6月9日 NHK海外ネットワーク
欧米諸国との対立を深めるイラン。
アフマディネジャド大統領は核開発を推し進め対決姿勢を貫いてきた。
そのイランで次の大統領を選ぶ選挙が行われる。
(保守強硬派の候補)
「アメリカの支配に対抗していく。」
保守強硬派が台頭するなか欧米による経済制裁は市民生活を直撃。
国民の不満が高まっている。
(改革派が支持する候補)
「この国を危機から守る!」
14日に投票が行われるイランの大統領選挙。
過激な発言で知られる現職のアフマディネジャド大統領は憲法で三選が禁じられているために
今回の選挙で新しい大統領が誕生することになる。
立候補開始直後から大勢の人が訪れた。
なかには花束を持ったり
国旗を身につけた人たち
イランの映画俳優になりきった人などユニークな人の姿も見られた。
立候補を届け出た人の数は686人。
ただ正式な候補者として認められたのはわずか8人。
聖職者などによる事前審査でほとんどが失格とされた。
失格となった人の中には欧米との関係改善を模索した元大統領など有力な候補者も含まれ
最高指導者のハーメネイー師の意向が働いたとみられている。
欧米との対決路線の継続を訴える保守強硬派が4人
関係改善を目指す改革派と穏健派が2人となっている。
体制批判が許されないイランでは抗議行動は最近起きていなかったが
6月4日 イラン中部で大規模な抗議行動が起きた。
厳しい経済状況に国民の不満が高まっていることがうかがえる。
「国民はインフレで何も買えない。」
「根本的な問題として政権を運営する政治家に能力がない。」
改革派の選挙運動にかかわっているハメッド・シャフィエさん。
大規模な反政府デモにつながった4年前の大統領選挙後
治安当局に拘束され3か月近く刑務所に入れられた。
シャフィエさんは当局に最もマークされている改革派系の新聞社で編集長を務めている。
オフィスにはケネディ元大統領やオバマ大統領の写真が貼られていた。
(ハメッド・シャフィエさん)
「実は改革派の政治家たちの写真があったが
今朝 すべてなくなっていた。」
いつの間にか剥がされていた写真。
シャフィエさんは活動をやめろという治安当局からの警告だとみている。
言論統制が厳しさを増しシャフィエさんは国の将来に危機感を募らせている。
(ハメッド・シャフィエさん)
「あそこに座っていた経済部の記者
この席に座っていた社会部の記者
さらに文化部の記者1人と政治部の記者2人
みんな拘束された。
このまま改革派の声が通らなければこの国はさらに孤立し明るい未来なんて期待できない。」
長く沈黙を強いられてきた改革派の間でいま期待を背負っている候補者がいる。
改革派のハータニ―政権時代に省の責任者を務めたロウハニ氏である。
(ロウハニ氏)
「我々が政権を運営していた時代は
いかなる欧米の経済制裁や圧力も英知を結集して切り抜けてきた。」
ロウハニ氏は2004年に欧米側とウラン濃縮活動の停止に一度は合意するなど
国際経験の豊富な柔軟な政治家として知られている。
聖職者のロウハニ氏は保守層の一部の支持も見込めるうえに
疲弊する国内経済の打開をアピールして改革支持者の受け皿となっている。
(ロウハニ氏)
「すべての問題は“知恵と希望のカギ”によって解決できる。
核開発問題も経済制裁もだ。
経済成長も夢ではない。」
ロウハニ氏の集会では支持者の中から改革派を支援する歌まで聞かれる。
誰もこの結束を破ることはできない
わたしたちなら成し遂げられる
「彼ならアメリカの交渉に成功し経済制裁を取り除いてくれるはず。」
「改革派が勝つことこそ重要。」
しかしこの直後に治安当局は反体制的な言動があったとして集会の参加者10人余を逮捕した。
改革派は当局の厳しい警戒のなか困難な戦いとなっている。
これに対し選挙戦を優位に進めているのが保守強硬派。
ジャリリ氏(47)はイラン・イラク戦争で片足をなくした戦争の英雄である。
最高指導者ハーメネイー師の秘蔵っ子として知られ
イスラム体制の支持者から絶大な人気を集めている。
(ジャリリ氏)
「われわれはイスラムの影響力を世界中に拡大させ
アメリカの支配に対抗していく。」
核開発問題では最高指導者の代理人として交渉の責任者に抜擢され
欧米からは一切妥協する姿勢を見せない“タフ ネゴシエーター”と呼ばれている。
(ジャリリ氏)
「すべてのイラン国民は核開発に向けて団結している。
今後もこの道を歩み自分たちの権利を主張していく。」
(支持者)
「彼は最高指導者に忠実で信仰心も厚い。
まさに革命の守護者だ。」
「欧米に妥協せず制裁の解除を勝ち取れるのは彼だけ。」
9日 テヘランで行なわれたロウハニ氏の集会では現状への不満や変革を求める声が聴かれた。
一方保守強硬派は最高指導者の側近を務めるジャリリ氏や
テヘラン市長を務めるガリバフ氏などが優位に戦いを進めている。
8人が乱立する今回の選挙は
各勢力の一本化工作が進まなければ上位2人による決選投票にもつれ込む可能性がある。
核問題や対米政策などの根幹は最高指導者のハメネイ師が握っているが
保守強硬派の大統領で国内がより右傾化すると
外交交渉によって核問題のなどの妥協点を見出すことがいっそう難しくなる。
ただ欧米諸国との対立が軍事的な緊張を帯びる中で
決定的な衝突に陥ることはイランとしても避けたい。
国際社会が注視するなかイラン国民は誰を大統領に選ぶのか。
16日には大勢が判明する見通しである。
欧米諸国との対立を深めるイラン。
アフマディネジャド大統領は核開発を推し進め対決姿勢を貫いてきた。
そのイランで次の大統領を選ぶ選挙が行われる。
(保守強硬派の候補)
「アメリカの支配に対抗していく。」
保守強硬派が台頭するなか欧米による経済制裁は市民生活を直撃。
国民の不満が高まっている。
(改革派が支持する候補)
「この国を危機から守る!」
14日に投票が行われるイランの大統領選挙。
過激な発言で知られる現職のアフマディネジャド大統領は憲法で三選が禁じられているために
今回の選挙で新しい大統領が誕生することになる。
立候補開始直後から大勢の人が訪れた。
なかには花束を持ったり
国旗を身につけた人たち
イランの映画俳優になりきった人などユニークな人の姿も見られた。
立候補を届け出た人の数は686人。
ただ正式な候補者として認められたのはわずか8人。
聖職者などによる事前審査でほとんどが失格とされた。
失格となった人の中には欧米との関係改善を模索した元大統領など有力な候補者も含まれ
最高指導者のハーメネイー師の意向が働いたとみられている。
欧米との対決路線の継続を訴える保守強硬派が4人
関係改善を目指す改革派と穏健派が2人となっている。
体制批判が許されないイランでは抗議行動は最近起きていなかったが
6月4日 イラン中部で大規模な抗議行動が起きた。
厳しい経済状況に国民の不満が高まっていることがうかがえる。
「国民はインフレで何も買えない。」
「根本的な問題として政権を運営する政治家に能力がない。」
改革派の選挙運動にかかわっているハメッド・シャフィエさん。
大規模な反政府デモにつながった4年前の大統領選挙後
治安当局に拘束され3か月近く刑務所に入れられた。
シャフィエさんは当局に最もマークされている改革派系の新聞社で編集長を務めている。
オフィスにはケネディ元大統領やオバマ大統領の写真が貼られていた。
(ハメッド・シャフィエさん)
「実は改革派の政治家たちの写真があったが
今朝 すべてなくなっていた。」
いつの間にか剥がされていた写真。
シャフィエさんは活動をやめろという治安当局からの警告だとみている。
言論統制が厳しさを増しシャフィエさんは国の将来に危機感を募らせている。
(ハメッド・シャフィエさん)
「あそこに座っていた経済部の記者
この席に座っていた社会部の記者
さらに文化部の記者1人と政治部の記者2人
みんな拘束された。
このまま改革派の声が通らなければこの国はさらに孤立し明るい未来なんて期待できない。」
長く沈黙を強いられてきた改革派の間でいま期待を背負っている候補者がいる。
改革派のハータニ―政権時代に省の責任者を務めたロウハニ氏である。
(ロウハニ氏)
「我々が政権を運営していた時代は
いかなる欧米の経済制裁や圧力も英知を結集して切り抜けてきた。」
ロウハニ氏は2004年に欧米側とウラン濃縮活動の停止に一度は合意するなど
国際経験の豊富な柔軟な政治家として知られている。
聖職者のロウハニ氏は保守層の一部の支持も見込めるうえに
疲弊する国内経済の打開をアピールして改革支持者の受け皿となっている。
(ロウハニ氏)
「すべての問題は“知恵と希望のカギ”によって解決できる。
核開発問題も経済制裁もだ。
経済成長も夢ではない。」
ロウハニ氏の集会では支持者の中から改革派を支援する歌まで聞かれる。
誰もこの結束を破ることはできない
わたしたちなら成し遂げられる
「彼ならアメリカの交渉に成功し経済制裁を取り除いてくれるはず。」
「改革派が勝つことこそ重要。」
しかしこの直後に治安当局は反体制的な言動があったとして集会の参加者10人余を逮捕した。
改革派は当局の厳しい警戒のなか困難な戦いとなっている。
これに対し選挙戦を優位に進めているのが保守強硬派。
ジャリリ氏(47)はイラン・イラク戦争で片足をなくした戦争の英雄である。
最高指導者ハーメネイー師の秘蔵っ子として知られ
イスラム体制の支持者から絶大な人気を集めている。
(ジャリリ氏)
「われわれはイスラムの影響力を世界中に拡大させ
アメリカの支配に対抗していく。」
核開発問題では最高指導者の代理人として交渉の責任者に抜擢され
欧米からは一切妥協する姿勢を見せない“タフ ネゴシエーター”と呼ばれている。
(ジャリリ氏)
「すべてのイラン国民は核開発に向けて団結している。
今後もこの道を歩み自分たちの権利を主張していく。」
(支持者)
「彼は最高指導者に忠実で信仰心も厚い。
まさに革命の守護者だ。」
「欧米に妥協せず制裁の解除を勝ち取れるのは彼だけ。」
9日 テヘランで行なわれたロウハニ氏の集会では現状への不満や変革を求める声が聴かれた。
一方保守強硬派は最高指導者の側近を務めるジャリリ氏や
テヘラン市長を務めるガリバフ氏などが優位に戦いを進めている。
8人が乱立する今回の選挙は
各勢力の一本化工作が進まなければ上位2人による決選投票にもつれ込む可能性がある。
核問題や対米政策などの根幹は最高指導者のハメネイ師が握っているが
保守強硬派の大統領で国内がより右傾化すると
外交交渉によって核問題のなどの妥協点を見出すことがいっそう難しくなる。
ただ欧米諸国との対立が軍事的な緊張を帯びる中で
決定的な衝突に陥ることはイランとしても避けたい。
国際社会が注視するなかイラン国民は誰を大統領に選ぶのか。
16日には大勢が判明する見通しである。