■製作年:2002年
■監督:サム・ライミ
■出演者:トビー・マグワイア、ローズマリー・ハリス、クリフ・ロバートソン、J.K.シモンズ、キルスティン・ダンスト、ウィレム・デフォー、他
映画「スパイダーマン」を見ました。このところは、サム・ライミ監督の手がけた作品を続けて見てきています。そこで気づいたことは、彼のデビュー作品「死霊のはらわた」から、大作にしてヒットである「スパイダーマン」への流れは、通して見てくるとどこか必然的であったようにも思えてくるということ。これでもかとばかり見せる工夫された映像展開は一貫してかわらないし、どこかに要素としてもっているアクションヒーローの精神も脈々と流れているし、非現実的なことを時に可笑しくアニメチックに描くことアメコミのヒーローを映像化することで、そのものズバリの的を得たとも言えます。
この「スパイダーマン」を見ていると、私があまり好きではないハリウッド大作作品に見られるような計算されすぎて毒がなくなってしまっているある意味予定調和な出来すぎな映画とは、少し違った感じに仕上がっていると思いました。それはひとえにスプラッタームービーからスタートしているサム・ライミの個性が毒を抜かれずにきっちり残っているということに他ならないのでしょう。どこか狂気を孕んでいる怪しい感じはこの「スパイダーマン」でも失われていなかったように思います。また主人公のスパイダーマンを演じるトビー・マグワイアが飛び切りの二枚重ねではなく、恋に悩んでいる青年というのも映画に味わいをつけていました。
しかしこの映画の最大の魅力は、ビルの谷間を蜘蛛の糸で軽やかに跳び回るスパイダーマンの映像です。映像ならでは味わえるスペクタクル感、爽快感、軽やかさ。そしてスパイダーマンの造形にそれがとてもマッチングしています。その映像はエクスタシー感覚に満ちているような…ゾクゾクします。この感性は初期の映画から随所に見ることができてサム・ライミの特徴であるように思います。
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