飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

劇団「廻天百眼」演劇公演「少女椿」を見た

2011-10-20 | Weblog

■日時:2011年10月15日(土)、14:00~

■劇場:ザムザ阿佐ヶ谷

■原作:丸尾末広

■演出:石井飛鳥

■出演:紅日毬子、大島朋恵、桜井咲黒、金原沙亜弥、こもだもり、他

 

先週のことになりますが、カルト漫画家・丸尾末広の代表作「少女椿」を演劇化したものを見に行きました。あの「少女椿」がお芝居に?おぞましく変態チックでおどろおどろしいあの漫画を一体…。私はこの漫画を上演する劇団がどんなところかは全く予備知識はありません。見る劇場は寺山修司のお芝居で何度も足を運んだことがあるザムザ阿佐ヶ谷。超満員で客入れに時間がかかります。劇場の入口や壁には昭和のアンダーグラウンド演劇のチラシが貼られてあったり、球体関節少女人形が飾られているので、どんなお芝居が始まるのだろうと。

 

幕が開くと私が過去に読んで知っているあの「少女椿」の世界が広がります。お芝居としてその世界を再現すべく工夫もなされていました。丸尾の漫画にはストーリーらしいものはないので、お芝居もエピソード羅列のように展開していきます。どうやって終わるのだろうと思っていたら、話が未来に飛び、やおら美少女コスプレSF戦闘もののような様相を呈してきました。舞台ではまるでゲームの世界から飛び出したようなコスプレに纏った戦士らしきものが、延々と戦いを続けるのです。話がわからなくなってくると思っていたら、今度は吸血鬼も登場となります。

 

前半はあの「少女椿」の世界と思っていたら、後半はゲームか何かの世界となってしまい、当方おじさんの年齢の私としては、話がサッパリわからなくなってきました。乏しい知識で想像するには、コミケか何かの同人アニメ誌で描かれている漫画の世界なのではないのだろうか?と勝手に思い巡らすも、やっぱり理解が不能なのだ。強引に例えれば、私の若い頃は死体が蘇って人間を襲うゾンビというだけで衝撃だったゾンビ映画が、そこにやがてテレビゲームの「バイオハザード」始め、戦闘ものなどの要素が加わっていき、どんどんゾンビものの映画が変化していき、単に死体が蘇り人を襲うというシンプルな構図が古典として消滅してしまった現象と似ている感覚を得たのでした。つまり、シンプルな初期ゾンビ映画はついていけるけど、最近の一捻り二捻りを加えたゾンビ映画はついていくのが大変という感覚に近いということだ。よって、私はそこの場面がラスト近くになるまで、意味がわからず長く感じてしまったことを正直に述べておきます。

 

そして、最後近くに私が迷子になったその美少女戦闘テイストの謎を解き明かすように、いくつものみどりが登場します。戦闘マシンのみどり、吸血鬼のみどり、歌手のみどり、観客としてのみどりなどなど、みどりという存在は続いていく。それは永劫回帰の思想といえるのでしょうか。すべては永遠に回帰してくる恐怖、ニーチェの哲学の根幹。「どうせ人生見世物よ」このニヒリズムに陥りかねない永劫回帰による存在の謎には笑って戦うしかないと。うーん、そんなことをこのお芝居を見ながら内容とは別に考えてしまいました。私の印象としては美少女戦闘の場面が、やっぱり長すぎたかなと思いました。それによって緊張感が逆に薄れてしまい途中弛緩してしまうことが他の観客にもあったのではないでしょうか?私は先に書いたようにありましたので・・・。無限=夢幻=無間地獄の中を回帰するみどりちゃんを描いたのは、演出家の独自解釈なのでそこには作家性を感じることができ、よかったと思いますが、惜しい。もう少しコンパクトにまとめてもよかったのかもしれませんね。以上、私メの感想でした。

  

 

少女椿
丸尾 末広
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パノラマ島綺譚 (BEAM COMIX)
江戸川 乱歩,丸尾 末広
エンターブレイン
芋虫 (BEAM COMIX)
江戸川 乱歩,丸尾 末広
エンターブレイン
笑う吸血鬼
丸尾 末広
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ハライソ―笑う吸血鬼 2
丸尾 末広
秋田書店
新ナショナルキッド
丸尾 末広
青林工芸舎
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2 コメント

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Unknown (通りすがり)
2013-04-23 04:45:59
私も同じ舞台を観ました。
機械のシーンは丸尾末広の短編、電気蟻。
吸血鬼のシーンは笑う吸血鬼・ハライソ からの引用で、終始丸尾末広の世界でしたよ。
ブログ記事の下に貼り付けていらっしゃるのに、読んではいないのかしら?と思いました。
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コメントありがとうございます (飾釦)
2013-04-23 21:36:33
通りすがり様
コメントありがとうございます。ご指摘の通りで丸尾さんの作品を貼り付けているのですが、読んでいない作品があります。また、読んでも忘れてしまっているものもあります。演劇は丸尾さんの引用が多かったのですね。
ありがとうございます。
返信する

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