飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

昭和の黒い霧・松本清張NO.13・・・ドラマ「鬼畜」(出演:ビートたけし)

2009-07-10 | 松本清張

■放送:2002年10月15日、日本テレビ
■監督:田中登
■出演:ビートたけし、黒木瞳、室井滋、他

ビートたけしと黒木瞳が主演したテレビドラマ「鬼畜」(原作:松本清張)を見ました。二人とも実力のある方にもかかわらず面白くなかったのはキャスティングのミスマッチがあるのかもしれません。双方役者の個性がうまく活用されず噛み合っていないように感じました。なんといっても黒木瞳はどこまでも綺麗過ぎるし…、金策に苦しみ印刷工場で朝から晩までインクにまみれて働いているようには見えませんでした。生活臭が薄うございました。一方の、たけしも感情を内面に押さえそれを殺した演技をするのですが、彼の場合そこに抑圧された暴力性が見えないとイマイチ説得力にかけるような気がしました。事実、毒入りのおにぎりを子供に食べさせるのに失敗し、家に戻ってきた時それを仕込んだ女房(=黒木瞳)をいきなり殴りつけるシーンがあるのですが、そこは彼の持ち味が活かされているようでドラマの中で一番よかったところでありました。逆を言えばそれ以外は牙を抜かれたナントカで、あまりたけしのよさが出ていなかったなあと思いました。

このドラマの基本的な展開の仕方は、かつて野村芳太郎が監督した「鬼畜」の影響をモロに受けているように見えました。模倣に近い感覚さえ感じも。それだけ映画がよく出来ていたということになります。このドラマを監督したのが日活で活躍した田中登なので期待もしたのですが、残念ながらそれは裏切られました。たとえば映画と違いを見ると、同じ役を演じた岩下志麻と黒木瞳の子供達の扱いの差が見られます。黒木はその扱いに苦悩しているちょっとばかりいい女という性格が与えられており、一気に犯罪へとなだれ込んでいく緊張感を分断させてしまっていたと思いました。また愛人であった女(=室井滋)が子供達を捨てた後、若い男と住んでいるところや考えが変わって子供を帰してくれと戻ってきたところは新しい展開を導入していたのですが、それもその女の行動に文句が言いたくなる余地を与えてしまい、なかった方があきらかによかったと思わせたことも・・・。

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