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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「カラーパープル」(監督:スティーヴン・スピルバーグ)

2014-04-24 | Weblog

■製作年:1985年
■監督:スティーヴン・スピルバーグ
■出演:ウーピー・ゴールドバーグ、ダニー・グローヴァー、マーガレット・エイヴリー、オプラ・ウィンフリー

「カラーパープル」はビデオ化された時に見た記憶があり「風と共に去りぬ」といった大作映画の流れだよなという印象を持っていました。主演のウーピー・ゴールドバーグは、素晴らしい演技により、その後、あれよあれよとトップスターとなっていきました。

 

で、今回久しぶりにこの映画を見たわけですが、黒人差別はもちろんのこと黒人社会の中において強烈な男女差別があることが描かれていることに強く興味を持ちました。虐待、差別を受ける側でも、その受ける社会ではやはり弱いものに対して差別的なことが起きているということです。こうなるとそれは人間の性(さが)と言わざる得ない悲しい本性です。基本的に人間という生き物は、生存欲求以外に自分より弱いものに対して優位に立とうとしエゴを押し通す部分を持っているということ。残念ながらそれは簡単に消すことができない本性と言えそうです。この「カラーパープル」の魅力は、悲惨な環境においてもけっしてめげることなく美しく生きている主人公の姿にあります。名もなく貧しく美しく、そんな風に書いてしまうと教科書風で道徳的なものになってしまうのですが、そのシンプルさこそが、一見弱く見えるものの実は力強いのだということなのだと思います。虐待された家を出るとき主人公のセリー(=ウーピー・ゴールドバーグ)はこう言います。「I'm here.」(字幕では「私は生きている」)その台詞が響きました。

 

スピルバーグは自他とも認める映画の申し子として、映画界を牽引してきている実績は申し分ありません。故に映像の見せ方は天下一品。うますぎです。あらためてスピルバーグについてそのように感じました。この映画はアカデミー賞狙いと言われたように、部分部分が少々あざといところがあります。が、一方でしっかりとここは泣く場面ですよというところも最後に用意されており、わかっていても思わず頬に涙の雫濡らしてしまうことになります。終わり良ければすべて良し。ああ、いい映画だったなあとなるのは流石の手腕ですね。

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