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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「ダラス・バイヤーズクラブ」(出演:マシュー・マコノヒー)を見た

2014-05-11 | Weblog

■製作年:2013年
■監督:ジャン=マルク・バレ
■出演:マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナー、他

スティーヴン・ソダーバーグ監督の映画で男性ストリッパーの役を演じた俳優のマシュー・マコノヒーが21キロもの減量にのぞみ別人のような怪演を見せた映画フィルムが「ダラス・バイヤーズクラブ」。はじめこのタイトルは何を意味しているのかさっぱり想像がつかなかったのですが、見ていくうちに主人公の マコノヒー演じるロン・ウッドルーフが始めた合法と非合法の境目にあるがすれすれビジネスの屋号であるとわかり納得。ただこの商売が普通考えられるものではなく、国という体制に抗うものであったということで、彼が実行したスタイルを象徴的にわからせる意味でこのようなタイトルがついたのかもな、と思ったのでした。彼がやったビジネスには<命>というキーワードがあるがゆえ、体制側としてもそれをやる気持ちはわかるものの、ギリギリの境界線にある、度が過ぎればそうはいかないよとして検挙するしかなかない。つまり、お前のやっていることは非合法な行為なのだと。

何をやったのか。彼、ウッドルーフはテキサスの電気技師、ロデオと酒と女とクスリの生活で、放蕩三昧のやりたい放題、気ままに暮らしている。しかし、ある日医師よりエイズに感染していることを宣告され余命30日であると言われます。俳優のロック・ハドソンがゲイでありエイズで死んだことを話題にしていたばかりなのに、よりによって彼を笑っていた自分がまさかのエイズになるなんて!ゲイを毛嫌いし偏見を持っていたテキサスの男が、いきおい自分の<死>をリアルに感じ見つめなければならない立場となる。しかしそこから彼の<生>への執着による反撃がすごいのでした。エイズに効果があるらしいという体制側が推奨する新薬AZTという薬を求め、看護師を買収して入手、懲りない彼はアルコールとともに薬を飲む暴挙。冒頭にも書いたのですが、21キロもの減量によるげっそりした容貌が凄まじい。しかしその新薬には利権とともに強い毒性があることがわかり、けっして有効かつ安全であると言えるものではなかったのだ。そこで彼は新たな安全な薬を求めて日本をはじめ世界中を回ることになるのです。

彼は世界から認可されていない薬を輸入し同じくエイズで困っている人達に薬を分け与えるためダラス・バイヤーズクラブという組織を立ち上げ、会費を募ることで無料で薬を配るという仕組みを作ります。名目的には薬を販売していないというスタイルをとり合法的であると。さらには組織を拡大するために毛嫌いしていたゲイのコミュニティーにも接近するのです。これはもエイズ関連ビジネスそのもので、自らもエイズ患者であるので自分が実験台となり安全性と有効性を示してみせる。ウッドルーフは自らが延命してみせて、さらに患者に希望を持たせながら、さらにダラス・バイヤーズクラブと銘打ったビジネスを展開するというエネルギッシュさ。この行為に毒性の強い新薬AZTを推進する製薬会社、医師らは黙っておらず、真正面から衝突することになるという展開です。パワフルなウッドルーフは実在の人物で、エイズが世界に出回ったころ、偏見にも戦った人物です。

ちなみに、ウッドルーフはゲイのコミュニティーに近づくため女装するトランスジェンダーな人物、レイヨンと親しくなるのですが、彼もエイズであり演じたジャレッド・レトは、マコノヒー同様に激やせの姿になってみせ、これまたスクリーンの上で身体を変える程の演技を見せ度肝を抜かさせたのでした。

於:ヒューマントラストシネマ渋谷にて

 

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