音楽ダウンロードの比率がフィジカルなCDを抜いてしまう時代になると、ジャケットを味わう楽しさがなくなるのがちょっと残念かな。まぁ、それはレコードがCDに取って代わられる時代にも言われたことなんですけどね。
レコードの時代に、音楽のみならずジャケットでもいつも話題を提供してくれたのがビートルズ。彼らのジャケット・デザインは本当にどれもカッコよくて、音を聴く前からわくわくさせてくれました。(CDの時代になってからの、彼らの編集盤のデザインが全然さえないと感じるのは僕だけ?)
と言っても、子供の頃にLPを買う金なんてなくて、いつも指をくわえて眺めるだけ(実際に買っていたのは4曲入りのEP)。お小遣いを貯めて初めて買ったアルバムが実はもう後期のサージェント・ペパーズなもので、これにはけっこう思い入れがあります。
ピーター・ブレイクPeter Blakeデザインのこのヴィヴィッドでポップなジャケットの次のアルバムとなると、さて今度はどんな感じで攻めてくるか?
…… それがご存じのように、真っ白なジャケットに、これまたシンプルな正式タイトルの「The Beatles」がエンボスされ(写真じゃ見えないだろうけど)、シリアル・ナンバーがプリントされただけの、通称「ホワイト・アルバム」。いやぁ、やられたなぁ。
これをデザインしたのがリチャード・ハミルトン Richard Hamilton。中に入っていたポスターのデザインもカッコいいコラージュでした。
そのリチャード・ハミルトンの作品展がテート・モダンで開催中です。
何だかホワイト・アルバムを連想させるような、白い壁に彼の名前だけが書かれたミニマルなデザインの入口を入ると、しかし中はこれでもかと多面展開を見せる彼のバラエティに富んだ作品群。こんなに多方面の活躍をしていたんだと改めて認識した次第。
1967年のミック・ジャガーの薬物事件の際の写真を元にした連作「Swingeing London」(“Swinging”じゃないところに注意!)など有名な作品に加えて、歴代の首相(サッチャーやブレアーなど)を扱った「Treatment room」や「Shock and awe」など、時の権力に対する強烈な皮肉に溢れた作品が次々と現れます。
中でも力が漲っているのが、「The citizen」、「The subject」、「The state」の3点が一堂に会した展示室。The citizenの1点のみはテート・モダンで展示されていましたが、北アイルランド問題を主題にした、これら3点が同時に並ぶと、一種異様な迫力を放つ気がします。
(以上の作品を見ることのできるサイトを見つけました。)
アーティストは時にカナリアに例えられることがあります。炭鉱でガスをいち早く感じる存在のように、時の危うさを誰よりも早く敏感に感じ取って警鐘を鳴らすのはごく当然のことのように思います。であれば、最近ちょっとおかしくなってきている(と僕は思う)「平和」への希求を作品化するのは、政治性というより、アーティストの魂のごく自然な発露なのではないでしょうか。
東京美術館みたいに、政府の意向に沿わない作品を撤去しようすることなどは、イギリスではまず想像できないですが、もしあったとしたらマスコミの批判が凄いものになるでしょうね。
そんなことも考えながら展示場を出ると、出口脇にあるカフェの壁に、Living Arts Magazineの表紙用に創られた作品がおまけに(?)描かれていました。
レコードの時代に、音楽のみならずジャケットでもいつも話題を提供してくれたのがビートルズ。彼らのジャケット・デザインは本当にどれもカッコよくて、音を聴く前からわくわくさせてくれました。(CDの時代になってからの、彼らの編集盤のデザインが全然さえないと感じるのは僕だけ?)
と言っても、子供の頃にLPを買う金なんてなくて、いつも指をくわえて眺めるだけ(実際に買っていたのは4曲入りのEP)。お小遣いを貯めて初めて買ったアルバムが実はもう後期のサージェント・ペパーズなもので、これにはけっこう思い入れがあります。
ピーター・ブレイクPeter Blakeデザインのこのヴィヴィッドでポップなジャケットの次のアルバムとなると、さて今度はどんな感じで攻めてくるか?
…… それがご存じのように、真っ白なジャケットに、これまたシンプルな正式タイトルの「The Beatles」がエンボスされ(写真じゃ見えないだろうけど)、シリアル・ナンバーがプリントされただけの、通称「ホワイト・アルバム」。いやぁ、やられたなぁ。
これをデザインしたのがリチャード・ハミルトン Richard Hamilton。中に入っていたポスターのデザインもカッコいいコラージュでした。
そのリチャード・ハミルトンの作品展がテート・モダンで開催中です。
何だかホワイト・アルバムを連想させるような、白い壁に彼の名前だけが書かれたミニマルなデザインの入口を入ると、しかし中はこれでもかと多面展開を見せる彼のバラエティに富んだ作品群。こんなに多方面の活躍をしていたんだと改めて認識した次第。
1967年のミック・ジャガーの薬物事件の際の写真を元にした連作「Swingeing London」(“Swinging”じゃないところに注意!)など有名な作品に加えて、歴代の首相(サッチャーやブレアーなど)を扱った「Treatment room」や「Shock and awe」など、時の権力に対する強烈な皮肉に溢れた作品が次々と現れます。
中でも力が漲っているのが、「The citizen」、「The subject」、「The state」の3点が一堂に会した展示室。The citizenの1点のみはテート・モダンで展示されていましたが、北アイルランド問題を主題にした、これら3点が同時に並ぶと、一種異様な迫力を放つ気がします。
(以上の作品を見ることのできるサイトを見つけました。)
アーティストは時にカナリアに例えられることがあります。炭鉱でガスをいち早く感じる存在のように、時の危うさを誰よりも早く敏感に感じ取って警鐘を鳴らすのはごく当然のことのように思います。であれば、最近ちょっとおかしくなってきている(と僕は思う)「平和」への希求を作品化するのは、政治性というより、アーティストの魂のごく自然な発露なのではないでしょうか。
東京美術館みたいに、政府の意向に沿わない作品を撤去しようすることなどは、イギリスではまず想像できないですが、もしあったとしたらマスコミの批判が凄いものになるでしょうね。
そんなことも考えながら展示場を出ると、出口脇にあるカフェの壁に、Living Arts Magazineの表紙用に創られた作品がおまけに(?)描かれていました。