HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

ラ・ラ・・・ライト

2017-02-28 | 映画・演劇
「白い」の形容詞を付けて批判された昨年とは打って変わって、主要部門に多くの黒人がノミネートされて始まった今年のアカデミー賞受賞式。「民族の多様性」とまで言い切ってしまうにはまだ物足りないかもしれないけれど、それを目指すアカデミーの改革は着実に進んでいるように思う。

その「多様性」の真反対にあるトランプ政権に対しては当然矛先が向かうわけで、司会のジミー・キンメルのMCからして猛烈な皮肉のオンパレードだし、受賞者の直截的なスピーチはもとより、言動の自由を表象するブルーリボンを身に付けたり、イスラム圏のデザイナーのドレスを着用するなど、あらゆる形でそれは現れていて、ある意味今回の“主役”はトランプだったのかも。

式からは離れた話題になるけれど、ここロンドンでは、トランプ政権の移民政策に抗議して式への出席を取りやめたイラン人監督アスガル・ファルハーディー監督の「セールスマン」を、何とトラファルガー広場で無料一般上映するという粋な計らいが、自身イスラム教徒であるカーン市長の元で行われた。
ロンドンこそ多様性に満ちた街だと誇りたい。

それにしても、何と象徴的なフィナーレ!
大本命の「ラ・ラ・ランド」が読み上げられた後に、それが訂正されて「ムーンライト」が正式に受賞するとは。これ自体がまるで映画みたいだ。



もちろんあってはならないミスだし、制作に関わったスタッフの心境を思うと身が縮み上がってしまうけれど、非常に無責任に言わせてもらうと......
あらゆる点で対極にありながら共に素晴らしい2本の映画の出演者とスタッフがこうして同じステージに立って、互いを讃え合う姿を見られるなんて、映画ファンとしてはとても幸せだった。
「ラ・ラ・ランド」のプロデューサー ジョーダン・ホロウィッツが「ムーンライト」の監督バリー・ジェンキンスに、間違って渡されたオスカー像を直接手渡すんだよ。ミスそのものよりも、こうした場面が強調されてほしいな。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。