AAAに騙されるな

解散総選挙となりました。

　

衆議院議員の任期満了直前なので解散しようがすまいがほとんど変わりませんが、自民党は一日でも早く投票に持ち込みたいのです。従って、10月14日に衆議院を解散し、10月31日に投開票 、規定では解散後1か月以内というのに2週間ほどの告示・選挙運動で慌ただしく選挙を済ませたいのです。

その理由は次の通りになります。

①コロナの第5波が収まった今なら、与党のコロナ対策がうまく行ったとアピールできる

②野党の共闘体制が整わないうちに自公岩盤支持票で政権を守る

③総裁選での岸田総理の公約が早くも後退し、うやむやになって自民党政治が何も変わらないことが早くも露呈、とりあえず菅さんから首相が変わって、少し持ち直した支持率が下がる前にやってしまえ。

④DAPPIという怪しげなネット配信企業が、自民党の多くの議員から金を貰って、国会討論を編集して野党批判のプロパガンダ動画を広めていたという疑惑が明るみに出た。

⑤組閣の大臣があまりにも小粒で心もとない、党三役人事もあからさまな派閥人事・論功行賞であり、それが批判されたり馬脚を現す前に政権を守ろう。

というようなことになりましょう。

　いずれにしても、自民党の党利党略であります。

　例えば債券の安全性、投資の適合性を計る尺度に格付けがあります。数社の格付会社が「AAA」を最上位にB,Cまで格付けし、CCCなどが最低ランクになるのです。今メディアで盛んに出て来る言葉がトリプルA、つまり「安倍・麻生・甘利」の頭文字で、自民党の長老であり政権を動かす実権者なんだそうです。この人たちが、この10年あまり、様々な疑惑にまともに答えないばかりか裏で何をやっているかわからないあくどい政治家であったと考えるのはワタシだけではありませんよね。

　甘利さんなども賄賂を貰っておきながら、さっと大臣辞任して説明もせず秘書の罪をおっかぶせて逃げ回りました。この選挙では幹事長の立場にあって「日本が、自由・資本主義を維持するか共産主義政権にかわるか」の選択選挙だなどと、とんでもない出まかせを言い始めました。

　AAAというと、財界や金融投資筋にはなんとなく「安心安全安定」の3Aを連想させるので自民党にとっても都合のいいネーミングであります。冒頭に書いたDAPPIの疑惑は、ツイッター「Dappi」アカウントで野党を攻撃していることに、岸田さんは答えませんでした。

　 あるいは安倍元総理が事あるごとに叫んだ「悪夢の民主党政権」というフレーズも、多くの国民が事実がどうであったかを知らないまま、なんとなく悪夢だったのかと思わせているのです。マスメディアまで抱き込んで、意図的に誤った情報を流し、政敵や野党を貶めるイメージ戦略で世論形成を行ってきたのが自民党なのです。

　戦後政治は自民党が圧倒的に政権を握り国を動かしてきました。この、「失われた30年」という極めて深刻な経済の後退、国民生活の困窮、国際社会から取り残された日本の現状の責任は「自民党にある」と断じなければならないのに、あたかも民主党がダメにしたという妄想を植え付けてきたのです。今更10年前の民主党の失政・混乱を追求しても詮無いこと、実質所得は上がらず、資産がある金持ちばかり設けた株高も、世界的な株の値上がりによって日本株が割安になったため買われて上がったに過ぎません。失業者が減ったのは

給料が少ない「非正規雇用者」が増えただけで、奥様方のパートの仕事は増えたが、若者の就職の機会は減り、子育て世代の実質所得は30年間増えておりません。

　そうして自民党は政治や行政で、事実の隠蔽、改ざん・公文書破棄、憲法・法律解釈さえ捻じ曲げ、法の順守精神を毀損してきました。哀れで愚昧、浅はかで表層しか見えない国民の40％がこの自民党を支持しているのだそうです。

　日本が、いつまでたっても閉塞感から抜け出せず、生活は楽にならず、幸福度も落ちるばかり。高齢化が進むのに婚姻数や出生率は上がらず少子高齢化の弊害は進むばかりであります。

　レジ袋の有料化で幸せになった国民がいるでしょうか。2050年のCO2削減を言う前に現実に生活している国民の生活を考えるべきでは。半導体の品不足と国産企業の撤退を招いたのは政府と日本企業なのに、台湾からの半導体工場の日本誘致に国費を投じるのだそうです。台湾の明日は中国なのですよ。なんで日本の企業に半導体工場を作らせないの？

　2週間後の選挙で変わらなければならないのは自民党ではなく、「思考停止」に陥って久しい国民・有権者の意識にあると思うのです。