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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

憲法改正の可能性

2012-12-17 | 日記
 今回の衆院選で自民党が圧勝したことにより、憲法改正が現実味を帯びつつあります。

 現時点での憲法改正の可能性について考えてみました。



 普段このブログを読んでいないが、たまたま検索等でこの記事にたどりついた、という人のために、

 最初に、今日の別の記事「日本国憲法の改正条件は他国なみ」で引用したのと同じ報道を引用したうえで、意見を述べます。



朝日新聞」の「憲法改正規定緩和へ「維新と協力」 自民・安倍総裁」( 2012年12月16日23時57分 )

 自民党の安倍晋三総裁は16日夜のテレビ各局のインタビューで、衆院選で公約した憲法改正について「まず96条の(衆参両院で3分の2を必要とする)改正規定から変えようと考えている。3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば国民が指一本触れられないのはおかしい」と語った。

 安倍氏は、この方針について、ともに改憲を唱える日本維新の会が「理解していただいているのではないか。大きな方向で当然協力していきたい」と強調。ただ、「参院では3分の2にほど遠い。勢力の構築をどうしていくかよく考えないといけない」とも述べた。

 9条改正で自衛隊を軍隊と認め国防軍とすることに関しては「海外には自衛隊は軍だと説明している。この矛盾をなくすのは当然の義務だ」と述べた。


 まず、今回の衆院選の結果について調べます。



YOMIURI ONLINE」の「衆院選2012

にある開票結果によれば、当選者の多い順に、

   自民党  294議席
   民主党   57議席
   維新の会  54議席
   公明党   31議席

となっています (その他の政党については省略します) 。



 憲法改正のためには、「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」が必要ですから、

 自民党単独では、「衆議院議員の定数480」の「3分の2」である「320議席」に及ばなかったものの、自民党は民主党・維新の会・公明党のいずれかの協力を得られれば、衆議院においては「3分の2」の条件を満たし、憲法改正の発議が可能になります。



 次に、参議院の状況について調べます。



参議院」の「会派別所属議員数一覧

によれば、「第181回国会(臨時会)(平成24年10月29日~平成24年11月16日)」の時点、すなわち現時点において、参議院議員は全部で236人、その「3分の2」は157・3333…ですから、158人以上の賛成があれば憲法改正の発議が可能になります。

 参議院における現時点の勢力状況は、

   民主党・新緑風会・国民新党 90議席
   自由民主党・無所属の会   83議席
   公明党           19議席

です。「細かいことは気にしない」方針で「新緑風会・国民新党」「無所属の会」については無視する (全員民主党または自民党であるとして考える) と、

   民主党   90議席
   自民党   83議席
   公明党   19議席

となります。

 したがって参議院では、自民党は民主党の協力が得られなければ、憲法改正の発議は行えないことがわかります。(細かいことは気にしないで計算していますが、状況を的確に捉えていると思います)



 以上をまとめると、

 憲法改正の発議のためには、衆議院と参議院、それぞれで3分の2以上の賛成が必要ですから、

 自民党の安倍総裁は維新の会との協力について述べていますが、

 憲法を改正するためには、自民党は民主党の協力を得なければならないことになります。

 もちろん来年の参院選のあとなら話は別です。議員が入れ替わるからです。

日本国憲法の改正条件は他国なみ

2012-12-17 | 日記
 今回の衆院選で自民党が圧勝したことにより、憲法改正が現実味を帯びつつあります。



朝日新聞」の「憲法改正規定緩和へ「維新と協力」 自民・安倍総裁」( 2012年12月16日23時57分 )

 自民党の安倍晋三総裁は16日夜のテレビ各局のインタビューで、衆院選で公約した憲法改正について「まず96条の(衆参両院で3分の2を必要とする)改正規定から変えようと考えている。3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば国民が指一本触れられないのはおかしい」と語った。

 安倍氏は、この方針について、ともに改憲を唱える日本維新の会が「理解していただいているのではないか。大きな方向で当然協力していきたい」と強調。ただ、「参院では3分の2にほど遠い。勢力の構築をどうしていくかよく考えないといけない」とも述べた。

 9条改正で自衛隊を軍隊と認め国防軍とすることに関しては「海外には自衛隊は軍だと説明している。この矛盾をなくすのは当然の義務だ」と述べた。




 他国の憲法改正の条件がどうなっているのか、調べてみました。その結果、

 安倍総裁は「3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば国民が指一本触れられないのはおかしい」ので「まず96条の(衆参両院で3分の2を必要とする)改正規定から変えようと考えている」と言っていますが、

 日本国憲法の改正条件は「他国なみ」であり、「とくに厳しい」というわけではないことがわかりました。

 このことをもって、安倍総裁の考えかたが「おかしい」とはいえませんが、「正しい」とも言い切れないように思います。



All About」の「世界の憲法改正手続比較」( 更新日:2007年05月10日 )

の内容をまとめると、次のようになります。



★日本
  国会の3分の2以上の多数による発議と、国民投票による過半数の賛成が必要

★イギリス
  特に特別な多数決は必要なく、単純過半数の多数決でよい
   ( 成文憲法がないので法改正の場合と同じ条件 )

★アメリカ
   連邦議会の両院で3分の2以上の賛成で憲法改正を発議し、州議会の4分の3が承認するか、または憲法会議で4分の3の州の賛成があればよい。

★カナダ
  連邦議会の上院・下院の議決と、3分の2以上の州議会の議決(ただし議決した州人口が全体の過半数あること)

★ロシア
  連邦議会上院の4分の3、下院の3分の2が承認し、さらに共和国・州・地方などの連邦構成体議会の3分の2の承認

★ドイツ
  憲法(基本法)は国会両院(連邦議会・連邦参議院)の3分の2以上の多数で改正

★オーストラリア
  連邦議会両院の過半数で可決した後、各州(凖州ふくむ)の州民投票を行い、過半数の州で賛成し、かつ国民投票で全選挙人の過半数の賛成が得られたとき
   ( 今までにないものや、法律中の重要規定を「憲法規定」とすることは、連邦議会両院の3分の2以上の多数のみで行える )

★スイス
  原則として連邦議会の議決のみでよい。ただし、両院のいずれかが改正に同意しなかった場合、または10万人以上の有権者が全面改正を要求した場合は、国民投票を行い、過半数が改正に賛成した場合、新たに両院を選挙しその上で改正審議を行う

★韓国
  国会(一院制)の3分の2以上の多数による議決と、国民投票による過半数の賛成

★デンマーク
  国会(一院制)が改正案を議決した場合、まず国会の総選挙が行われ、総選挙後の国会で改正案を無修正で再議決し、かつ、国民投票で投票数の過半数の賛成かつ全有権者の40%以上の賛成

★スペイン
  基本的に国会両院のそれぞれ5分の3以上の賛成が必要。ただし上院が絶対多数で議決すれば、下院で3分の2以上の賛成があればよい。ただし憲法の全面改正、人権規定、その他特定の重要規定については、両院の3分の2以上の多数の議決と、解散・選挙後の新国会で再び両院の3分の2以上の多数で議決が必要。どちらの場合も国民投票で過半数の賛成も必要。

★フランス
  基本的には国会(二院制)による過半数の議決ののち、国民投票による過半数の承認でよい。ただし政府が提出した改正案は、大統領が国会を両院合同会議として召集し、ここで改正案を審議することにしたときは、国民投票は行われず、国会の5分の3の賛成で改正が成立する。

★スウェーデン
  国会(一院制)が議決し、国会の総選挙を行い、再び新しい国会での議決が必要。国会議員の10分の1が改正案を国民投票にかける動議を提案し、これに議員の3分の1以上が応じた場合は、国民投票が行われる。

★ベルギー
  連邦議会(二院制)による憲法改正の宣言の後、両議院は解散・総選挙を行い、次の国会で両議院の3分の2以上の多数による可決が必要。ただし審議には常に総議員の3分の2が出席していなければならず、また、戦争中など国家の危機状態の時には改正は不可。

★フィンランド
  一院制の議会で過半数の賛成により改正案を議決した後、選挙を行い、新しい議会で3分の2以上の賛成が必要。

★オランダ
  下院が改正案を議決し、下院は改正案を過半数で議決した後に解散し、解散後の国会で両院の3分の2の賛成が必要。