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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

ロシアの対中姿勢と尖閣への態度

2012-12-12 | 日記
 先日、「中ロ関係」及びロシアの「尖閣諸島の領有権がらみの問題」に対する態度について、コメント欄で資料をいただいたので、要点を箇条書き風にまとめてみました。

 私が要約した資料は記事の末尾に引用しています。

 なお、私が「領有権がらみの問題」と書いている理由については、当ブログの過去記事「日本の港には大型コンテナ船が入れない」の追記をご覧ください。



★要点


  • ロシアは尖閣諸島の領有権がらみの問題について中立を維持する方針であるが、暗に日本支持のシグナルを送っている。

    • 日中の領土紛争でロシアは「センカク」という表現を使用している。
    • 中国の新しい教科書には「帝政ロシアが極東の中国領土150万平方キロを奪った」とする記述がある。
    • 中国の戴秉国・国務委員(外交担当)は北方領土と尖閣での共同歩調を持ち掛けたが、ロシアは回答しなかった。
    • ロシア国民の間では、(中国に比べて) 日本の人気が圧倒的に高い。
    • 過去数世紀、中露・中ソ関係ではロシアが常に兄貴分だったが、今では立場が逆転している。


  • プーチンはリアリストで、中国の台頭を合理的に抑制しながら、利用すべきだと考えている。

    • ロシアの東アジア主要国大使はチャイナ・スクール(中国語専攻グループ)で固められている (デニソフ第一外務次官、アファナシエフ駐日大使、ブヌコフ駐韓大使、ラザロフ駐中国大使ら) 。
    • プーチン大統領は中国にロシアの戦略的資産を掌握させないよう指示しており、シベリアの石油・ガス田開発で中国企業には権益を与えず、日本企業に与える意向を示している。
    • 昨年の中国の国内総生産(GDP)はロシアの4倍である。


  • 極東情勢

    • 極東の産業の35%は中国資本の管理下にある。
    • 極東だけで中国人や北朝鮮労働者が50万人いる。




 中国の軍事力が増大し、日中間の紛争が日ロ間に比べ重要になりつつある以上、ロシアとの安全保障面での協力を模索すべきだと思います。

 ただ、日ロ間には北方領土問題があります。北方領土問題が障害になります。

 このブログではこれまで、北方領土問題に触れることはあっても(本格的に)記事を書いていませんでした。北方領土問題について、いま調べています (とりあえず本を1冊読みました) 。この問題について、近々記事を書き始めたいと思います。



新潮社 Foresight」の「モスクワで「対中警戒感」が広がる理由」( 2012年10月19日 )


 ロシアのプーチン大統領は今年2月に発表した外交論文で、「中国について語ることはファッショナブルだ」と書いたが、モスクワのロシア人識者の話題も「中国」が最大の関心事だった。尖閣諸島をめぐる日中の領有権争いもロシアでは比較的大きく報道され、関心の強さが分かる。

 9月下旬、日露学術報道専門家会議代表団に参加して1週間モスクワに滞在した際、会見したロシア外務省高官は「尖閣をめぐる展開から目を離せない。日中という隣国が対立を解消し、東アジア情勢の不安定化を招かないよう望む」と述べ、ロシアは中立姿勢を維持することを強調した。ロシアのテレビは中国側映像を多用することから、やや中国寄りの印象を受けたが、ロシア政府はどちらの側にも立たない路線だ。8月にモスクワで開かれた中露安全保障会議で、戴秉国・国務委員(外交担当)が北方領土と尖閣での共同歩調を持ち掛けたが、ロシアは回答しなかったという。

 中国専門家のバジャーノフ外交アカデミー所長は、尖閣問題で「日本の文献を読めば、日本の主張は正しいと思うし、中国の文書を読めば、中国の主張が正しいと思ってしまう。研究すればするほど問題は難しくなる」とはぐらかしながら、「中国にとって、日本との貿易経済関係は極めて重要であり、リスクを避けようとするだろう。日中関係は中露関係より、経済、文化、歴史面ではるかに緊密であり、密接な協力が可能だ」とし、いずれ情勢は沈静化に向かうとの見方を示した。

 同所長はまた、「中国の新しい教科書に、『帝政ロシアが極東の中国領土150万平方キロを奪った』とする記述があり、ロシアにとって好ましくない。中国の専門家になぜこんな記述を載せたのかとただした」と語っていた。1970年ごろ、唐突に尖閣の領有権を主張し始めた中国の対応は、ロシアにとって他人事ではないようだ。

 同所長は、「国民レベルでは、東アジアでは日本の人気が圧倒的に高い」としながら、外務省では中国語スクールが出世頭で、デニソフ第一外務次官、アファナシエフ駐日大使、ブヌコフ駐韓大使、ラザロフ駐中国大使ら東アジア主要国大使が中国派で固められていることを指摘。外交官の登竜門である国際関係大学の学生の間でも、中国語人気は英語より高いと話した。

 中国で2年間少林寺拳法を習ったとする新しいタイプの中国専門家、マスロフ高等経済大学教授は、日中の領土紛争でロシアは「センカク」という表現を使用し、暗に日本支持のシグナルを送っていると指摘し「歴史的に見て、中国の立場は支持しにくい」と述べた。

 マスロフ教授によれば、ロシア識者の中国観は分裂しており、①中国はロシア唯一の友人であり、中露は互いに補いながら、共同で発展できるとする対中ロマンチシズム派②中国とロシアの経済力格差はますます拡大し、ロシアは中国経済に飲み込まれる。ロシアは中国より欧米に接近すべきだとする対中嫌悪派③中国の台頭を合理的に抑制しながら、利用すべきとするリアリスト派――の3つのグループがある。

 ロマンチシズム派の代表格は、1960年代の中ソ対立を受けて設置され、中国非難の先頭に立った極東研究所で、同研究所の専門家は中国に招待され、すっかり洗脳されてしまったという。数年前、ウラジオストクを2分割し、半分の開発を中国にゆだねるよう主張したロマンチシズム派の学者もいたという。

 プーチン政権はリアリスト派だが、それでも政権内には中国警戒論が高まっている模様だ。政権に影響力を持つニコノフ下院外交委副委員長は、「プーチン大統領は中国にロシアの戦略的資産を掌握させないよう指示している」ことを明らかにし、「極東開発などで、ロシアは中国より日本企業の進出を希望する。その理由はよく知られているはずだ」と話していた。確かにロシアは、シベリアの石油・ガス田開発で中国企業には権益を与えず、日本企業に与える意向を示している。

 マスロフ教授は「ロシアにいる中国人の数は、非合法滞在が多く、①800万人説②200-300万人説③100万人説――がある。正確な数字は不明だが、極東だけで中国人や北朝鮮労働者が50万人いる。極東の産業の35%は中国資本の管理下に置かれた。中国の進出は、一部の基幹産業においては制限すべきだ」と述べていた。ロシア各都市にチャイナタウンが誕生し、中国人流入の実態すら分からない中で、ロシアの対中警戒感は確実に強まっている印象を受けた。

 中露間では今、歴史的なパワーシフトが進んでおり、昨年の中国の国内総生産(GDP)はロシアの4倍に上った。過去数世紀、中露・中ソ関係ではロシアが常に兄貴分だったが、今では「中国の妹」(タブロフスキー・ルムンバ大学教授)となってしまった。この構図は今後さらに広がり、ロシアが再び兄貴分になることはあり得ない。その焦燥感も対中警戒感の背景にあるような気がした。(名越健郎)


「核のゴミ」問題を解決する分離変換技術

2012-12-12 | 日記
 「核のゴミ」をどうするのか、調べていました。

 対策として、「地下に埋める」方法があることは知っていましたが、埋めたあとも「十万年」もの管理が必要で、さすがにそれは「現実的ではない」という感じがします。

 ところが、この問題を解決する「分離変換技術」というものが研究されているようです。

 分離変換技術とは、次に引用(紹介)する資料によれば、
高レベル放射性廃棄物(以下、「HLW」という。)に含まれる元素や放射性核種を、その半減期や利用目的に応じて分離するとともに、長寿命核種を短寿命核種あるいは安定な核種に変換する技術である。
とされています。

 簡単にいうと、
  1. 「核のゴミ」に含まれる放射性物質を「放射能パワー」の高い物質と、「放射能パワー」の低い物質に分けて (分離技術) 、
  2. 「放射能パワー」の高い物質を「放射能パワー」の低い物質に変換する (変換技術) 。
  3. 分離技術・変換技術のそれぞれについて、複数の方法が研究されている。
  4. 研究は着々と進められており、部分的には、「基礎研究段階」から「準工学研究段階」へと移行しつつある。
ということのようです。

 なお、複数の方法が研究されているのは、おそらく (私の推測では) どの方法が成功するかわからないからだと思います。



 この研究の「見通し」がどうなのか (成功しそうか否か) 、それが重要ですが、あまりにも専門的で、難しすぎて私にはよくわかりませんでした。

 この研究の「見通し」が明るいなら、「核のゴミ」問題は解決するはずですし、

 専門家会議の資料なので難しいのは当然だとは思いますが、「国民に向けて」ぜひ、(多少不正確でもよいので)わかりやすく書かれた資料を公開していただければと思います。



内閣府原子力委員会」の「分離変換技術検討会

「分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方」
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/bunri/houkokusho-090428.pdf

( 「○分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方について」の「報告書 本文、付録、主な用語説明」をクリックすると出てきます。)




 なお、私が調べるきっかけになったのは次の記事 (↓) です。



週プレNEWS」の「高レベル放射性廃棄物を処分する方法が日本にはない」( 2012年12月11日 )

衆院選で各党が争点に挙げる原発問題。しかし、原発ゼロ、原発推進のどちらを選んだとしても厄介なのが、すでに存在する「高レベル放射性廃棄物」の問題だ。この処分法については、これまでさまざまな検討がなされ、地下300m以深に埋める「地層処分」が唯一の解決法とされていた。だが、この方法が今、暗礁に乗り上げている。

高レベル放射性廃棄物とは、核燃料を原発で燃やすことで生まれる使用済み燃料、そして使用済み燃料から新たにウランとプルトニウムを取り出す作業(再処理と呼ばれ、この一連の過程を核燃料サイクルと呼ぶ)から出る高濃度の廃液をガラスで固めたガラス固化体など、放射線量が極めて高い物質を指す。

この物質の問題は、まず毒性が非常に高いこと。円筒形をしたガラス固化体1本(直径43cm×高さ134cm、重さは約500kg)の放射能量は製造直後で2京ベクレル、金属パックされた表面の放射線量は同時点で毎時1500シーベルト。人が近づけば1分以内で死に至るという。

そして、コレをすぐに最終処分するのかといえばそうではない。役目を終えたばかりの使用済み燃料や出来たてホヤホヤのガラス固化体は表面温度が非常に高い。そのため、前者は使用済み燃料プールの中で数年間、後者は青森県六ヶ所村と茨城県東海村にある貯蔵施設で30年から50年間、最終処分前に冷やす必要があるのだ。

また、こうした高レベル廃棄物の最も厄介な点は、数万年から10万年、人間環境から隔離しなければならないことにある。その理由は、使用済み燃料の場合、放射能の毒性が天然のウラン鉱石並みに減少するのに、およそ10万年の年月を要するからであり、ガラス固化体の場合でも、数万年を要するためだ。

2011年12月末時点で、日本の高レベル廃棄物の総量は約2万7000トンに上る。世界各国の高レベル廃棄物の総量は25万トンともいわれるので、世界の約10分の1強が“日本のゴミ”にあたる。

この高レベル廃棄物の処分法については、これまでどんな方法が検討されてきたのか? 『放射性廃棄物の憂鬱』(祥伝社新書)の著書がある楠戸伊緒里氏に聞いた。

「処分法として初期に有力視されたのは、深海への海洋投棄です。しかし海洋汚染を防止するためのロンドン条約が1972年に採択され、75年には高レベル廃棄物、93年にはすべての放射性廃棄物の海洋投棄が禁止されました。日本は75年の決定を受けて地層処分を進めることになったのです」

地層処分とは放射性廃棄物を地下深くに隔離する方法のこと。比較的放射能の低い低レベル廃棄物の場合には、浅い地中に埋設する地中処分という方法が採られるが、放射能レベルが極めて高い高レベル廃棄物については、地下300m以深の安定した岩盤に埋設することが、2000年制定の「最終処分法」で定められている。

しかし今年9月、日本の科学者の意見をまとめる日本学術会議が、「地層処分の安全性を認めることはできない」という声明を出した。3・11の大地震と津波を予知できなかった科学的知見の限界を認め、地震国日本では10万年先までの月日を要する地層処分の安全性が保証できず「再考の必要がある」と結論づけたのだ。

キケンすぎる原発ゴミを大量に抱えたまま、処分方法も定まらない……、それが日本の現状なのだ。




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