世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

ハノイの博物館・美術館・その4:ハノイ美術博物館#1

2016-08-31 08:34:15 | 博物館・ベトナム
<続き>

場所は通りを挟んで、文廟の北側対面にあったと思うが、記憶が徐々に薄れかけている。
特筆すべきものは、そう多くはなさそうであるが、展示品のなかで”これは”・・・と思うものを紹介する。先ず紹介するのは、日本人には馴染みがない6世紀中頃の北属期(中国支配期)のベトナム北部の君主である、李賁(りふん)の肖像画である。この6世紀以降もベトナムは中国の南下圧力に苦しむことになる。
そのような中で、李賁は南朝梁の交州刺史を広州に追い遣り、ベトナム北部を制圧し前李朝万春国を建国した。中国に勝利した英雄でベトナムでは人気である。下はその李南帝(李賁)と皇后である。同時に描かれている官人などは、中国の影響を感じざるを得ない。
ベトナム北部では著名なバク二ン省のブッタップ(筆塔)寺の千手千眼観音像(複製)である。ブッタップ寺のそれは17-18世紀頃に造像されたようである。


観音菩薩は海中の補陀落山に住まいするが、この像は海中龍が観音を持ち上げている。尚尊顔は三面観音である。観音信仰は媽祖と同じように福建から広東にかけて厚く信仰されている。北ベトナムの観音信仰もそれを受けてのもので、同じ東南アジアでも安南山脈の東西で大きく異なっている。
11世紀の石造仏陀像である。タイの仏陀像と大きく異なり、北の影響を感じざるをえない。
黄白釉褐彩(鉄絵)戦士文壺の大型陶片である。2人の戦士が敵味方に分かれて戦っている。その横には象が戦いに参加しているのはタイでも同じだが。
下は11世紀の石造迦陵頻伽。阿弥陀経では共命鳥とともに極楽浄土に住むという。安南では陶磁に多くの陶製像がある。


                                <続く>