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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

鬼才、天才、オタクのタランティーノ映画#8 「イングロリアス・バスターズ」

2012-02-14 | Weblog

■公開:2009年
■監督・脚本・製作:クエンティン・タランティーノ
■出演:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、イーライ・ロス、ダイアン・クルーガー、他

連日、クエンティン・タランティーノ監督作品を見続けてきました。彼の最近の作は「イングロリアス・バスターズ」で、それは映画館で見ており、その時の感想は以前このブログで記事にしました(下記に記載されたもの)。今回、流れでその「イングロリアス・バスターズ」を再見してみました。で、その印象は?というと面白い!タランティーノの底力を見たような気がしました。映画の雰囲気も変貌しており、彼の十八番とも言えるヨタ話は少なくなっている(しかしオタッキーな会話は残されている)、加えて時間軸の錯綜もなくなっている。またそれまで現代の劇であったものを舞台を第二次世界大戦下のフランスに移しています。しかし、相変わらずの過去のお気に入り映画からの引用は続いているようで、ようでというのは私自身がその引用、模倣についてどれをとってきているのかが理解ができていないからなのですが…。 

ユニークなのは映画のクライマックスでは、ドイツのヒットラー以下、ナチスの幹部らは映画館で焼死してしまう展開になっていること。史実とは別のまったくの作り話になっています。もし歴史がこの映画のように展開したならば、今という現代も少しは情勢が変わってしまっているだろう、それもいいじゃないかという大胆な構成なのです。で、この大胆不敵の作り方にナンじゃこれは?と思わせながらも、その不敵な設定に負けず劣らずに映画の展開は超面白い。全く飽きさせずに最後まで見ていくことができるのです。それはタランティーノの実力が本物であり稀有なストーリーテラーであることの証明のような気がしました。

むしろこの「イングロリアス・バスターズ」を見ているとこの先のタランティーノはどういった展開を見せてくれるのだろうかと期待も膨らんできます(もっと映画を撮って欲しい)。大体、過去の、それもマニアックな映画の引用のおもちゃ箱というのも、あの名作「ウエスト・サイド・ストーリー」だって「ロミオとジュリエット」のパクリなのだから全然問題ない。パクリは王道??思うに、タランティーノは、映画の申し子であるスピルバーグに並び得るもう一人の巨人なのかもしれないと…。(2012年2月14日、記す)

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※以下、2009年12月14日にアップした内容です。

このところ映画館に足を運んでいる。それこそもう30年近く前になろうとする学生時代はよく映画館(ロードショーではなく名画座)に行ってたもんだが、だんだんと足は遠のき今では数年に1回観に行くかどうかくらいのレベルになってしまった。それが最近になって3回も映画館に行った。それはどうゆうことかというと映画館で観る映画はやっぱりそこでしか味わえない感覚があるし断然経験として記憶の残りかたが違うということをあらためて思ったからだ。今回、映画「イングロリアス・バスターズ」を観る気になったのは、宣伝広告で面白そうに感じたこと、そして何よりもあのクエンティン・タランティーノ監督に他ならないと言うことからか。タランティーノ監督の出世作「バルブ・フィクション」を映画館で観たときは強烈だった。その時新鮮に感じた感覚を再びを味わいたいと思った。



で、どうだったのか?正直「バルブ・フィクション」のようなインパクトはなかったものの、こうゆうのもありなんだなという新しい視点にびっくりさせられた。タランティーノ監督クラスになると世界的に影響力があるわけで、ましてや新作となるとその注目度は高い。目の前に提示された映画は第二次世界大戦を舞台としたトンデモ話だったのです。映画は章だてになっていて、第1章はまだまともといっちゃへんだけれども、いわゆる真面目に取り組んだという感じになっている。それが映画が進行していくにつれてだんだんと妙な展開になっていく。ヒットラー政権下のファシズムのドイツに占領されたフランスが舞台で、歴史上の人物も登場する。でもそれはそうした状況設定を歴史的事実から借りてきただけで、話は“たられば”の世界となっている。映画を観るまでそうしたことは知らなかった。揶揄しすぎと感じる人もいるだろう。あるいはそのシャレっ気を楽しむ人もいるだろう。

いい意味で?いい加減、話の繋がりもなんでそうなるのと言いたくなるようなところも多くあり、歴史的事実や論理的な展開は無視した別の選択基準で話が進む。荒唐無稽で馬鹿馬鹿しくあるのですが、それが観ている時はそうしたつっ込みを入れようと思わない。笑いたくなるような設定なのに、むしろ半ば強引に映画の世界に引きずり込まれてしまい、逆に、大丈夫かっ!と心の中で叫んでしまうほどに展開にハラハラドキドキしてしまいます。このスカしているけどのめり込んでしまう映像は、最早タランティーノ・マジックとでも呼んでもいいような不思議な魅力を持ったものでした。



おそらくそうした印象を抱くのは、話の中ではそれはムチャだなと思えるところでも、登場人物達は画面の中の世界において馬鹿馬鹿しいことでも一生懸命で真剣でいるからかもしれません。彼らのその時その時の微妙な心理などが画面を通して伝わってくるのです。映画に感情移入している自分を発見できるのです。そうゆう意味ではクエンティン・タランティーノは粗っぽい展開の映像を作るのですが、飛び切り上手い映像作家といえるんじゃないでしょうか。そうじゃないとカンヌ映画祭でグランプリなど取れないですよね。

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