さっすが!紀伊国屋書店じゃなあ!
もう、発行は、ないだろうと思っていた「中城ふみ子歌集」が、あった。
19歳のわたしが、現代短歌の歌集を買ったのが、彼女の歌集だった。
20年前、知人に貸したままそれっきりわたしの手元に戻ることはなかった。
今日、書店で見つけたときは、懐かしい幼友達に、ひょっこり出会ったようで
とても、嬉しかった。
19歳のわたしの、お手本だった。
一斉に
柔毛の光る束の間を
虚しきものに充りて座りき
出奔せし
夫が住むといふ四国
目とづれば不思議に
美しき島よ
悲しみの
結実<みのり>の如き
子を抱きてその重たさは
限りもあらぬ
剪毛されし
羊らわれの淋しさの
深みに一匹づつ降りてくる
音たかく
夜空に花火うち開き
われは隈なく奪はれてゐる
「乳房喪失」というおよそ古来の短歌に似つかわしくないテーマを
掲げたこの歌集は、ふみ子の生きている間は、批判を受けていたという。
大正11年、北海道生まれ。昭和29年乳がん、肺がんで入院
29年、歌集「乳房喪失」30年、「花の原型」出版
29年8月3日没。
一日花といって、槿のような朝咲いて夕方散る花のことを指す。
ふみ子は、一年にも満たない短い間に花が開き、
あっという間に散ってしまった。
33歳という若さで、なんとも悲惨な生涯というべきだろう。
夫とは、離縁をし、乳がんという、不治の病に冒された彼女が
三十一音に託したものは、なんだったのだろうか。
もう、発行は、ないだろうと思っていた「中城ふみ子歌集」が、あった。
19歳のわたしが、現代短歌の歌集を買ったのが、彼女の歌集だった。
20年前、知人に貸したままそれっきりわたしの手元に戻ることはなかった。
今日、書店で見つけたときは、懐かしい幼友達に、ひょっこり出会ったようで
とても、嬉しかった。
19歳のわたしの、お手本だった。
一斉に
柔毛の光る束の間を
虚しきものに充りて座りき
出奔せし
夫が住むといふ四国
目とづれば不思議に
美しき島よ
悲しみの
結実<みのり>の如き
子を抱きてその重たさは
限りもあらぬ
剪毛されし
羊らわれの淋しさの
深みに一匹づつ降りてくる
音たかく
夜空に花火うち開き
われは隈なく奪はれてゐる
「乳房喪失」というおよそ古来の短歌に似つかわしくないテーマを
掲げたこの歌集は、ふみ子の生きている間は、批判を受けていたという。
大正11年、北海道生まれ。昭和29年乳がん、肺がんで入院
29年、歌集「乳房喪失」30年、「花の原型」出版
29年8月3日没。
一日花といって、槿のような朝咲いて夕方散る花のことを指す。
ふみ子は、一年にも満たない短い間に花が開き、
あっという間に散ってしまった。
33歳という若さで、なんとも悲惨な生涯というべきだろう。
夫とは、離縁をし、乳がんという、不治の病に冒された彼女が
三十一音に託したものは、なんだったのだろうか。