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■製作年:1990年
■監督:サム・ライミ
■出演:リーアム・ニーソン、フランシス・マクドーマンド、コリン・フリールズ、ラリー・ドレイク、他
サム・ライミ監督の映画「ダークマン」を見ました。これは理屈抜きで楽しめる映画で、こりゃアメリカンコミックだなと思ったのですが、実は原作は無く映画のためのオリジナルもののようなのです。となるとサム・ライミがアメコミ・テイストを意識して作ったということになるんですかね。とにかくアニメを見ているような感じで面白いのです。
主人公のダークマンを演じるのはリーアム・ニーソン、「96時間」で無敵の元CIAの諜報部員を演じていたの作品を見たのが私の記憶に新しいですが、この作品は20年前の映画なので若かって感じです。このダークマン、正義の味方でもなくどちらかというと復讐鬼なわけですが、どこか涙をさそうところがあります。というのもダークマンとなる前は人工皮膚の開発に余念がない科学者だったのですが、都市開発の裏側にうごめいている闇の組織に突然巻き込まれ、研究室を爆破され瀕死の大やけどを負ってしまうのです。二目と見られぬようなモンスターに容貌が変容してしまい、最早、顔を覆うことなしに人前に出ることができなくなり、恋人はおろか人としての生活が奪われてしまうのです。一体こんな酷いことをしたのは誰なんだ?と。瀕死の重傷を負うことによって得た超人的パワーを活かしながら科学者=ダークマンは復讐の鬼と化すのです。
そこには事故前の恋人も絡んできて、人間らしさを奪われてしまったダークマンの悲しさが浮かび上がってきて、単なるアクション活劇ではない要素をもしっかりと盛り込んでいます。ダークマンは悲劇的なヒーローなのです。映画は余分なものを削ぎ落としていくとその構造は怒り、悲哀、笑いなど盛り沢山でわりと王道をゆくようなものを持っていると思いました。しかしサム・ライミは巧にそれらに独特の捻りを加えアンチ・ヒーローといえばいいのか「オペラ座の怪人」を想起させるような魅力ある主人公を作り上げることに成功しています。ブラック・ユーモアたっぷりの軽いノリで楽しめるまるで遊園地のような面白い映画でした。
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