■製作年:2000年
■監督:園子温
■出演:鈴木卓爾、澤田由紀子、荒木経惟、麿赤児、荒川眞一郎、他
園子温監督の「うつしみ」は、傑作「愛のむきだし」の原型ともいえるものの、基本的には超ちゃめちゃ性に貫かれた作品です。映像には3人のアーティスト、荒木経惟、麿赤児、荒川眞一郎が登場し創作の現場をドキュメンタリーに撮らえるところがあるのですが、そこになんらかの必然性や意味を求めるのは無理というもの(いや、それを読み取れない私の眼力のなさか?)。私の推薦としては、たまたま撮影の許可が下りたくらいに考えて、それと別ストーリーを組み合わせたくらいに見たほうがすっきりします。なんせ話は、超はちゃめちゃなんですから。
ベースには一応流れとなるものがあります。恋愛ものです。大根しかださないおでん屋の男の子に処女を捧げたい女子高生(とても見えない)が登場し、恋愛騒動を繰り広げるのですが、まず女の子がとにかく変なのです。渋谷忠犬ハチ公の像を引きずり回したり、おでん屋で音楽に合わせて踊り始めたり、延々と疲れを知らず走り続けたりと、驚異的な(別の側面からみれば変態的な)パフォーマンスを見せる女の子なわけです。現実的にはこんな女性はいないでしょう。危ない女です。これまで私は、園監督は女性を魅力的に描くと書いてきたのですが、この女の子は真逆の、かかわりたくない女に描いています。その変な女の子に愛を感じてしまうのがおでん屋の男の子、こちらも変なのですが、まだ比べるとましかもしれません。うん、園子温監督に登場する男はわかる部分が多いものの、女はどこか怪物的に描いている。この2人、抱き合ったまま(セックスしている最中なので裸のまま)ガラス窓を突き破って屋根に落ちたり、田んぼのような沼地で泥だらけになってセックスしたりと、突き抜けた愛の行為を見せます。
もうゲロゲロと言いたくなるような映像なのですが、見ていて私が思ったこと、それはこの作品は<夢>の世界を描いているのではないか?ということ。<夢>であればストーリーはあるようでない、展開もはちゃめちゃである、フロイトではないが欲望を変換して見せる、というわけですから。シュルレアリズムの映画なんだと。当然、<夢>の中での世界はリアルな痛みを感じることはありません。映画も映像を見ているわけですから画面に映しだされる映像がどんなに痛そうでもリアルな痛みを感じることはありません。園子温監督の「うつしみ」は<夢>を映像化してみた作品?そんな風に理解したのでした
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