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ロンドンから徒然に

今度はチリから

2014-08-05 | アート
 青春時代に(いつのことだ?)マリオ・バルガス=リョサだとかガブリエル・ガルシア=マルケスなどを始めとする、いわゆる“ラテンアメリカ文学”を読み漁ったことがありました。
 もうどれも詳しくは覚えていないんですが、時間や空間を飛び越えてしまう荒唐無稽さや、まるで昔から伝わる神話を読んでいるような神秘感、短いひと言だけで読む前からイマジネーションを膨らませてしまうタイトルなど、どれも今までには味わったことのない別種類の存在感に打ちのめされました。
 それ以来「ラテンアメリカの●●」というのにはちょっと注目してきたんですが、今回は建築家です。

 毎夏の楽しみのひとつであるSerpentine Pavilions。
 世界各国を代表する建築家が、ひと夏のためだけのカフェをデザインするのですが、これが毎回個性豊かで素晴らしい!2000年に始まって、これまでに伊東豊雄(2002年)、SANAA(2009年)、そして昨年の藤本壮介と日本人建築家が名を連ねている(しかも評判が良かった)のも誇らしく感じます。

 そして今年はチリからSmiljan Radic。(と言っても、すみません。僕はこの人のこと全然知りませんでした。)
 先にも書いた、僕の勝手なラテンアメリカ・イメージからすると、けっこうハチャメチャな(?)形の、カラーも豊かなカフェを予想していたのですが、目の前に表れたのは、逆にこぢんまりとまとまった感のある、一見地味な色の建築物でした。
 連想したのは巨大な繭。




 外見からは狭そうな空間に思えたのですが、ところどころ刳り貫かれた壁や、緻密に計算されたカーブのおかげか、実際中に入ると意外と広く感じます。
 どうもこの壁は薄いグラスファイバーのようで、それを通して入ってくる光線が、久々に暑いロンドンの夏の中で落ち着いた空間を創り出しています。

 この内部で時々夜にコンサートを始めとするイベントが行われているそうで、この“繭”が半透明の壁を通して逆に外に向けて光を放つと、また違った存在感に変わるんでしょうね。来てみたいな。

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