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広島経済 ①勝利の方程式 独自の戦略

2016-11-02 07:15:00 | 経済フロントライン

10月8日 経済フロントライン


ベテランと若手の力がかみ合った粘りの野球で
ペナントレースを制したカープ。
主力は一から育て上げた20代後半の選手たちだった。
選手を発掘して育成するというこのチーム作りは
資金が少ない故に選んだ独自の戦略だった。
昭和25年
カープは原爆の被害から復興する広島の象徴として誕生した。
プロ野球チームの中で唯一親会社を持たない球団。
資金不足で存続が危ぶまれることもあった。
そんなとき
市民が休場の前に樽を置いて募金を呼び掛ける“たる募金”を行い
チームを救った。
昭和50年に初優勝。
カープは黄金時代を築く。
しかし平成3年の優勝を最後に成績は低迷する。
主力選手がFAで相次いでチームを去り
ドラフトの逆指名制度で有名選手が特定の球団に集中。
15年連続でBクラスを経験した。
資金力のあるチームが実績のある選手を集める中
カープは無名でも有望な選手を発掘。
猛練習で育てる路線を続けた。
今年の年俸総額はセリーグで最も多い巨人の6割ほどである。
発掘と育成のチーム作りがようやく実を結んだのが今年だった。
6月 2試合連続のサヨナラホームランを放ち
“神ってる”とまで言われた鈴木誠也選手。
高校時代はピッチャーで甲子園出場の経験はなかったが
カープに入って打者としての才能を開花させたのである。
菊池涼介選手は大学時代岐阜の学生リーグでプレーしていたところを
カープのスカウトに見出された。
今シーズン守備でピンチを何度も救い
リーグ最多安打も記録した。
実力をつけた若手に加え
今年の強さはカープに戻ってきたベテランの存在だった。
一度はFAでチームを去った新井貴浩選手。
そして大リーグで活躍し
年俸20億円以上とも言われるオファーを断って復帰した黒田博樹投手。
2人に共通するのは「強いチーム愛」だった。
(緒方孝市監督)
「ひとりひとりが自分の役割をわかったうえで
 思い切ってグラウンドでプレーしている。
 それがチームの力となって
 そういうことがかみ合いだして力がどんどんついてきた。」
カープと同じように
経営資源を集中させて独自の路線を歩む企業が広島には数多くある。
その代表が自動車メーカーのマツダである。
リーマンショックのあと業績は低迷したが
V字回復をし
今年3月期の営業利益は過去最高を記録。
去年発売した新型ロードスターはワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
この躍進を支えているのがスカイアクティブエンジンである。
こだわりのエンジン開発技術をつぎ込んで
ハイブリッド車並みの低燃費を実現した。
他のメーカーが電気モーターなどを使ったエコカーに力を入れる中
資金力に劣るマツダは
手を広げずに
独自の技術を育て上げてきたのである。
スカイアクティブエンジンを搭載した新車を続々発表。
デザインの良さと合わせて人気を呼んでいる。
車づくりを愛する技術者たちを結集し
自動車本来の走りを追求した戦略がユーザーの心をつかんだのである。
(マツダ常務執行役員 デザイン・ブランドスタイル担当 前田育男さん)
「一握りの人に
 この車がないと嫌だと言ってもらえる車を作る。
 自分たちの信じたものだけを直球を投げて
 そこに集まってくれる人たちだけを吸い上げる戦略もある。」
自動車産業に詳しい専門家は
マツダの強みは広島の風土に根ざしたものだと指摘する。
(ナカニシ自動車産業リサーチ 代表 中西孝樹さん)
「人と違うことをやる。
 それがあのサイズの規模の会社が競争力を発揮する大きな原動力になっている。
 マツダの特徴は非常に戦略的に考えて
 ロードマップを決めてそこからぶれない。
 非常にこつこつと。
 あの芯の強さは地域の特性に通じるものがある。
 マツダだから
 広島だからできたと言えるかもしれない。」



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