オリジナル作品が素晴らしければ素晴らしいほど、それに負けない「リメイク」を制作するには、たくさんのアイデアと卓越したセンスが求められると思う。
時々ある残念なケース。マイナーな外国語映画の翻訳権を買い取って、舞台をアメリカに移し替え、ふんだんな制作費の分だけ有名な俳優を配置して、演出を派手にして……結局オリジナルの尖った部分が全部削り取られて凡庸なハリウッドムービーになってしまう……
そういった外国映画の焼き直しとは違って同じアメリカ映画なんだけれど、こちらもリメイク。 ‘A Star Is Born ’。
今度の作品はオリジナルから数えて4本目(それも凄いな!)、とはいえ、最初の2本(1937年と1954年)は残念ながら観ていないし、舞台が映画業界なわけだから、僕にとってのオリジナルはあくまで音楽業界を舞台にした1976年版。そう、バーブラ・ストライサンドとクリス・クリストファーソン主演のあの作品。映画的な出来がどうだったかを客観的に判断する以前に(あまり評価自体は高くなかったような覚えが)、彼等ふたりの歌と表情だけで、もう個人的には名作の域まで辿り着いている映画。
それだけに、今回のリメイクの話を聞いた時は正直不安が強かった。
レディー・ガガはスター‘誕生’というにはあまりにもその知名度が高いし、自分の音楽の印象が強すぎる(まぁ、それは当時のバーブラ・ストライサンドも同じだったのかな?)、またクリス・クリストファーソンの渋いイメージが強く残っている役に当てはめるには、ブラッドリー・クーパーのマスクはちょっと甘すぎる。さらにはクーパー自身が初めて監督も手がけるという未知数の部分が……
ということで、正直あまり期待していなかったんだけれど、これが嬉しい裏切り。僕が音楽映画には評価が甘い(笑)ということを差し置いても、客観的に良く出来た映画だと思う。
と同時に、ふたりの才能の豊かさに改めて感心した。映画の制作にも曲の制作にも深く関わっている上、俳優が本業のクーパーは音楽に、逆に音楽が本業のレディー・ガガは演技に素晴らしい成果を見せている。演奏は全てライヴで収録したというから、それも凄い。
ちなみに映画の中でノーメイク(なわけないけれど)の彼女のなんとまぁ可愛いこと。以前TVで彼女の実生活を撮影したドキュメンタリー風なフィルムを見て、あの化粧の下の繊細な素顔(もちろん内面の意味を含めて)に好感を持ったけれど、そういった良さが上手く画面に現れていた。
ネタばれになりそうで、詳しくは書けないんだけれど、基本的には前作の骨組みをベースにうまく今の時代に反映された作り。
それは音楽も同じで、クーパー演じる人気ミュージシャンが演奏する音楽も、カントリー・ロックが根底にありながら、モダンなロックの要素がうまく入った魅力的なものになっている。
もっとも、「モダン」であろうとなかろうとロック自体が今や過去の遺物と見なされ、ギター市場が喘いでいるような時代だから、両主人公が映画の中で自分の音楽性の方向に惑う気持ちはよく分かる。
映画の中の話とはいえ、「プロデューサーによって作られた」ショー的要素の大きい音楽に反発しているように見えたレディー・ガガの音楽が、自分の曲作りにおいて今後どんな風に進んでいくのか興味あるところだ。
それにしても、また最後の歌唱シーンは泣けるな。
時々ある残念なケース。マイナーな外国語映画の翻訳権を買い取って、舞台をアメリカに移し替え、ふんだんな制作費の分だけ有名な俳優を配置して、演出を派手にして……結局オリジナルの尖った部分が全部削り取られて凡庸なハリウッドムービーになってしまう……
そういった外国映画の焼き直しとは違って同じアメリカ映画なんだけれど、こちらもリメイク。 ‘A Star Is Born ’。
今度の作品はオリジナルから数えて4本目(それも凄いな!)、とはいえ、最初の2本(1937年と1954年)は残念ながら観ていないし、舞台が映画業界なわけだから、僕にとってのオリジナルはあくまで音楽業界を舞台にした1976年版。そう、バーブラ・ストライサンドとクリス・クリストファーソン主演のあの作品。映画的な出来がどうだったかを客観的に判断する以前に(あまり評価自体は高くなかったような覚えが)、彼等ふたりの歌と表情だけで、もう個人的には名作の域まで辿り着いている映画。
それだけに、今回のリメイクの話を聞いた時は正直不安が強かった。
レディー・ガガはスター‘誕生’というにはあまりにもその知名度が高いし、自分の音楽の印象が強すぎる(まぁ、それは当時のバーブラ・ストライサンドも同じだったのかな?)、またクリス・クリストファーソンの渋いイメージが強く残っている役に当てはめるには、ブラッドリー・クーパーのマスクはちょっと甘すぎる。さらにはクーパー自身が初めて監督も手がけるという未知数の部分が……
ということで、正直あまり期待していなかったんだけれど、これが嬉しい裏切り。僕が音楽映画には評価が甘い(笑)ということを差し置いても、客観的に良く出来た映画だと思う。
と同時に、ふたりの才能の豊かさに改めて感心した。映画の制作にも曲の制作にも深く関わっている上、俳優が本業のクーパーは音楽に、逆に音楽が本業のレディー・ガガは演技に素晴らしい成果を見せている。演奏は全てライヴで収録したというから、それも凄い。
ちなみに映画の中でノーメイク(なわけないけれど)の彼女のなんとまぁ可愛いこと。以前TVで彼女の実生活を撮影したドキュメンタリー風なフィルムを見て、あの化粧の下の繊細な素顔(もちろん内面の意味を含めて)に好感を持ったけれど、そういった良さが上手く画面に現れていた。
ネタばれになりそうで、詳しくは書けないんだけれど、基本的には前作の骨組みをベースにうまく今の時代に反映された作り。
それは音楽も同じで、クーパー演じる人気ミュージシャンが演奏する音楽も、カントリー・ロックが根底にありながら、モダンなロックの要素がうまく入った魅力的なものになっている。
もっとも、「モダン」であろうとなかろうとロック自体が今や過去の遺物と見なされ、ギター市場が喘いでいるような時代だから、両主人公が映画の中で自分の音楽性の方向に惑う気持ちはよく分かる。
映画の中の話とはいえ、「プロデューサーによって作られた」ショー的要素の大きい音楽に反発しているように見えたレディー・ガガの音楽が、自分の曲作りにおいて今後どんな風に進んでいくのか興味あるところだ。
それにしても、また最後の歌唱シーンは泣けるな。