ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

開店するは我にあり

2007-01-24 19:29:46 | Weblog
 毎年の事ですが、1月は暇な月です。12月が死を覚悟するほど忙しかった為、
そのギャップに戸惑いを隠せません。
この店を開店してから、3回目の1月なのですが、なかなか手強いものです。
 
 この店「マチルダベイ」は、2004年6月28日にオープンしました。
以前勤務していたところは、2004年の5月末日まで仕事しておりましたから、
退職して、1ヵ月半でこの店をオープンしたことになります。
今考えると、とても恐ろしいことにチャレンジしていたことになりますが、必死だったので苦にならなかったのでしょう。
因みに、開店1週間前から、不眠不休で食事もほとんど取らない状態だったので、
6kgぐらい痩せました。皆には「開店ダイエット」と言って自慢しておりましたが、今は、リバウンドしまくりです。

 以前仕事していた店は、レストランバーな感じのところで、高い天井、ブルーのライト、クラブ系の音楽、カクテルの他ワインも充実しており、料理はパスタなども多数ありましたが、肉、魚料理のフレンチも用意してあり、食事だけでも十分満足できる店でありました。
 そこで、一緒に仕事をしていたのが、現在マネージャーを担当している佐藤ということになるのですが、彼と仕事をしてから10年以上になってしまう計算になります。いやぁー、年取りましたよ、お互いに。
 
 当時私は、その店「D(としておきます。)」(現在は閉店しました)と、同系列のもう1店舗、イタリアンのレストラン「B(としておきます)」を掛け持ちで
仕事をしていたものですから、多忙を極めておりました。
「B」のランチとディナーをこなしてから、「D」の営業に入る訳ですから、仕込みをしながらオーダーをこなさなければいけません。
 当然、終わるのは、3時過ぎ。お客様が残っていれば4時、5時というのも当たり前。

 大変だから辞めたのではなく、自分自身の仕事の有り方に納得できなくなったからです。
 フランス料理への憧れが強くなったのも要因の1つではありますが。
やりたい料理がフランス料理なのに、今、自分がやっている料理は、イタリア料理

 生活のために、自分の信念に蓋をしている自分が腹立たしく思えてきたのでした。

 開店するに当たって、マネージャー佐藤は快く仕事を引き受けてくれました。
この先何にも保証が無いのにもかかわらず。
ゆえに、彼には感謝しても感謝しきれない気持ちで一杯です。
 
 そして、開店するに当たって、いろんな方から「フランス料理は、受けないよ」
という言葉もいただきました。

「藤原さんは、今年から天中殺期だから、店潰れますよ。潰れるだけなら良いけど
死にますよ。」

 などと真顔で言う人まで出て大変でした。(これは本当の話です)
その度、「貴重なご意見ありがとうございます。これまで以上に自分を律してがんばります。」と言って、受け流してきました。
 しかし、その冷静な言葉が、人の心を逆なでするのか、ますますご批評をいただくのでした。

 残念なことに、今、お客様にも評価を頂いておりますし、店も潰れておりません
、そして相変わらず酒量は減りませんが、まだ生きております。私。

 英語で言えば「Still alive」と言ったところでしょうか。

 
コメント
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