言語空間+備忘録

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増税・贅沢税のもたらす結果

2011-04-21 | 日記
アーサー・B・ラッファー、ステファン・ムーア、ピーター・タナウス 『増税が国を滅ぼす』 ( p.161 )

 父ブッシュの一九九〇年予算案(当時は「世紀の予算」と呼ばれた)を巡って、いつの間にか妙な説が流布している。財政規律を取り戻すよう有権者から強く迫られて増税を敢行した、ということになっているのだ。のちに当人も暗にそうと認め、やるべきときに増税をした大統領として後世に記憶されるだろう、といった発言をしている(*2)。だがこれは歴史の歪曲にほかならない。共和党に再び増税を促し、党内を分裂させる意図でもあるのかと勘ぐりたくなる。
 一九九〇年度予算は、結局その目的を達することはできなかった。増税は経済に利するどころか、大統領が増税に同意した直後から、八年ぶりの後退局面に突入している。しかも増税は、財政赤字を減らすことさえできなかった。赤字は予算が成立してからうなぎ登りに増大し、政府支出も一向に減っていない(*3)。

(中略)

 しかし最悪だったのは、税収がすこしも増えなかったことである(*9)。増税前の一九八九年の時点では、歳入がGDPに占める割合は一九・三%だった。ところが増税後の一九九一年には、一九・一%に減っている。ウォールストリート・ジャーナル紙は独自の試算結果を社説で公表し、富裕層が納めた税金は増税後に減っていると指摘した(*10)。一九九一年七月の記事によると、「一九九〇年の増税で見込まれていた歳入増のうち、八一%は実現しなかった」という。なんたる衝撃。当初の目論見は外れてしまったのだ。一九九三年一月には、ピュリッツァー賞受賞作家のポール・ジゴが「赤字は全然減っていない」と題する一文をウォールストリート・ジャーナル紙のコラムに寄稿。その中で、増税後の一九九一年に富裕層が納めた税金は、九〇年よりも六五億ドルも減ったとし、「増税をすれば税金が怒涛の如く流れ込むと政府は言っていたようだが」と皮肉っている(*11)。
 増税の中でも万人を怒らせたのが、最富裕層を狙って創設された「贅沢税」である。これは設計ミスとしか言いようのない税金だった。金持ち重税の大好きなリベラルが考え出したのだが、いまとなっては早いところみんなに忘れてほしいにちがいない。贅沢税が導入され、ヨット、宝石、プライベート・ジェットの類に一〇%の税金が加算されるようになると、お金持ちはヨットを買うのをやめてしまった――すくなくともアメリカでは。議会は、ヨットやジェットを買うのはロックフェラーやトランプといった人々であっても、つくるのはそうではないということを、どうやら忘れていたらしい。贅沢税が導入されてから二年のうちに九四〇〇人の船大工が失業し、中の一人は、「議会はわれわれの職も贅沢品と考えているのか」と怒りをぶちまけた(*12)。早くも一年後には、ジョージ・ミッチェル上院議員(メーン州選出)が贅沢税の撤廃を要求した。皮肉なのは、ミッチェルはリベラルの大御所で、増税予算の黒幕だったことである。議員は、ヨットやボートの大半がメーン州の造船所で作られていることを度忘れしていたようだ(*13)。


 父ブッシュの増税によって、税収は増えるどころか、減ってしまった。その結果、アメリカの財政赤字は増大している。とくに最富裕層を狙って創設された「贅沢税」は庶民の仕事まで奪ってしまい、すべての人を怒らせた、と書かれています。



 減税は税収を増やす、という主張がサプライサイド経済学からなされており、

 実際に、「減税が税収増をもたらした例」もあります。



 「ラッファー・カーブ理論」によれば、「減税は税収を増やす」ケースの正反対、すなわち

   「増税は税収を減らす」

ケースもあるはずですが、今回の引用によって、その例があることもわかります。



 しかし、今回の引用でもっとも重要なのは、

   「贅沢税」が庶民の仕事を奪い、庶民を苦しめる結果になった、

という部分だと思います。

 一見すると、「贅沢税」は金持ち以外には影響しない、庶民には無関係である、と思ってしまいますが、じつはそうではないことがわかるからです。



 最近の報道によれば、台湾はこの「贅沢税」を可決したようです。



REUTERS」の「台湾立法院、不動産投資や高級品への特別課税案を可決」( 2011年 04月 15日 16:34 JST )

 [台北 15日 ロイター] 台湾立法院は15日、不動産投資と高級品に対する特別税(ぜいたく税)導入案を可決した。資産バブルを招きかねない物価上昇に歯止めをかけるのが狙い。7─10日で馬英九総統が最終承認する見通し。
 2年以内で売却する投資目的の不動産に10%課税し、1年以内については15%の課税となる。居住している場合は課税対象としない。平均所得層にとって住宅価格が購入不可能な水準に上昇している台北など主要都市での対策。投機が価格上昇の一因とみられている。

 このほか、300万台湾ドル(10万米ドル)以上の個人所有の航空機やヨット、高級車、および50万台湾ドル以上のゴルフクラブの会員権や毛皮コートなどに10%課税する。


 この特別税(ぜいたく税)は「資産バブルを招きかねない物価上昇に歯止めをかけるのが狙い」である。「7─10日で馬英九総統が最終承認する見通し」だと報じられています。



 目的が「資産バブルを防ぐ」ことにあるとすれば、今回、台湾が導入しようとしている「贅沢税」が庶民の仕事を奪い、庶民を苦しめる結果になるとはかぎらないとも考えられます。

 そこで台湾の「贅沢税」がどういう結果を招くのか、日本で「贅沢税」を導入すべきかを考える資料・材料として、注目に値するのではないかと思います。
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