」の開催も茶番ではないでしょうか?



 そもそも、日本政府による尖閣「国有化」とは要するに、国内における所有権の移転にすぎません。たんに、登記簿上に書かれている「所有者」の名前が変わっただけです。所有権の移転によって「日本領土」になったわけではありません。

 登記名義の変更と、日本領土か否かが関係ないことは、次のように考えてみれば「あきらか」です。

 たとえば、あなたが所有している土地は、登記簿上、あなたが所有者だと書かれています。では、あなたの土地は、「日本領土」ではないのでしょうか??? そんなことはありませんよね。あなたの土地は、日本領土の一部です。

 もちろん、あなたがハワイに土地を所有していれば (別荘など) 、それは日本領土の一部ではなく、アメリカの領土の一部ですが、

 「領土」と「所有権」とが別個の概念であることはわかりますよね。



 この程度のことで、つまり「国有化」程度のことで、中国は茶番だと日本を非難し (しかも根拠は習近平の思い込み) 、「官製デモ」をしたわけです。

 考えてみれば、「官製デモ」それ自体が「茶番」ですよ。「官製」ですからね。

 そしてまた、中国は「南京大虐殺記念館」を造って「茶番」を演じているわけです。



 このような中国は、本当に「日中友好」を望んでいるのでしょうか? 変だと思いませんか?

 中国が本当に「日中友好」を望んでいるなら、歴史的に事実か否か疑わしく、疑問の呈されている「南京大虐殺」について、記念館なんか造りませんよ。造っていても閉鎖するなり、史実か否かについて疑問が呈されている旨、掲示したりするなりするはずでしょう。

 でも、中国の態度は異なりますよね。

 どう考えてみても、中国は「日中友好」を望んでいないと思いませんか?



 中国は丹羽宇一郎駐中国大使の離任に際しても、「評価する」と言い放ちました (「丹羽宇一郎駐中国大使の離任間近!」参照 ) 。

 「評価する」ですよ! 評価する。

 何様のつもりでしょうか?

 これ、本当に「日中友好」を望んでいる態度ではないですよね。



 中国の態度は、おかしなことだらけだと思いませんか?



 日本はずっと、対中経済支援を行っています。

 でも、中国政府は積極的に、(中国の)国民にその事実を教えようとしません。

 それどころか、中国は日本から経済支援を受けていながら、他国に経済支援をしているのですよ。他国に経済支援をする余裕のある国が、なぜ、経済支援を受けているのでしょうか?

 また、中国は軍事力を強化し続けています。最近は、空母の話題がありましたよね。そんなお金がある国が、なぜ、日本から経済支援を受けているのでしょうか?

 結局、状況を全体的に考察すると、中国は、「日本が援助したお金の一部を他国に援助して感謝され、日本が援助したお金で軍事力を強化して日本を脅している」わけです。

 おかしいですよね。

 そう思いませんか?



■関連記事
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 「中国の子供に対する返事の例 (南京大虐殺をめぐって)
 「対中経済支援は日本を危険にする
 「中韓は「法律論で日本と争えば自国が不利と知っている」

ロシアの対中姿勢と尖閣への態度

2012-12-12 | 日記
 先日、「中ロ関係」及びロシアの「尖閣諸島の領有権がらみの問題」に対する態度について、コメント欄で資料をいただいたので、要点を箇条書き風にまとめてみました。

 私が要約した資料は記事の末尾に引用しています。

 なお、私が「領有権がらみの問題」と書いている理由については、当ブログの過去記事「日本の港には大型コンテナ船が入れない」の追記をご覧ください。



★要点


  • ロシアは尖閣諸島の領有権がらみの問題について中立を維持する方針であるが、暗に日本支持のシグナルを送っている。

    • 日中の領土紛争でロシアは「センカク」という表現を使用している。
    • 中国の新しい教科書には「帝政ロシアが極東の中国領土150万平方キロを奪った」とする記述がある。
    • 中国の戴秉国・国務委員(外交担当)は北方領土と尖閣での共同歩調を持ち掛けたが、ロシアは回答しなかった。
    • ロシア国民の間では、(中国に比べて) 日本の人気が圧倒的に高い。
    • 過去数世紀、中露・中ソ関係ではロシアが常に兄貴分だったが、今では立場が逆転している。


  • プーチンはリアリストで、中国の台頭を合理的に抑制しながら、利用すべきだと考えている。

    • ロシアの東アジア主要国大使はチャイナ・スクール(中国語専攻グループ)で固められている (デニソフ第一外務次官、アファナシエフ駐日大使、ブヌコフ駐韓大使、ラザロフ駐中国大使ら) 。
    • プーチン大統領は中国にロシアの戦略的資産を掌握させないよう指示しており、シベリアの石油・ガス田開発で中国企業には権益を与えず、日本企業に与える意向を示している。
    • 昨年の中国の国内総生産(GDP)はロシアの4倍である。


  • 極東情勢

    • 極東の産業の35%は中国資本の管理下にある。
    • 極東だけで中国人や北朝鮮労働者が50万人いる。




 中国の軍事力が増大し、日中間の紛争が日ロ間に比べ重要になりつつある以上、ロシアとの安全保障面での協力を模索すべきだと思います。

 ただ、日ロ間には北方領土問題があります。北方領土問題が障害になります。

 このブログではこれまで、北方領土問題に触れることはあっても(本格的に)記事を書いていませんでした。北方領土問題について、いま調べています (とりあえず本を1冊読みました) 。この問題について、近々記事を書き始めたいと思います。



新潮社 Foresight」の「モスクワで「対中警戒感」が広がる理由」( 2012年10月19日 )


 ロシアのプーチン大統領は今年2月に発表した外交論文で、「中国について語ることはファッショナブルだ」と書いたが、モスクワのロシア人識者の話題も「中国」が最大の関心事だった。尖閣諸島をめぐる日中の領有権争いもロシアでは比較的大きく報道され、関心の強さが分かる。

 9月下旬、日露学術報道専門家会議代表団に参加して1週間モスクワに滞在した際、会見したロシア外務省高官は「尖閣をめぐる展開から目を離せない。日中という隣国が対立を解消し、東アジア情勢の不安定化を招かないよう望む」と述べ、ロシアは中立姿勢を維持することを強調した。ロシアのテレビは中国側映像を多用することから、やや中国寄りの印象を受けたが、ロシア政府はどちらの側にも立たない路線だ。8月にモスクワで開かれた中露安全保障会議で、戴秉国・国務委員(外交担当)が北方領土と尖閣での共同歩調を持ち掛けたが、ロシアは回答しなかったという。

 中国専門家のバジャーノフ外交アカデミー所長は、尖閣問題で「日本の文献を読めば、日本の主張は正しいと思うし、中国の文書を読めば、中国の主張が正しいと思ってしまう。研究すればするほど問題は難しくなる」とはぐらかしながら、「中国にとって、日本との貿易経済関係は極めて重要であり、リスクを避けようとするだろう。日中関係は中露関係より、経済、文化、歴史面ではるかに緊密であり、密接な協力が可能だ」とし、いずれ情勢は沈静化に向かうとの見方を示した。

 同所長はまた、「中国の新しい教科書に、『帝政ロシアが極東の中国領土150万平方キロを奪った』とする記述があり、ロシアにとって好ましくない。中国の専門家になぜこんな記述を載せたのかとただした」と語っていた。1970年ごろ、唐突に尖閣の領有権を主張し始めた中国の対応は、ロシアにとって他人事ではないようだ。

 同所長は、「国民レベルでは、東アジアでは日本の人気が圧倒的に高い」としながら、外務省では中国語スクールが出世頭で、デニソフ第一外務次官、アファナシエフ駐日大使、ブヌコフ駐韓大使、ラザロフ駐中国大使ら東アジア主要国大使が中国派で固められていることを指摘。外交官の登竜門である国際関係大学の学生の間でも、中国語人気は英語より高いと話した。

 中国で2年間少林寺拳法を習ったとする新しいタイプの中国専門家、マスロフ高等経済大学教授は、日中の領土紛争でロシアは「センカク」という表現を使用し、暗に日本支持のシグナルを送っていると指摘し「歴史的に見て、中国の立場は支持しにくい」と述べた。

 マスロフ教授によれば、ロシア識者の中国観は分裂しており、①中国はロシア唯一の友人であり、中露は互いに補いながら、共同で発展できるとする対中ロマンチシズム派②中国とロシアの経済力格差はますます拡大し、ロシアは中国経済に飲み込まれる。ロシアは中国より欧米に接近すべきだとする対中嫌悪派③中国の台頭を合理的に抑制しながら、利用すべきとするリアリスト派――の3つのグループがある。

 ロマンチシズム派の代表格は、1960年代の中ソ対立を受けて設置され、中国非難の先頭に立った極東研究所で、同研究所の専門家は中国に招待され、すっかり洗脳されてしまったという。数年前、ウラジオストクを2分割し、半分の開発を中国にゆだねるよう主張したロマンチシズム派の学者もいたという。

 プーチン政権はリアリスト派だが、それでも政権内には中国警戒論が高まっている模様だ。政権に影響力を持つニコノフ下院外交委副委員長は、「プーチン大統領は中国にロシアの戦略的資産を掌握させないよう指示している」ことを明らかにし、「極東開発などで、ロシアは中国より日本企業の進出を希望する。その理由はよく知られているはずだ」と話していた。確かにロシアは、シベリアの石油・ガス田開発で中国企業には権益を与えず、日本企業に与える意向を示している。

 マスロフ教授は「ロシアにいる中国人の数は、非合法滞在が多く、①800万人説②200-300万人説③100万人説――がある。正確な数字は不明だが、極東だけで中国人や北朝鮮労働者が50万人いる。極東の産業の35%は中国資本の管理下に置かれた。中国の進出は、一部の基幹産業においては制限すべきだ」と述べていた。ロシア各都市にチャイナタウンが誕生し、中国人流入の実態すら分からない中で、ロシアの対中警戒感は確実に強まっている印象を受けた。

 中露間では今、歴史的なパワーシフトが進んでおり、昨年の中国の国内総生産(GDP)はロシアの4倍に上った。過去数世紀、中露・中ソ関係ではロシアが常に兄貴分だったが、今では「中国の妹」(タブロフスキー・ルムンバ大学教授)となってしまった。この構図は今後さらに広がり、ロシアが再び兄貴分になることはあり得ない。その焦燥感も対中警戒感の背景にあるような気がした。(名越健郎)


「核のゴミ」問題を解決する分離変換技術

2012-12-12 | 日記
 「核のゴミ」をどうするのか、調べていました。

 対策として、「地下に埋める」方法があることは知っていましたが、埋めたあとも「十万年」もの管理が必要で、さすがにそれは「現実的ではない」という感じがします。

 ところが、この問題を解決する「分離変換技術」というものが研究されているようです。

 分離変換技術とは、次に引用(紹介)する資料によれば、
高レベル放射性廃棄物(以下、「HLW」という。)に含まれる元素や放射性核種を、その半減期や利用目的に応じて分離するとともに、長寿命核種を短寿命核種あるいは安定な核種に変換する技術である。
とされています。

 簡単にいうと、
  1. 「核のゴミ」に含まれる放射性物質を「放射能パワー」の高い物質と、「放射能パワー」の低い物質に分けて (分離技術) 、
  2. 「放射能パワー」の高い物質を「放射能パワー」の低い物質に変換する (変換技術) 。
  3. 分離技術・変換技術のそれぞれについて、複数の方法が研究されている。
  4. 研究は着々と進められており、部分的には、「基礎研究段階」から「準工学研究段階」へと移行しつつある。
ということのようです。

 なお、複数の方法が研究されているのは、おそらく (私の推測では) どの方法が成功するかわからないからだと思います。



 この研究の「見通し」がどうなのか (成功しそうか否か) 、それが重要ですが、あまりにも専門的で、難しすぎて私にはよくわかりませんでした。

 この研究の「見通し」が明るいなら、「核のゴミ」問題は解決するはずですし、

 専門家会議の資料なので難しいのは当然だとは思いますが、「国民に向けて」ぜひ、(多少不正確でもよいので)わかりやすく書かれた資料を公開していただければと思います。



内閣府原子力委員会」の「分離変換技術検討会

「分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方」
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/bunri/houkokusho-090428.pdf

( 「○分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方について」の「報告書 本文、付録、主な用語説明」をクリックすると出てきます。)




 なお、私が調べるきっかけになったのは次の記事 (↓) です。



週プレNEWS」の「高レベル放射性廃棄物を処分する方法が日本にはない」( 2012年12月11日 )

衆院選で各党が争点に挙げる原発問題。しかし、原発ゼロ、原発推進のどちらを選んだとしても厄介なのが、すでに存在する「高レベル放射性廃棄物」の問題だ。この処分法については、これまでさまざまな検討がなされ、地下300m以深に埋める「地層処分」が唯一の解決法とされていた。だが、この方法が今、暗礁に乗り上げている。

高レベル放射性廃棄物とは、核燃料を原発で燃やすことで生まれる使用済み燃料、そして使用済み燃料から新たにウランとプルトニウムを取り出す作業(再処理と呼ばれ、この一連の過程を核燃料サイクルと呼ぶ)から出る高濃度の廃液をガラスで固めたガラス固化体など、放射線量が極めて高い物質を指す。

この物質の問題は、まず毒性が非常に高いこと。円筒形をしたガラス固化体1本(直径43cm×高さ134cm、重さは約500kg)の放射能量は製造直後で2京ベクレル、金属パックされた表面の放射線量は同時点で毎時1500シーベルト。人が近づけば1分以内で死に至るという。

そして、コレをすぐに最終処分するのかといえばそうではない。役目を終えたばかりの使用済み燃料や出来たてホヤホヤのガラス固化体は表面温度が非常に高い。そのため、前者は使用済み燃料プールの中で数年間、後者は青森県六ヶ所村と茨城県東海村にある貯蔵施設で30年から50年間、最終処分前に冷やす必要があるのだ。

また、こうした高レベル廃棄物の最も厄介な点は、数万年から10万年、人間環境から隔離しなければならないことにある。その理由は、使用済み燃料の場合、放射能の毒性が天然のウラン鉱石並みに減少するのに、およそ10万年の年月を要するからであり、ガラス固化体の場合でも、数万年を要するためだ。

2011年12月末時点で、日本の高レベル廃棄物の総量は約2万7000トンに上る。世界各国の高レベル廃棄物の総量は25万トンともいわれるので、世界の約10分の1強が“日本のゴミ”にあたる。

この高レベル廃棄物の処分法については、これまでどんな方法が検討されてきたのか? 『放射性廃棄物の憂鬱』(祥伝社新書)の著書がある楠戸伊緒里氏に聞いた。

「処分法として初期に有力視されたのは、深海への海洋投棄です。しかし海洋汚染を防止するためのロンドン条約が1972年に採択され、75年には高レベル廃棄物、93年にはすべての放射性廃棄物の海洋投棄が禁止されました。日本は75年の決定を受けて地層処分を進めることになったのです」

地層処分とは放射性廃棄物を地下深くに隔離する方法のこと。比較的放射能の低い低レベル廃棄物の場合には、浅い地中に埋設する地中処分という方法が採られるが、放射能レベルが極めて高い高レベル廃棄物については、地下300m以深の安定した岩盤に埋設することが、2000年制定の「最終処分法」で定められている。

しかし今年9月、日本の科学者の意見をまとめる日本学術会議が、「地層処分の安全性を認めることはできない」という声明を出した。3・11の大地震と津波を予知できなかった科学的知見の限界を認め、地震国日本では10万年先までの月日を要する地層処分の安全性が保証できず「再考の必要がある」と結論づけたのだ。

キケンすぎる原発ゴミを大量に抱えたまま、処分方法も定まらない……、それが日本の現状なのだ。




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