ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

映画と食事の関係とは

2007-01-22 17:21:14 | Weblog
子供の頃、何ヶ月に一度家族全員が揃った時、皆で映画を見に行くのが楽しみでした。(両親は仕事で、あまり家に居なかったのでいつも兄と留守番でした)
その後の外食はもっと楽しみでした。
 当時、映画は2本立てが主流で、映画を見に行くと言うのは、映画を2本見るということでした。
その映画の選択権は、父に委ねられていましたから、「男はつらいよ」と「トラック野郎」の2本立てや、時代劇2本立てなど、子供にとっては逃げ場の無い映画を見せられる事となっていたのです。
 
邦画の後という事もあってか、その後の食事は、和食な場合が多く、洋食を希望する兄と私は、次は洋画を、と嘆願しました。
洋画を見た後、洋食を食べる。なんてカッコいいんだ、そう兄と2人で話し、次回を楽しみにしました。
 
そして、しばらくすると「見たい映画があるけど、洋画と一緒だから見に行こう。」と、父は誘ってくれましたが、その和洋のカップリングが、「エレファントマン」と「あぁ、野麦峠」という、物凄い組み合わせ。
 ハンバーガーとご一緒に、お味噌汁はいかがですか?と、ファーストフードの女の子が微笑んでいるようなものです。
 どのような基準でこの組み合わせにしたのか理解に苦しむところではありますが、明らかに小学生が見るには辛過ぎる2本でした。
 
 デヴィットリンチ監督の「エレファントマン」は、そのタイトルで、アンパンマンの親戚か何かを連想させますが、不遇の出生をした子供が、見世物小屋でエレファントマンとして見世物に晒され、人間らしい生き方を剥奪されながらも成長していく様は、見ていてつらい。(子供のころは余計に)モノクロの映像もその内容を助長するかのようでした。
 2本目の「あぁ、野麦峠」。子供心に、(あぁ、このタイトルと、ポスターを見る限りかなり辛そうだ。)と思ってしまうような感じ。内容は、予想を上回る暗い内容で、その後、大竹しのぶを見ると、繭工場の女工員が、口の中に繭を無理やり入れられて、苛められているシーンが蘇るほどでした。

 その後、何故か中華料理になったのですが、4時間近くそんな内容の映画を見せられて、食欲が沸かず、ゲンナリしたものでした。

 しかし、今は、邦画の後に和食、というのも悪くないな、いや、逆にそう有るべきなのか、とも思えるようになり、「武士の一分」の後に「天麩羅」か、などと
計画していたところ、「武士の一分」を見て感動したという、マネジャー佐藤から
内容を細部にわたり、説明されてしまい、中止の運びとなりました。
 マネジャー佐藤曰く、「ブシイチ(武士の一分の略)すごい良いですよ。藤原さん、見たほうがいいですよ。あー、でも僕的には、たそがれ(清兵)の方が気に入っているけど。」

 「それだけ丁寧に説明されたら、もう見なくてもいいでしょう。」

そう言い掛けて、言葉を呑んだ私でした。
だって言えないでしょう。殺陣の動作入りでしたから。 
コメント
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