■製作年:1962年
■監督:テレンス・ヤング
■出演:ショーン・コネリー、ウルスラ・アンドレス、ジョセフ・ワイズマン、他
記念すべき007シリーズの第1作である。まだオリジナルな秘密兵器もない。ただ、ボンドのプレイボーイぶりは発揮されていてハードボイルドに女はつきものという男の憧れのようなものはしっかりと表現されている。女の色気という点では、野生味もたっぷりのボンドガール、ウルスラ・アンドレスの登場のシーンが印象的だ。白いビキニで海から上がってくる場面は、映画史上においてもセクシーな映像として特に有名な場面らしい。

ところでこの映画は、ああ痛快だとばかり楽しんでいられない話なのだ。世界的犯罪組織スペクターの幹部ドクター・ノオがアメリカが発射する月面ロケットを妨害するためにジャマイカの島に原子力を使った妨害電波を発信する基地を作っており、ジェームス・ボンドはそれを阻止すべく島に乗り込む。基地に働くドクター・ノオの手下らは放射能汚染から身を守るために防護服を着ている。彼らはボンドを捕らえると汚染されていると浄染する。ああ、嫌な感じだなと。そしてボンドはドクター・ノオの企みを潰すべく妨害電波の源となる原子力の臨界点を超えさせメルトダウンさせてしまう。ドクター・ノオの基地は爆発してしまう訳だが、どうしたって我々はそれを冷静な視線で見ることができないだろう。ドクター・ノオとジェームス・ボンドがもたらした被害は尋常ではないのだ。まだまだ原子力信仰が強かった時代のこととはいえ、ノー・モア・フクシマなのであり、余りにも短絡的な終わり方であり、見ていて心地いいものではない。ボンド君よ、ガス欠のボードで女と情事に耽っている場合ではないだろう…と。
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