2016年8月27日 鎧畑ダム
鎧端ダムは左岸が秋田県仙北市田沢湖田沢、右岸が同市田沢湖玉川の一級河川雄物川水系玉川にある秋田県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
雄物川は下流の秋田平野と中流の横手盆地の間が長い狭窄部になっており、豪雨の際にはバックウォーター現象によりたびたび洪水被害に見舞われていました。
しかし本流にはダム建設適地がなかったため、主要支流へのダム建設による治水が進められ、その最初のダムとし1957年(昭和32年)に竣工したのが鎧畑ダムです。
鎧畑ダムは建設省によって施工され完成後に秋田県に移管、玉川および雄物川中流部の洪水調節と秋田県公営企業鎧畑発電所での最大1万5700キロワットのダム水路式発電を目的としています。
特定多目的ダム法施行前のため、ダムの括りとしては兼用工作物となります。
その後1990年(平成2年)に上流に玉川ダムが完成しますが、鎧畑ダムには利水放流設備がなかったため玉川ダムの利水放流に対応するため堤体を掘削して新たな放流設備を増設する再開発事業が行われました。
田沢湖から国道341号を北上、駒草橋の先で標識に従って旧道に入ると鎧畑ダムに到着します。
クレストにラジアルゲート3門、オリフィスゲート2門を装備
向って左下(右岸側)の白い建屋が増設された利水放流設備です。

ゲートをズームアップ。

アングルを変えて、
ダム湖に貯留したまま、堤体の左下(右岸)を掘削し利水放流設備を増設しました。
現在では多くのダムで採用されている工法ですが鎧畑ダムが日本では初のケースでした。

下流面。

上流面。
ラジアルゲートの間にオリフィスの予備ゲートが2門、さらに一番右手が増設された利水放流設備の予備ゲート。
玉川ダム上流で行われている酸性水の中和作業の影響で上流面やゲートには石灰成分が付着しています。
オリフィスのゲート受け部がテラス状になっています。

天端は1950年代のダムらしくゲート部分だけ上流側に張り出しています。
またゲートビアは雪除けのため被覆されています。

減勢工。

総貯水容量5100万立米のダム湖(秋扇湖)
見た目はさほど大きく見えませんが、細く長く上流に続きます。
酸性を中和させるための石灰成分の影響で湖面はエメラルドグリーン。
晴天だと美しいブルーになるようです。

ゲートビアは鉄骨トラスの上に被覆された巻き上げ機が載っています。

左岸から。
対岸に艇庫を併設した管理事務所がありインクラインが伸びています。

追記
鎧畑ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合に事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
0370 鎧畑ダム(0513)
左岸 秋田県仙北市田沢湖田沢
右岸 同市田沢湖玉川
雄物川水系玉川
FP
G
58.5メートル
236メートル
51000千㎥/43000千㎥
秋田県建設部
1957年
◎治水協定が締結されたダム
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