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ロンドンから徒然に

ミュージカルになったMade in Dagenham

2014-10-22 | 映画・演劇
 安倍政権の目玉政策として最初「女性の活用」という言葉が出てきた時、正直イヤな感じを受けたんです。だって、まるでモノを扱うみたいな表現でしょ?
 そういう批判があったのかどうか、いつのまにか「女性の活躍」という言葉に変わっていきましたが、マスコミも含めて象徴として取り上げるのは、社会の第一線で活躍している女性陣。でも(こういうこと言うと語弊もありますが)そういった方々はどんな環境であろうが必ずトップに踊り出てくる才覚を持った人達ですよ。むしろ配慮しなければいけないのは普通に働く女性達が「活躍」できる社会づくりですよね。

 さて、ここイギリスを見ても、かつては(というか、今でも本当は色んなところで目に付くんですが)男女平等とは決して言えない社会でした。男女同一賃金法が制定されたのは1970年のこと。それまで女性の賃金は男性よりも低く設定されていたわけなんですね。

 で、この法律が制定されるきっかけとなったのが、1968年にDagenham(ダゲナム)にあるフォードUKの工場で行われた女性たちによるストライキ。
 この事実をもとに映画「Made in Dagenham」が制作されたのが2010年のこと。サリー・ホーキンスやロザムンド・パイクが出演して、こちら地元ではけっこうヒットしました。(この映画、ずっと日本では未公開と聞いていたんですが、どうなんだろう?)

 さて、そのMade in Dagenhamが、まさかのミュージカルとして生まれ変わりました。いや「まさか」と書いたけれど、考えてみたらその要素は最初からあったのかも。
 何しろ時代設定がロックやポップに溢れた60年代、家具や雑貨などもカラフルで楽しいし、髪型や服装も今から見ると全てが誇張されていてそれこそ芝居じみているし、人物そのものにまだ階層色がはっきり残っていて、これまた輪郭を際立たせやすい。
 そう言えばオリジナルの映画も、深刻なテーマにもかかわらず、色々とコメディの要素もあって楽しめました。(まぁ、こんな感じが典型的なイギリス映画ではあるのですが)



 主演に起用されたのが、このところ映画のみならず舞台でも活躍目覚ましいジェマ・アータートン。さすがに朗々と歌い上げるという典型的なミュージカル俳優のようには行きませんでしたが、不思議な存在感を持っていて、個人的には好きな女優です。
 一方パンフレットでスタッフを見ると、作曲にデヴィッド・アーノルドの名前を見つけました。この人007シリーズの楽曲を数多く手がけている作曲家なんです。その意味でも60年代色に溢れていて嬉しいです。(何しろ60年代のイギリスというのは僕の憧れですから。)

 一悶着あったとはいえ、彼女らの行動を認めて同一賃金法の成立に寄与したのが女性の労働大臣(バーバラ・カッスル)だったということも感慨深いです。
 それにつけても、金の問題で辞任したり、極度に保守的な思想をお持ちの我が国の女性大臣達は本当に「女性の活躍」に熱心なのかしら?

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