「日本経済新聞」の「建設国債、日銀が全額引き受けを 自民総裁」( 2012/11/17 13:41 )
公共事業は景気対策として有効だが、そのためのカネがない、という意見があります。これに対し、
自民党の安倍総裁は「日銀が建設国債を全額引き受ける」ことで問題は解決する、と考えておられるようです。
いいんじゃないでしょうか。
「中央銀行の信認」が崩れる、通貨(円)が暴落する、などの「可能性」を考えた反対意見もあるようですが、
日本が没落すれば「日本銀行への信認」なんてあってもなくても大差ないですし、「円高で困っている」状況で「円が暴落する」と言ってみても説得力に乏しいと思います。というか、「生産能力過剰」=「需要不足」の状況で、「円の暴落」=「異常な物価高」=「急激なインフレ」は起こらないと思います。
また、金融緩和には効果がないという主張の根拠は要するに、金融緩和をこれ以上続けてもカネが流通しないというものですから、
安倍総裁の主張する方法、すなわち政府がカネを使いまくって強制的にカネを流通させるという方法であれば、確実にデフレ脱却は近づくと考えられます。
そろそろ本当に、「政策を総動員」してデフレ脱却を図るべき時期にきているように思います。
■関連記事
「自民党の安倍総裁が掲げる政策」
「デフレの脱出策と日銀の説明責任」
「政府の信認と中央銀行の信認」
「政府の借金は返す必要がない」
「日本は財政破綻しない」
「国家が財政破綻するための条件」
自民党の安倍晋三総裁は17日、熊本市内で講演し、衆院選後に政権を獲得した場合、金融緩和を強化するための日銀法改正を検討する考えを重ねて表明した。「建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう。新しいマネーが強制的に市場に出ていく」と述べ、日銀が建設国債を全額引き受けるのが望ましいとの考えを表明した。
日銀法改正の内容として「政府とともにインフレターゲット(物価安定目標)をちゃんともっていくこと。雇用に対して責任を負うことだ」と指摘。物価の安定だけでなく、雇用の安定も金融政策の運営目標に位置づけるべきだとの認識を示した。来年4月に任期が切れる白川方明日銀総裁の後任には、物価安定目標に賛成している人物を起用したい考えを明らかにした。
公共事業は景気対策として有効だが、そのためのカネがない、という意見があります。これに対し、
自民党の安倍総裁は「日銀が建設国債を全額引き受ける」ことで問題は解決する、と考えておられるようです。
いいんじゃないでしょうか。
「中央銀行の信認」が崩れる、通貨(円)が暴落する、などの「可能性」を考えた反対意見もあるようですが、
日本が没落すれば「日本銀行への信認」なんてあってもなくても大差ないですし、「円高で困っている」状況で「円が暴落する」と言ってみても説得力に乏しいと思います。というか、「生産能力過剰」=「需要不足」の状況で、「円の暴落」=「異常な物価高」=「急激なインフレ」は起こらないと思います。
また、金融緩和には効果がないという主張の根拠は要するに、金融緩和をこれ以上続けてもカネが流通しないというものですから、
安倍総裁の主張する方法、すなわち政府がカネを使いまくって強制的にカネを流通させるという方法であれば、確実にデフレ脱却は近づくと考えられます。
そろそろ本当に、「政策を総動員」してデフレ脱却を図るべき時期にきているように思います。
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「自民党の安倍総裁が掲げる政策」
「デフレの脱出策と日銀の説明責任」
「政府の信認と中央銀行の信認」
「政府の借金は返す必要がない」
「日本は財政破綻しない」
「国家が財政破綻するための条件」
ブログ氏には、国内生産可能な財・サービスしか念頭にないようですが、化石燃料を中心とする輸入財の上昇懸念は問題ないでしょうか?生産能力過剰」=「需要不足」がインフレ防止に役立つのは、国内生産可能な財・サービスのみに成り立つ事態です。
特に、円安は輸出産業に恩恵があるものの、化石燃料価格の高騰はエネルギー産業を経由して、全産業に影響を与えますので、差し引きデメリットが大きすぎるかと思います。
また、インフレーションの怖さは、物価が上昇すること自体よりも、管理不能な状態に陥ることにあります。
何といっても、自国通貨の価値を貶めることは、輸出産業が喜ぶことはあっても、その他の産業にはデメリットしかない点を留意する必要があると思います。
特に、財政規律を失って通貨への信用を失いかねない、直接引き受けについては、危険が大きすぎると思います。
金融政策はしょせん「金融」政策にすぎません。
どんなに金利を下げても、金融緩和をしても、一時的な効果は見込めますが、それを用いた収益性のある事業を行わない限り、持続した成長は適わないのは自明の理かと思いますので、日本でやるべきは、収益性のある事業を確立するための実質的な規制緩和と、それに対応するセーフティーネットの構築にあると思います。
現在の円高は、基本的に米国の強烈な金融緩和が原因だと思います。つまり日銀が金融緩和姿勢に乏しいために、円高になっているということです。
とすれば、日本はもっと金融緩和すべきである、ということになります。
たしかに金融政策は所詮金融政策にすぎませんが、現状を考えると、日銀は金融緩和を積極的に行うべきではないかと思います。
単純に投機資金に儲け口を与えるだけの結果になる可能性を危惧します。
日本が円高であるのは、日本が評価されているわけではなく、相対性の問題であるため、自国のみでは莫大な投機資金(日本円以外が全部相手と言っても過言ではない状況)の壁の前に敗れることは必須です。
また、為替対策で金融政策を用いるときには、オフショアマーケットに大量の不胎化資金が滞留するので、投機マネーが大量にマーケットに出回ることになり、副作用のリスクも拡大します。
そのあたりのコントロールが難しいところですが、政策アナウンスとともに、他国と協調出来た場合のみ、可能だと思います。
為替相場は、ゆったりと安定していることが一番であって、更なる円高を望むわけでもないですが、急激な変化は危険です。
このあたりの水準で安定的に推移するのが、一番かと思っており、このレベルの円高に耐えうる経済構造の構築が最も重要であって、その支援に資金を回すべきであると思っています。
現状でも輸出産業自体のシェアはそんなに大きくない(GDPの15%程度だったと記憶していますが、エビデンスありません。)ので、問題は製造業にぶら下がる多数の中小企業の影響にあります。
具体的には、単純製造業からの変化、ファブレス化への支援、マーケットシェアトップ企業の支援、敗北企業の撤退容易化支援、といったところが重要かと思います。
要するに金融緩和以外のことこそが重要であり、かつ、それは土木関連の財政出動ではなく、規制緩和や構造改革支援のための支出に向かうべきだと思っています。
誤解を避けるために再言すると、為替はどの水準であっても「安定している」ことが重要で、円安でも円高でも、変化が大きいことが問題です。
急激な円安を避ける等、副作用の問題については、金融緩和の「程度」の問題なので、あまり重要ではないと思います。安倍総裁は「無制限の金融緩和」「国債の日銀全額引受」と言っていますが、それは要するに「上限」の話です。現実問題、「1,000,000,000兆円の金融緩和」なんてあり得ないですし、「1,000,000,000兆円分の建設国債発行」もあり得ないと思います。
したがって安倍総裁の唱える政策を実行に移した場合にも、「極端に急激な円安」は起こらないと思います。
なお、規制緩和・構造改革については、景気の如何を問わず、行うべきだというのが私の主張です。そもそも規制緩和・構造改革には、即効性がありません。数年単位・数十年単位で効いてくる政策は、「喫緊の課題への対策」として有効だとは思いません。
即効性のある対策というのは、旧構造を維持してしまうことにつながるので、一旦、持ち直したとしてもひずみが大きくなり、次により大きな痛みを招く、その繰り返しがこの20年だと大きな理解をしています。
通貨発行権を用いて通貨下落を招く、すなわち通貨通用力を低下させるということは、経済構造云々を超えて、日本円の価値を下落させることですので、とても賛成できません。いつ、価値が落ちるとも分からない国に投資を呼び込むことができるでしょうか?
そのようなことになれば、世界を相手に商売する企業であれば、自社内の通用通貨をドルベースで判断することになっても不思議はないと思います。(既に商社はそのレベルにありますが。)
通貨価値は、信用によって維持されますので、金額で上限云々ではない点を気をつける必要があります。
財政規律、国家財政の観点で、信用を毀損すれば加速度的に悪化します。金融はプラスもマイナスも常にレバレッジが掛かって物事が推移しますので、一旦、信用を失うとあっという間に落ちていきます。
その時に止める手段は自国のみではほとんど存在しないというのが、過去の通貨危機の経験則だと思います。
なので、極端に急激な円安が起きない、ということを言いきることはできないはずですし、そのリスクは一旦生じればアンコントローラブルであることを気にする必要があると思います。
しかし同じ先進国でも、日本以外(欧米)は基本的に、デフレには陥っていませんよね。
結局、何が違うかといえば、中央銀行の(金融)緩和姿勢ではないでしょうか?
いつ価値が落ちるか分からない円(日本)の信用が失われるとおっしゃいますが、アメリカは強烈な金融緩和姿勢をとりつつも、ドルは(下落してはいるものの)「暴落」はしていないのではないでしょうか?
その点、日本は底支えとなるものが(少なくとも対米比)ありません。
なお、私もインフレターゲット自体の有意性を否定しているわけではない点、ご理解ください。
デフレ脱却には役立たない、と言っています。
水面下に潜る前なら有用であるが、水面下に一度もぐってしまうと、それは効果を発揮しないということです。
それは、一度、水面下に潜ってしまうと、金融政策の手段である金利政策が利用できなくなってしまうことが挙げられます。
例えば米国は、ゼロ金利政策にまでは至っておらず、翌日物でも0.18%台(日本は0.085%台)、3か月で0.3%台(日本は0.09%台)と、金利誘導できる幅が異なります。
操作をする余地がなければ、いくら頑張ります、といったところで実現しませんし、むしろ、できないことを言うことでオオカミ少年として信頼をさらに失います。
そうなれば、日銀のいうことなど、そもそも聞く耳を持たなくなるでしょう。
また、日本国内だけを相手にしているのではなく、金融は言葉も文化も異なる相手がおり、しかもそれがメインプレイヤーです。やってみれば良い、という姿勢では、巻き込まれた相手からも疎まれることになります。
(仮に無制限緩和をすれば、それは他国の投機資金に回る「円キャリー」が、またぞろ登場するでしょう。)
そもそも金融緩和に効果がないなら、円が暴落することもないでしょう。金融緩和に効果がないという主張と、円が暴落するという主張は、両立しないと思います。
銀行部門の資本毀損により、国家救済が余儀なくされる懸念と、そもそこ国家部門の財政に欺瞞があったことが相まって、今回のソブリン危機が発生しました。
英国の銀行部門は自己資本の毀損が大陸欧州の銀行に比べて、それほどでもないために信用を維持していますから、ポンドが下落する要因がないうえに、欧州通貨の代替として資金流入していることが支えにもなっています。
金融緩和に効果がないことと、円が暴落することの両立は十分可能です。
金融緩和で効果なく、円の希薄化にしか効果がなければ、円の価値の希薄化=円の暴落であるから、両立どころか、原因結果の関係にもなりうるものです。
円が暴落するというのは、要するにハイパーインフレになるということですよね。ということは、「インフレになる」ということですよ。この主張は、金融緩和に効果があることが前提ですよね。
したがって、金融緩和には効果がないという主張と、円が暴落するという主張は両立しないと思います。
もっとも「円の価値の稀薄化」「円の暴落」というとき、1ドル120円でも「暴落」というなら話は別ですが、その程度なら問題視するにはあたらないでしょう。