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ロンドンから徒然に

不景気下のアート・フェア

2009-01-17 | アート
 毎日色んな業界から倒産やら人員削減やらのニュースが飛び交います。そんな中で食品をメインにした小売業などは比較的良い実績を残せたようで、唯一明るい数字として伝わってきます。
 じゃ、逆に苦労しているのはどんな業界か?もちろん例外を挙げる方が難しいくらいどこも大変なんだと思うのですが、間違いなく美術品などは影響を受けやすい典型でしょう。
 食べ物に芸術が簡単に負けるとは思いたくないですが、少なくとも美術品は好き嫌い以前に投資目的で購入していた人がバブル時代には多かったのだと思います。

 実際、昨年末以降はオークションで鳴り物入りの作品に買い手が付かなかったり、大部分が“予想落札価格”を下回っていたりで、不況の波はこの業界を大きく揺さぶっているみたいです。
 個展でも、普段は殆ど売り切ってしまうアーティストの作品がたくさん残ってしまうみたいなことを言っている画廊のオーナーがいました。

 今日、数あるアート・フェアの中では歴史のあるLondon Art Fairに招待されて行ってきました。広い会場に国内を中心にした100近くの画廊がブースを構えて、比較的(あくまで美術品購入目的の人にとってですよ)買いやすい値段帯の作品を揃えています。
 一応古いブリティッシュ・アートからコンテンポラリーまで幅広くという名目なのですが、やはり全体としては現代作品が目立ちます。どうせだったら、こんな不景気の中だからこそ、型破りの作品が出てこないかと期待しましたが、そこまでは行っていないみたいです。



 もっとも僕はあまりコンテンポラリーな作品が好きなわけではないので、ざっと見ながら気にかかったものがあれば儲け物と歩いていたら、視界の片隅に本で見慣れた作品が飛び込んできました。
 一瞬目を疑いましたが、間違いなくグウェン・ジョンGwen Johnの作品です。通路に向いた側の壁に、ガラスもなく剥きだしで掛けられ、おまけにライトは強く当てられています。誰かが誤って鞄をぶつけたりしたらどうするんだ、などと余計な心配をしてしまいました。



 好奇心から値段を訊いてみました。分かってはいましたが、不景気がどうのこうの言うこととは関係なく、僕の買える値段ではありませんでした(笑)