数年前、それまで伝統芸能なんて面白くもないだろ、眠くなるだけではないのかと敬遠していた歌舞伎を初めて見に行った時、その面白さに目を奪われてしまいました。難しいのでは?つまらないのでは?と勝手に想像していた歌舞伎、実はエンターテイメントの極致にあるようなお芝居だったのです。こんなに面白いから現代にまで残っているんだと逆に認識を新たにし、以来、歌舞伎座がリニューアルのため休館するまでの間、月に1回程度は劇場に足を運んでいました。ただ歌舞伎座の休館とともにぱったりと行かなくなってしまったのですが…。その休館していた歌舞伎座も装いも新たにオープンすることになり、それに連動する企画としてサントリー美術館では「歌舞伎 江戸の芝居小屋」展なるものを開催していたのです(3/31で終了)。一時、私のマイ・ブームであった歌舞伎、その文化を知る機会でもあるのでサントリー美術館へと行ってきました。
日本人なら知っているようでも実はよく知らない歌舞伎の文化、私も例外にもれず歌舞伎について知らないことだらけ。美術館による展示で歌舞伎を概観するわけですから当然、絵が中心となります。展示された江戸時代以前の屏風絵を見ていると歌舞伎の発祥は出雲の阿国のかぶき踊りであると言われているのですが、歴史を知らない私の勝手な印象ですが花見ついでの遊興で踊っている若者の様子を描いた絵を見ているとそうした気分も歌舞伎への道筋があったんじゃないのかなと思いました。丁度この季節は花見シーズンであり、桜の名所に行くとそこでは酒を飲み歌を歌いという光景が見ることができるのですが、それは昔も同じようで、演じる側がいれば見る側もいるという桜はそうした気分を誘発するのでしょうね。
その活気は芝居小屋を描いた歌川豊国らの錦絵にも見ることができ、満員すし詰めの劇場は描かれた客の様子を見るのが楽しいのですが、それは展示されていた海外の絵、エメ・アンベール「幕末日本図絵」を見ると同じような雰囲気の小屋の様子が描かれており、実際に人に溢れかえってそれぞれが思い思いで観劇していたのだと想像できるのでした。安土桃山時代の仮設の舞台から江戸時代の常設の小屋へ、そして21世紀になり歌舞伎はさらに近代化された新しい舞台を得ようとしています。今日4月2日、歌舞伎座は新開場を迎えました。
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